全仮病者に告ぐ。優れた仮病の三箇条を覚え、明日からの仮病メソッドに活かし給え

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 仮病は二種類に分類できます。すなわち「良い仮病」と「悪い仮病」です。

 この「良い」「悪い」を決める基準は「バレないかどうか」「確実に休めるかどうか」によって判断されます。従いまして「バレない上に申告すれば必ず休める仮病の理由」が良い仮病であり、「バレやすい上に休みが取得できないという踏んだり蹴ったりで箸にも棒にもかからぬ何の役にも立たないゴミみたいなもの」が悪い仮病ということになります。

 私たち仮病使いの使命は良い仮病を行使し続けることに尽きます。仮病に対して忠実で真面目で一途であるからこそ、良い仮病を発動し続けて社会を撹乱しなければならない。なぜなら、バレることは仮病にとって唯一にして最大の致命傷だからです。

 小学校の国語において最初に学ぶことは「ひらがなの読み書き」ですが、仮病学校において最初に学ぶことは「バレないことの重要性」です。部活動における最優先されるべき精神は「スポーツマンシップ」ですが、仮病活動における最優先されるべき精神は「バレないこと」です。私が通っていた高等学校のモットーは「文武両道」でしたが、同じく後に私が通った仮病大学校におけるモットーは「決してバレないこと」でした。

 では、優れた仮病における「バレないこと」「確実に休めること」を志向せしむる要素とは一体何でしょうか。下記三点が挙げられます。

 

1. 症状が他者から見えない

 人は目に見えないものについては手の打ちようがありません。すなわち「あー頭が痛いイタイイタイイタイいtsyよー」と阿鼻叫喚する者についてはその言葉を信じるしかないということです。従って、目に見えない症状をでっち上げることが最初の重要な要素となります。

 私の友人に「クルマに轢かれた」と嘘を付いて会社を一週間ほど休んだ末に脚を包帯ぐるぐる巻きにして松葉杖で出勤してきた猛者がいて、しかも全くバレていませんでしたが、そういったエベレスト登頂並のリスクの高い仮病を行使することはある種の卓越した才能がなければ完遂することは極めて難しいものです。そう、怪我は目に見えるものなので仮病としては最悪の部類に入ります。

 当該「「クルマに轢かれた」と嘘を付いて会社を一週間ほど休んだ末に脚を包帯ぐるぐる巻きにして松葉杖で出勤してきた猛者」は仮病大学校において殿堂入りを果たしたばかりか、そこで用いられる教科書にも「極めてリスクの高い馬鹿げた例」として掲載されています。良い子の皆さんは真似をしないようにしましょう。

 

2. 症状を聞いただけでつらそうと思える

 私は中学一年生の頃に39.8℃の高熱を出したことがあり、あの時は本当につらくて死ぬかと思ったものでした。後にも先にも何らかの病気であんなに苦しむことはないでしょう。で、私の中にその高熱体験がインパクトと共に鮮烈に刻まれた結果、ちょっと具合が悪いかなと思えばすぐに体温を計り、風邪を引いたという者がいれば「熱は大丈夫なのかい?」と最初に尋ね、やや熱があるという者に対しては過剰に心配してしまうのでした。

 人は病気の症状については自分の経験と照らし合わせて考える傾向にあるものです。ノロウイルスを体験したことのある者と体験したことのない者では、ノロウイルス患者への共感・心配の度合いが全く違うことがわかっています(仮病大学校調べ)。

 従って、確実に休める仮病として上長の共感を得るためにはそれなりにインパクトがあり、想像力を膨らませざるを得ないような症状が適していると言えます。そういう意味でも「風邪」は極めて凡庸な理由であり、あまりおすすめできないものです。

 

3. ほどよく緊急性があり、休まざるをえないと思える

 仮病欠勤においては「緊急性」は大きなキーワードになってきます。すなわち「とにかく今、猛烈に具合が悪い」ことを伝えることに他なりません。

 当然ながら良い仮病とは一般化できるものであるべきです。マクドナルドの素晴らしい点は、どの店舗に行っても同じくらいの待ち時間で期待通りの同じ商品が出てくるところであり、全てがマニュアル化・標準化されているためにたとえ新人でもすぐに同じ質の仕事をすることができるところにあります。

 仮病もマクドナルドに見習うべきです。個々の演技力スキル如何に成功率が左右されるのではなく、誰でも同じようにバレずに確実に仮病で休むことができることを目指すべきです。その仮病スキルの標準化を画策し、悩める仮病者に提示するという目的のもとに当ウェブサイト「仮病ドットコム」は運営されているというわけです。

 では「良い仮病」としての具体的な症状とは何か。それは「頭痛」「腹痛」「吐き気」「歯痛」「発熱」です。詳しい戦術についてはバレない仮病のためにおすすめする5つの理由と言い訳でご紹介しておりますのでご覧ください。仮病のご加護のあらんことを。