もう自分を偽らない。内向的な人が天職を見つけるための3つの質問

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 新卒における就職活動が人生のすべてじゃないというのは、私たちの殆どが絶えず自分の仕事・職業に「本当にこれでいいのだろうか?」と悩み続けることからも明らかです。「やってみたけど、これじゃなかった」というのは長い人生にはつきものであり、誰にでもある当たり前の話。

 重要なことは「間違えない」ことではなく、寄り道の中でいかにして自分を知り自分の希望を叶えるかということ。本稿の論旨である「天職を見つける」という観点で言えば、最初の就職で天職を見つけられるに越したことはないけれど、そんな幸運な人なんて極々少数であるし、人の価値観や考え方、目指すものは変わっていく。迷いながらでいいし間違いながらでいいから、積み重ねた時間と自分の心とを照らし合わせて「自分は本当は何がしたいのか」を考えていけばいいということ。焦る必要なんて全然ありません。

 『内向型人間のすごい力』(スーザン・ケイン著、講談社+α文庫)では、弁護士として活躍していた著者が作家に転身した過程について簡単に触れられています。

 法律が自分の天職ではないと理解するのに、10年近くもかかった。今の私は、自分にとってなにがいちばん大切かを躊躇なく答えられる。夫と息子たち、書くこと、この本を価値あるものに高めることだ。これを悟ってしまったら、私は変わらずにはいられなかった。今にして思えば、ウォール街の弁護士としての暮らしは、まるで異世界の生活のように思える。とても興味深く、わくわくさせられ、あの仕事をしていなければ出会うこともなかっただろう数多くの魅力的な人々に出会えた。だが、私はつねに異邦人だった。

 (P347-348)

 弁護士という頭が良くて優秀な人でも、それが天職ではなく本当に自分のやりたいことではなかったと気づくのに10年以上もかかっている。もちろん、頭が良い・優秀であるというのは関係ないのだけれど、天職を見つけるのにそれだけの時間がかかるのはよくあることだということです。

 同書の著者であるスーザン・ケインは天職を見つけた自分の体験と他の人の相談を受けてきた経験を基に、天職を見つけるための「3つの重要なステップ」を提示しているので紹介しましょう。

 

1. 子供の頃に大好きだったことを思い出してみる

 大きくなったらなにになりたいかと尋ねられて、あなたはなんと答えていただろうか。その答えそのものは、もしかしたらやや的外れかもしれないが、その根底にあるものはそうではない。もし、消防士になりたかったとしたら、消防士とはあなたにとってどんな意味を持っていたのだろう? 人々を救う善人? 命知らずのヒーロー? それとも、たんに大きな消防車を操縦してみたかったのか。(略)
 自分が本当はどんな人間なのか、昔のあなたは今のあなたよりもよく知っているかもしれない。

 『内向型人間のすごい力』(P348)

 私たちは大人になるに従って「生活の安定」とか「優越感」とか「人類への貢献」という動機が芽生え始め、そういった基準よる職業を選びがちです。もちろんそれは悪いことではないのですが、今就いている職業に疑問を感じたりモチベーションの低下を感じるようであれば、子供の頃に自分は何になりたかったかと振り返り自問してみることは有用です。

 そこには雑念や虚栄心とはおおよそ無縁の自分の本音が隠されている可能性があります。引用文中にもあるように、消防士になりたかった人は消防士を目指しなさいという単純なことではありません。憧れていた職業が「人々を助けたい」「ヒーローになりたい」「大きな機械を動かしたい」など自分にとってどんな意味があったのかを考えてみることです。

 
 ちなみに仕事をする上でのモチベーションは、「社会貢献」でもなく「お金のため」でもなく、「好きだから」が最も強力な動機付けであることが心理学的に明らかにもなっています(エール大学レゼスにエウスキーの研究:参考文献『科学的に元気になる方法集めました』P99-)。

 

2. 自分がどんな仕事に興味を持っているかを考えてみる

 弁護士事務所にいた当時、私は企業法務の仕事を与えられた以上にやろうとは思わず、女性のリーダーシップに関連した非営利組織のために頻繁にただ働きをしていた。また、企業内の若手の教育・育成のための委員会に所属していた。この本の読者のみなさんならおわかりだろうが、私は委員会を引き受けるようなタイプではない。けれど、委員会の目的に賛同したので手助けしたいと思ったのだ。

 『内向型人間のすごい力』(P348-349)

 『内向型人間のすごい力』の著者スーザン・ケインも上記引用文中で、弁護士としての仕事よりも、人材育成にやりがいを感じ報酬などはそっちのけで力を注いでいたことが示されています。自分が表舞台に立って活躍する仕事よりも、裏方に徹して仲間をサポートすることに興味・関心が見出されたということです。

 また私事ですが、新卒で入社した企業はおおよそ「正確さよりもスピード」「戦略立案よりも行動力」が求められる仕事で、これが私には全く向いていなかったのでした。そんな中で私が好きだったのがプレゼンテーションの資料を作成すること。私が表舞台に立ってプレゼンをするのではなく、その資料を一人でコツコツと作っている時が一番楽しかったのを覚えています。

 果たして今、私はその会社をとっくの昔に辞め、紆余曲折の後に一人でコツコツと個人事業主として仕事をしているというわけです。孤独感はあるけれど、これが自分には向いていて天職であると思えます。

 
 ちなみに「やりがい」を目的とした就職活動が往々にして失敗し、就職したはいいけれどすぐに挫折する羽目になってしまうのは「やりがい」はその辺に落ちているものを見つける宝探しではなく、実際にやり始めてから自身の心の中に芽生えるものであるからです。では、就職・転職活動を「宝探し」にしないために何をすべきかというと、「少しでもいいから興味のあること」を仕事にすることが肝要です(参考文献:『HELP! 最強知的”お助け”本』P18-)。

 
関連記事:
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3. 自分が何をうらやましいと感じるか注意してみる

 嫉妬や羨望はある意味で醜い感情だが、じつは真実を語っている。人間はたいていの場合、自分が望んでいるものを持っている人をうらやむ。

 『内向型人間のすごい力』(P349)

 著者はここで自身のロースクール時代の経験を例示しています。友人たちと進路について話している時、彼らは最高裁で論戦を交わしている人たちのことを羨望(言葉を変えれば嫉妬)を込めて話していたけれど、著者は法廷で論戦を交わすことについては全く羨望も嫉妬も感じなかったという。なぜかというと、後に振り返れば、法廷での熱いバトルには全く憧れていなかったし、そもそも弁護士になるということにも強い気持ちを抱いていなかったからだった。

 その代わりに著者が羨望の眼差しを向け、嫉妬していたのは心理学者や作家になった友人たちでした。そして、前述の通り、10年以上も経った後に自分の本当にやりたい仕事に気付き、弁護士としてのキャリアを終わらせて作家としての道を歩み始めたのです。

 

まとめ:自分を偽らなければならない仕事は自己否定である

 心のうちで、自分ではない人間になることが成功への道だと言い聞かせていたのだ。これではセルフモニタリングではなく、自己否定だ。

 『内向型人間のすごい力』(P346)

 仕事というのは人生における最も重要な要素のうちのひとつだからこそ、こうして悩ましい問題をたくさん抱えるわけだけれど、人には向き・不向き、得意なこと・不得意なこと、やりたいこと・やりたくないことがあるのも事実。

 世間一般に言われる「やりたくないこともやらなければらないのが社会人だ」「不得意なことを得意にするのが仕事だ」という考え方も強ち間違いではないのでしょう。それによって自分の知らなかったやりがい・天職が発掘される可能性もあります。

 だけど、それぞれの人の中には変えられず揺るぎないそれぞれの何かがあって、それに反する社風や仕事内容に違和感を覚えたまま馴染めないままに社会人生活を送ってしまう人もたくさんいます。その違和感を拭えないまま、理想と現実の齟齬が最大になってしまった時、それは大きなストレスとなり、心の病さえ発症してしまう可能性がある。

 長い社会人生活においてそのような不幸なことにならないためにも、自分にとっての天職と呼ばれるものを見つけられるに越したことはありません。失敗した分だけ正しい方向に軌道修正できる判断材料を集めることに繋がります。焦っても何もいいことはないので、まずは本稿に示した3つのステップを参考にして、自分の心の声に耳を澄ませてみることから始めてみましょう。

 
参考文献:

 
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