【超ハイリスク】頭金なし住宅ローンで持ち家を買ってはいけない5つの理由

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 頭金ゼロ円住宅ローンと聞いて、私たちは直感でなんとなく得をした気分になってしまいます。だけどうまい話には裏がある。

 住宅ローンというと従来では2割から3割程度の頭金が必要でした。新築価格3,000万円の住宅を購入するとして、2割の頭金は600万円、3割だと900万円。いずれにしてもものすごい大金です。頭金が0円ということは、その600万円もの大金を用意しなくても3,000万円の家をいきなり建てることができるということに他なりません。マンションの場合も同様、一円も用意せずに部屋を買うことができる。

 夢のような話が現実になっているには違いありませんが、これが得かどうかというとまた別の話です。むしろ、合理性に欠き、極めてリスクの高い買い物であると考えるべきと私は考えます。以下、その5つの理由をわかりやすく紹介していきましょう。

 

1. 返済期間が長くなる

借金は早く返したほうが得

 住宅ローンとはつまりお金を借りるということです。借りている期間は常に利息が発生し、その利息分が銀行を始めとする金融機関の利益となります。

 つまり、借金は早く返せば返すほど得なのです。返済期間が長引けば長引くほど銀行に金利という名の利益を献上するしてしまう機会が増えるということです。銀行はただ貸しているだけで利息を手に入れることができるわけですから、返済期間の長期化は銀行の思う壺なのです。

頭金なし=返済期間の長期化

 さて、頭金なしということは新築購入費用の全てを借金によって賄うことに他なりません。つまりは頭金を支払う場合に比べて借金の額が膨大になり、それに伴い返済期間が長期化するということに他なりません。まして、頭金を用意することが困難な人が月々の返済額を多めに設定することが可能であるとは思えませんから、返済期間はさらに長引くことになります。

 となると、返済すべき金額のうち金利に占める割合だけでも相当額になることは必至です。利息を返済するために住宅ローンに縛られるくらいなら、賃貸のほうが余計な出費を強いられない上に気楽に生活できると言えます。

 

2. 支払う利息が高くなる

リスクの高い顧客への金利は高く設定される

 前項は「借入期間が長くなるからそれに伴って支払うべき金利額も多くなる」ということでしたが、頭金なし住宅ローンの場合、そもそもの貸出金利も高くなることも覚えておかなければなりません。

 一般に金融機関が人にお金を貸す場合、リスクの低い人には低い金利で、リスクの高い人には高い金利で貸し付けます。ちゃんと返してくれそうな人には年利10%以下で、返してくれるかどうかわからない人には年利29.2%で貸すということです。なぜなら返済がなされずに踏み倒されてしまった場合そのまま金融機関の損になってしまうからで、そのリスク回避のために金利を高くしているのです。審査の厳しい銀行のローンが金利が低く、審査が甘くて誰にでも即日融資する消費者金融の金利が法定ギリギリまで高いのはそのためです。

頭金なしの顧客はハイリスク=高金利での貸し付け

 で、頭金0円住宅ローンはというとリスクの高い消費者向けの金融商品であることは自明です。住宅を購入する際に頭金を1円も払えない人が今後何十年にも渡って住宅ローンを返済し続けられるとはなかなかみなされないからです。つまり、頭金を用意している人に比べて信用が低いということであり、上記の例で言えば「返してくれるかどうかわからない人」に分類されるわけです。

 リスクの高い人には高い金利で貸し付ける。つまり、頭金なし住宅ローンは高い金利での貸し付けが行われることが必然というわけです。

 

3. 不動産の資産価値は20年でほぼゼロになる上、修繕費などの出費がかかってくる

持ち家と賃貸、どっちがお得?

 現在家賃14万円のアパートに住んでいるけれど、試算してもらった結果、頭金ゼロ住宅ローンでは毎月の返済額が9万円だそうである。これなら家を買ったほうが安い上に毎月5万円も貯金ができる。買うべきだろうか――?

 賃貸での生活を続けるか、家を買ってしまうか、正解はありません。それぞれのライフスタイルと価値観があります。ただ、毎月14万円と9万円を単純に比較して決めてしまうのは危険なことであると思います。

持ち家の思わぬ出費、避けられぬ無価値化

 賃貸では「毎月の家賃」と「2年毎の更新料」と「住宅保険(火災など)料」くらいしか住宅に関しての出費はありません。しかし、持ち家となると話が違います。

 持ち家では「固定資産税」「修繕費」など賃貸ではかからなかった出費が上乗せされます。また、空間が広くなり部屋数も増えることによって光熱費も増える可能性がありますし、火災や地震の保険料も賃貸に比べて高額になるでしょう。

 また、不動産の資産価値は新築を購入した時点で7割減、20年後にはほぼ無価値になります(土地は除く)。頭金なしで30年住宅ローンを組んだ場合、返済期間の最後の10年は老朽化した無価値の不動産のために利息分を支払い続けるという非常に馬鹿馬鹿しい事態に陥ることになります。

リスクヘッジとしての頭金

 もちろん、返済期間中に失業したり何らかの理由によって働くことができなくなってしまった場合、おおよその場合は借金の残額よりも住宅の価値が大幅に下回っており、借金を差し引きゼロにできないことになってしまいます。最悪の場合、自己破産も免れないということです。こういう時のためのリスクヘッジとしてある程度の頭金を支払っておくことが極めて有効であるというわけです。既に支払っている頭金と合わせて借金をチャラにすることができるからです。

賃貸なら30年後も新築物件に住める

 もちろん、ローンを支払い終わったらその家はついに自分のものとなるわけですが、固定資産税、保険料は支払い続けなければならないので、無料で住めるというというわけではありません。持ち家派がローンを支払い終わって無価値のボロボロの住宅に押し込められて住み続けなければならないのに対し、賃貸派は家賃を払い続けなければならないものの、同程度の家賃で新築の物件にフットワーク軽く引っ越すことができます。

 正解はありませんが、必ずしも持ち家が有利とも言えないのが実情です。

 

4. 頭金なしは破綻しやすいとのデータがある

人は未来に対して実際よりも楽観的に考える

 持ち家を購入する動機として最も多いのが「子育てのため」であると思います。従って、購入当初は余裕で返済できた住宅ローンも子どもが大きくなるにつれて出費がかさむことによってついには返済が滞ることになる、という事態は容易に予測できるものです。しかし、人は未来に対して楽観的に考えてしまうという脳の働きがあるので「なんとかなるっしょー、きっとその頃には年収も増えてるはずだし、買っちゃえー」と無謀にも頭金なしで大きな買い物をしてしまうのです。

少額頭金のローンは破綻件数が2倍というデータ

 日本経済新聞によれば、頭金なしあるいは1割未満の頭金で住宅を購入した人は頭金2〜3割の人に比べて破綻率が倍近い数値を示すそうです。

 頭金の比率と返済の可能性との間に相関性があることは実績データからも明らかだ。三菱総合研究所によると、1割に満たない頭金で家を買った人のうち、後に返済が滞って保証会社の代位弁済に至った人の比率は0.7%強(図C)。破綻率は、頭金2~3割のケースに比べて倍近い。

 ローン開始から10年ほどたった時期に破綻する例が多いという。「頭金なしでのローンが普及してからまだ10年ほど。破綻率はこれから高くなる可能性がある」(三菱総研)。ある銀行の担当者は「頭金が1割あるかないかで、破綻率には大差がつく」と証言する。

 怖いのは10年後 マイホーム購入焦る頭金ゼロ派|日本経済新聞

 破綻してしまう理由には様々あると思いますが、いずれにしても頭金ゼロ円は比較的リスクが高いということは間違いなく言えます。

 

5. 頭金ゼロ円は「無限大のレバレッジ=超ハイリスク」

不動産購入は投資である

 『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』(橘玲+海外投資を楽しむ会=編著)によれば、不動産購入は投資の一種に過ぎないとした上で、住宅ローンとは自己資本にレバレッジ(「てこ」の原理)をかけることであるとしています。つまり、頭金1,000万円で3,000万円の住宅を購入することは、それは1,000万円を元手にして3,000万円の資産運用をすることに他なりません。そして、レバレッジには常にリスクが付きまとうことを忘れてはなりません。

レバレッジとは何か?

 レバレッジのリスクを説明するために最適な例はFXです。FXとは為替に投資することであり、殆どの場合、長期的に保有するというよりは安く買って高く売るという投機(ギャンブル)的な運用のされ方に適しています。FXで10億円の資産を築いたという人もいれば、逆に一瞬にして10億円の借金を背負ってしまったという人もいますが、それはこのレバレッジのためです。

 FXの最大の特徴はレバレッジをかけて投資をすることができる点です。10万円に100倍のレバレッジを掛けて運用するということは、つまり元手10万円で1000万円のお金を動かすことができるということです。仮に投資した対象が倍の値段に跳ね上がった時点で売却すれば元手がたった10万円で2000万円の利益(正確には1990万円−手数料)となり一気にお金持ちになることができます。

 しかし、投資した対象が半値に暴落してしまったとしたらどうでしょう。たった10万円の投資だったにも関わらず一瞬にして490万円の借金を背負うことになってしまいます。

 もしレバレッジを全く掛けていなかったら、値上がりした際の儲けも少ない代わりに半値に暴落したとしても元手の10万円が5万円に減るだけで済みます。そう、レバレッジは高ければ高いほどハイリスク・ハイリターンになるのです。

頭金なしのレバレッジは無限大=超超超超超ハイリスク

 さて、話を戻しましょう。頭金なし住宅ローンとは元手0円で3,000万円の商品を購入して資産運用をすることに他なりません。つまりレバレッジは無限大(!)というわけです。常軌を逸した超超超超超ハイリスク商品であるというわけです。

 もちろん、不動産価格が何らかの要因によって高騰すればハイリターンになるわけですが、不動産価格が落ち続けている現代日本においてその可能性は極めて薄いでしょうし、そもそも高騰が期待できるならそのまま業者が保有していたほうが得です。わざわざ安い価格で焦って分譲する必要なんてないわけです。

 なかなかこのように住宅ローンを投資として、レバレッジとして理解することは漠然としすぎてなかなか理解できないものであると思います。ですが、人生設計における家計のバランスシートとして考えた場合、自動車ローンでも住宅ローンでも頭金なしというのは超ハイリスクであるということを覚えておきましょう。