スーパーマーケット部門責任者(マネージャー)の仕事と、その冴えたやり方とは?

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 一般的な会社においては出世の第一段階として「係長」というのが定石ですが、スーパーマーケットの仕事においてはまずは部門責任者(マネージャー)に出世します。
 「〇〇スーパー」における「△△部門」のマネージャーということです。

 私は入社後に青果担当として店舗に配属されましたから、出世するとすればどこかの店の青果マネージャーになるはずでした(出世する前に辞めてしまいましたが)。
 出世する前の平社員は私が勤めていたスーパーマーケットでは「担当」と呼ばれていました。

 本稿におきましては私の約二年半に渡る青果担当の視点から、スーパーマーケット部門マネージャーの仕事を紹介したいと思います。

 

1. 利益管理

 マネージャーの仕事を一言で言えば、部門を管理することです。その中でも最も重要なのが利益管理です。
 全ての会社は利益を上げるために運営されております。当然ながら我々の給与もその利益の中から支払われています。

 我々の仕事の目的は利益を上げること。それに尽きます。

 勘違いされることが多いのですが、売上を上げればいいというわけでもありません。
 売上を上げるためには、何でもかんでも安売りすればいいのです。50円で仕入れた物を50円で売ればお客さんはたくさん買い、売上は爆発的に上がるでしょう。
 でもそれでは儲けがないのです。つまり利益がない。
 それでは何の意味もない。

 おおよそ各スーパーマーケットにおいては戦略に従って各部門目標の「粗利率(売上−原価)」が設定されており、それをクリアすることがひとつの基準となります。

 いわば「〇〇スーパー」における「△△部門」という一つの店を経営するようなものです。
 部門マネージャーを数年も経験すれば商売における基礎は自然と身についていることでしょう。

 

2. 販売計画・戦略立案

 前述の通り、売上を上げることは誰にでも可能です。仕入れた商品を全て破格で販売すればいいからです。
 ですが、それでは利益がありません。

 次に簡単なのは、売上を下げて粗利率を達成することです。全ての商品を高く売りつつ、在庫を抱えなければいいのです。在庫を抱えないことは廃棄・値下げロスを減らすことに繋がります。
 ですが、売上を下げるということはその店舗の魅力を下げるということに他なりません。また、いくら「粗利率」を満たしているとはいえ「粗利額」を達成できていないことになります。
 会社の利益に直結するのは「粗利率」ではなく「粗利額」なのです。

 つまりは、売上を維持・向上させながら粗利率も達成することは難しいこと。
 そこには戦略が必要となるわけです。
 なんとなく値段をつけて、意思なく陳列していたのでは容易に達成はできないことです。

 具体的な商品マネジメントの例を下記に挙げていきます。

特売商品が安すぎて儲けがなさすぎる

 解決策:
 他の商品を値上げしてバランスを取る。きのこ類や玉ねぎ・じゃがいもは利益確保商品として適役。

値下げ・廃棄商品が多すぎる

 解決策:
 発注数量や陳列数の見直し。鮮度が著しく落ちる前に値下げに踏み切り、値下げ幅を小さく抑える。

在庫が常に多い

 解決策:
 昨年データと直近データをよく見て、電卓をきちんと叩いて発注する。特に売上の小さい店舗では、どんぶり勘定で発注すると痛い目に遭うのは必至。

売上が伸びない

 解決策:
 毎日、お買い得目玉商品を目立つところにダイナミックに展開する。その分の利益損失は、上述の通り他の商品でカバーする。

 

3. 社員教育

 部下やパート・アルバイトの教育が充分でない店舗においては、マネージャーにその負担がのしかかってきます。

 逆に、きちんと教育されていて、担当者やパート・アルバイトが最低限の指示によって自発的に動いてくれる店舗においては、マネージャーが末端の作業に忙殺されることなくきちんと利益管理や戦略立案に集中することができます。

 スーパーマーケットにおける重要な戦力はパート・アルバイト社員です。全従業員のうちパート・アルバイトが7〜8割を占める店舗も珍しくありません。
 従って、部下やパート・アルバイトの教育はマネージャーの重要な仕事となります。

 目指すべきは、マネージャーを含む社員が現場にいなくても店が回るようにすることです。
 嘘のようですが、不可能なことではありません。
 実際にパート・アルバイトで殆どの仕事を回している店舗もあります。

 パート・アルバイトの教育とは具体的には「マニュアル化」。これに尽きます。
 マネージャーや正社員じゃなければできない仕事を減らしていくためには、社員がしている仕事を誰でもできるようにマニュアル化する必要があるわけです。

 今現在、社員がいなければできない仕事には何があるかを観察し、見極め、リストアップすること。
 それら作業について部門責任者たるマネージャーがルールを定め、それを遵守させること。
 できない人には根気強く教えること。
 なぜそれが必要なのかを理解してもらうこと。
 チームとしての全員のモチベーションを高めること。

 それらを面倒臭がらずにひとつひとつクリアしていくことによって、数ヶ月後にはマネージャーは利益管理・販売戦略立案に集中する時間が確保できるようになっているでしょう。
 平日の暇な日であれば「最小の労力で仕事を完璧にこなして定時退勤」というのも夢ではありません。本当です。

 また、パート・アルバイト採用における裁量も部門マネージャーにありますから、面接官となり採用の可否を決定する権限を持つことになります。

 

4. 責任を負うこと

 責任者の仕事とは責任を取ることです。
 責任者だからと言って人より技術に長けている必要もなければ、人より忙しく働かなければならないわけでもありません。

 良い責任者は懐が深いです。
 「責任は俺が取るから思い切ってやれ」と言えるマネージャーのいる店舗は、雰囲気が明るいです。
 これは私の実感として言えます。

 逆に「何で俺の言った通りにやらないんだ。責任者は俺だぞ」なんて言葉が飛ぶ店舗は往々にして雰囲気が悪い。
 雰囲気が悪ければ一人ひとりのモチベーションは低下。それは生産性の低下に繋がり、数値も低迷ということになりかねません。

 「責任は俺が取るから思い切ってやれ」と任せてくれることは、部下の教育にも繋がり、将来性を生み出すことにもなります。

 仕事の仕方は多種多様、十人十色ですが、懐の深いマネージャーになれれば業績も伴って付いてくると私は感じています。