レコーディングダイエットが成功するたった一つの心理学的理由。ホーソン効果とは?

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 成功するダイエットのひとつの方法として、レコーディングダイエットというものがある。
 何を食べたかを全て記録するという方法である。
 ノートに手書きで書くのもいいし、Excelで整理するのもいいし、専用アプリを利用するのでもいい。
 とにかく記録しておく。
 たったそれだけ。

 岡田斗司夫の著書『いつまでもデブと思うなよ』で紹介されて話題になったものであり、このレコーディングダイエットを実践した著者は117kgから62kgまで体重を減らしたというのである。

 記録を取ることによって、例えば、家計簿のように「今月は使い過ぎたな」と確認できるという効果がある。つまり、「ついつい食べ過ぎた」というのを防ぐのである。
 あるいは、可視化されることにより、カロリー計算が容易になるということもあるだろう。

 レコーディングダイエットを心理学的に捉えると、下記の通りになる。
 自分で自分の行動を詳しく記録することにより、「誰かに見られている」という意識を生み、行動が改善される、ということである。

 

監視されると行動が改善する ―ホーソン効果とは?

 1920年代、シカゴのホーソン工場において、ハーバード大学の研究者たちが生産性の工場に関する実験を始めた。

 研究者たちは工場内の照明を明るくしてみたところ、労働者の生産性は上がった。
 逆に、照明を暗くしてみたらどうなったか。生産性はさらに上がったのだった。
 照明の明るさを元に戻しても、生産性は上がったまま維持された。

 不思議である。これは一体どういうことか。
 研究者たちは工場内の明るさと生産性の関係を調べようとしていたのだが、明るくても暗くても生産性は改善されてしまった。
 ちなみに、工場内の温度を変える実験をしてみても、結果は同様だった。休憩時間を様々に変えてみても、休憩時間の如何に関わらず、なぜか生産性の高さは維持されたままだった。
 研究者たちは首を傾げた。

 明るさと生産性の間に因果関係はない、ということではない。
 研究者たちが下した結論は、「工場の幹部なども関わっていた実験だったために、作業者の意識の中に『仕事ができないと思われたくない、仕事のできる人として注目されたい』という思いが生まれ、生産性が上がった」というものであった。
 つまりは、「人は、他人に監視・観測・観察されると、行動が改善される」ということである。

 また、ホーソン効果は仕事だけに影響するものではないことがわかっている。

 末期がんの患者は、お見舞いがたくさん来ると長生きすることが証明されているし、堅実なお金の使い方をしている友人と買い物に行くと自分のお金の使い方も変化するのである。

 

記録するということは、自分で自分を観察すること

 レコーディングダイエットとは、要するにホーソン効果を個人内で完結させた仕組みである。
 自分で自分のことを監視・観測・観察し、行動を改善させ、目標を達成しようとすること。
 行動の記録を詳しく付け、可視化すること。それが他者からの観測と同様の効果を生むというのだ。

 人は誰か、例えば上司に見られていると、緊張の中で成果を挙げなければという気持ちになる。緊張感が生まれるからこそ、やらなければと思うのである。
 だけど、自分で自分を観測することには、緊張もないし罰則もない。怒られることもない。
 果たして、そんな生ぬるい状況であっても人の行動は改善されるのだろうかと疑問に思うかもしれない。

 レコーディングダイエットにおいてたくさんの成功者が存在することからもわかる通り、改善されるのである。
 自分に厳しい者・甘い者の個人差はあるだろうけれど、行動の記録を付けて自分の行動を改善する方法はむしろ、自分に甘い者にとっては高い効果があるだろう。
 無意識にある自分への甘さを意識させることによって、行動の改善を促すことができる方法だからである。

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仕事や日常生活への応用

 行動の記録を付けることは、ダイエット以外のことにも応用が可能である。

 一日の記録を付けて、それを読み返してみると、無駄な時間が多いことに気づくと同時に、頭の中では行動を改善するよう思考が巡らされる。
 本を読みたいのになんとなくスマホゲームばかりしてしまう人であれば、一日の中で無意識にかなりの時間をスマホゲームに費やしていることに気づくことができる。
 そして、その半分の時間でもいいから読書に充てようと、自分自身に自然と改善を促すことができるのだ。

 冒頭で例示した家計簿についてもそうである。
 節約したいのになぜかお金が貯まらない場合、無意識に支出をしている可能性が殆どである。
 その無意識を可視化して、自分自身に監視させる、意識させるところから全ては始まるのである。

 監視させるというと、何やら物騒だけれど、そこから生まれる行動の改善は完全に「自発的」なものである。
 罰則があるから仕方なく行動するのではない。
 自分で考え、こうしたほうがいいなと思った故の自然な改善なのである。

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おわりに:三日坊主でもできる

 行動の記録を付ける、という極めてシンプルなもの。
 だけど効果は絶大である。

 やや面倒に感じるかもしれないけれど、効果は2〜3日で現れる。
 そう、三日坊主でも効果を実感することができるのだ。