あまりにも些細なことでイライラしてカッとなったりムッとしたり癇癪を起こして物品を破壊したりする常軌を逸した自分をいい加減に直さないといけないと思ったのです。
普段は落ち着いていてむしろ優しくて冷静なのに、怒りの衝動だけは我慢ができなくて物や人に当たってしまう。怒りは、それまで築き上げてきた周囲の人たちとの関係や信頼を一瞬にして灰燼にし、怒りに任せて当たり散らすことによってゴミ箱、ペン、携帯電話などが破壊されその価値を失う。自分も怪我をする。職場でカッとなることによってお客様からクレームが来る。
このように怒りの衝動だけはどうしても抑えられない人は「間欠性爆発性障害(IDE)」を疑ってみた方がいいかもしれません。
些細なことでキレてしまう。間欠性爆発性障害(IED)とは何か?
つまりは「ちょっと怒りっぽい人」ではなく「間欠性爆発性障害」という病気を持っている人であると自分のことを認識し、根本的に治していこうということです。医師に診断されたわけではないので軽く吹聴するのもどうかと思うのですが、私は恐らくこの「間欠性爆発性障害」です。
キレると手に負えない怒りの衝動に本当に悩んでいて、この度、人生をかけて治す決意をしたのでした。評判の高い『「怒り」がスーッと消える本』(水島広子・著)を読んで考え方を根本的に変えていこうと思った次第なのでした。
怒りの3パターン
1. 「予定狂い」の怒り
・大事にしていた花瓶を割ってしまってイライラした。
・忙しくていっぱいいっぱいのところに上司から仕事をふられて、爆発しそうになった。
私がイライラしたりカッとなったりするのはこの「予定狂い」によるものが殆どを占めることを自覚しています。計画が計画通りに進んでいる時、私は大変に気持ちが落ち着いていて、逆にイレギュラーな事態が起こるとパニックになってしまう傾向にあると昔から実感していました。
では、なぜ予定が狂うとイライラしてしまうのか。私たちは「被害」に遭うと怒りを感じます。
この場合の「被害」は、「予定が狂った」という現実そのものです。
突然の被害に遭うと、私たちは反射的に「やられた!」と感じて、その脅威を撃退しようとします。
私たち生物には「闘うか、逃げるか(fight or flight)」という反応システムが備わっていて、「やられる!」「やられた!」と感じると、逃げるか、逃げることができなければ闘って撃退するか、ということに心身が集中するようになっています。
突然の「予定狂い」は、まさに逃げることのできない現実ですから、反射的に「撃退モード」に入ってしまうのです。
つまり、例えば私は「探しものが見つからない」時にものすごくイライラしてしまうのですが、そういった不測の事態にやり場のない怒りを感じてしまうのは、脳のエラーみたいなものだというのです。自分でどこかに仕舞ったにも関わらず「見つからない=被害に遭っている」と勝手に脳が認識して「被害に遭っている=撃退しなければ!」と怒りがこみ上げてくるというわけです。
こうして客観的に見てみると、探しものが見つからなくてカッとなることは大変に理不尽で全く意味のない怒りであることがよくわかります。こうした脳の仕組みを知っておくことで、予定が狂ってカッとなりそうな時でも「脳がエラーを起こしているだけ」と考えれば冷静になれる可能性が高まるでしょう。
2. 「心の傷」を反映した怒り
・自分のミスではないのにクライアントからクレームをつけられ腹が立った。
・「そうじしたの?」など、今やろうとしていることを言われて、ムッ!
上述の「予定狂い」の中でも、相手との関係性の中で心が傷つき怒りがこみ上げたという色彩の強いものです。
例えば、「そうじしたの?」と言われてムッとしてしまうのは、そこに「いちいち言われなきゃできない駄目な人ね」という批判的な意味を読み取ってしまうからです。相手を加害者と認識してしまうことによって自分が被害を受けていると感じ、怒りが誘発されてしまうのです。
すでに心に傷がある場合、痛みに対して敏感になっていますから、ちょっとしたことでも「脅威」に感じて、怒りを持ちやすくなります。こころが深く傷ついている人は、心身の全体が「再びきずつけられないようにすること」に集中するため、少しでも「脅威」と感じられることは徹底的に排除する、というふうに考えるとわかりやすいと思います。
相手は何気なく「そうじしたの?」と聞いたのかもしれません。「そうじしたの? 終わってたなら一緒に出かけましょう」くらいの軽い感じで。
心に傷がない人なら「そうじしたの?」と聞かれても「したよー」「してないよー」とそのまま返答できるのでしょうが、心に何らかの傷がある場合は自分なりの「傷つきたくない」というフィルターを通して解釈してしまうことによって「また文句をつけられている=脅威だ」と感じてしまい、カッとなってしまうというわけです。
3. 「我慢」による怒り
・電車で隣の女性が化粧をしていて、イライラする。
・いつも遅刻ギリギリに出社する人に怒りを感じる。
これも私はよく当てはまると思いました。嫌がらせをされているわけでもないのに、自分ばかりに仕事の負担がかかっているように感じてしまうのです。要は、自分で自分に対するハードルを勝手に上げておきながら「それを達成できない自分」と「同じレベルで努力しない他人」に怒りを感じてしまうのでした。こうやって冷静に考えてみれば、自分にとっても他人にとっても何とも理不尽なイライラですね。
こうした「人間としてあり得ない」という怒りに関連しているのは、「自分はちゃんとやっているのに」という気持ちです。我慢しているから、ムカついてしまう。
遅刻ギリギリで出社してくる人にムカついてしまうというのは「自分は嫌々ながらも早めに出社しきて仕方なく仕事の準備をしているのに、あいつは何であんなにも脳天気なんだ」と自分の我慢が反映されてしまうからです。恐らく「始業15分前には出社すべき」「始業時間前にメールのチェックくらいはすべき」などと、「〜すべき」という考えを持っているとこうした我慢の怒りを持ちやすいように思います。「〜すべき」という考え方は真面目で良い面もあるのですが、我慢が募りやすいというデメリットもあると覚えておきましょう。
この種の怒りへの解決策は我慢しないこと、すなわち、「〜べき」という考え方を自分にも他人にも押し付けずに好きなようにやるということに尽きます。
自分も好きなようにやっているという人の場合、他人の異常な行動に寛容になりやすいのです。
まとめ:怒りを客観視しよう
カッとなって自制が効かなくなっている状態というのは主観的にしか物事を見れなくなっている状態に他なりません。激昂状態に頭の中が支配された状態であり、もはやなぜ怒っているのかはどうでも良くなっています。衝動に身を任せてしまっています。
そこで、上記のように「怒りのパターン」「なぜ些細なことでカッとなってしまうのか」「イライラしてしまう脳の仕組み」を覚えておくことによって、怒りを感じても自分を客観視する余裕が出てきます。衝動的に物に当たってしまう前に「待てよ、これは予定が狂って脳がエラーを起こしているだけだ」「傷つかないように心が過剰に反応しているだけだ」「自分は”〜すべき”と真面目に考えすぎじゃないのか」などの考えが頭をかすめるだけでも一呼吸おいて落ち着ける可能性は飛躍的に高まります。
「怒る=悪」ということではありません。全ての怒りには理由があるので、その理由を覚えておいたほうが得だよというお話でした。
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