現実的に考えてやっぱり「好きなことを仕事にする」べき5つの理由

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 あまりにも当たり前すぎて陳腐化している主張のひとつに「好きなことを仕事にしよう」があります。

 言わば当たり前の話。誰も嫌いなことを仕事にするために生まれてきたわけじゃない。だけど「好きなことで生きていく」が絶えず私たちの胸を打ち、自分の人生を見つめ直す些細なきっかけになり得るのは、生きていくために好きでもないことが仕事になってしまっている人があまりにも多いからです。

 陳腐と言われても構わない。ここで改めて主張しましょう。私たちは「好きなことを仕事にする」べきです。それは単なる感情論や薄っぺらい自己啓発ではありません。つまりは、好きなことを仕事にすることはこの現代日本において最も合理的で戦略的な選択であるということ。

 早速下記で「好きなことを仕事にするべき5つの理由」を見ていきましょう。

1. 「好き」は最強の動機付けである

 『科学的に元気になる方法集めました』(堀田秀吉・著、文響社)によれば、「社会的な『意義』」よりも個人の『好き』のようが動機付けとしては強力」であると紹介されています。

 エール大学のレゼスニエウスキーらによる研究チームが、アメリカの陸軍士官学校の生徒を延べ1万人以上、10年に渡って調査をして、志望動機とその後のキャリアを記録していったところ、自分の「やりたいこと」に対して、教養のため、人類のため、出世のため、などと「理由付け」をする人ほど、長期的には結果が悪くなる傾向が出たそうです。
 では、どうすればいいのかというと、自分の「やりたいこと」と「好きなこと」が一致していると良いというのです。

『科学的に元気になる方法集めました』(堀田秀吉・著、文響社、P100)

 目標を達成したくてもモチベーションが上がらなければ意味がありません。意欲は私たちの内面から湧き出てくるものですので「モチベーションを上げろ!」と自分を鼓舞しても、あるいは他人から強制されても限界があるというわけです。ですが、動機付けが「好きだから」であればその限界はないようなもの。なぜなら好きだからです。

 その上で、あまりにも大きすぎる目標は自分の中で実現不可能だとわかると大きくモチベーションを下げることになってしまうので、「好きなこと」を目指しながらも目の前の小さな目標をコツコツとこなしていくことが大事であると述べられています。

 

2. 嫌いなことは「やってもできない」

 現代における神話のひとつに「やればできる」があって、繰り返される自己啓発ブームの根本的な考え方であると言えるものですが、『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(橘玲・著、幻冬舎文庫)では、「やればできる」は道徳的には正しいけれど生き物としての人間に当てはめるのは間違いで、人間の本質は「やってもできない」であるという現実が私たちに突きつけられています。

 行動遺伝学は、次のようにいう。

 やってもできない。

 もうちょっと正確にいうと、適正に欠けた能力は学習や訓練では向上しない。「やればできる」ことはあるかもしれないけれど、「やってもできない」ことのほうがずっと多いのだ。

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(橘玲・著、幻冬舎文庫、P43-44)

 「やってもできない」ことに執着し能力を伸ばそうと躍起になることは世間では「努力」と讃えられるのかもしれないけれど、私たちは努力を讃えられるために生きているわけではなくて、実際に能力を伸ばすために生きている。人生の時間は有限なのです。伸びない能力を伸ばすことに時間をかけても意味がない。

 であれば「好きなこと」にその全努力を注いだほうが伸びしろがあり、その能力において他の人よりも優れることができるでしょう。能力のパラメーターが少しづつ平均より高い人をゼネラリスト、他は劣るけれど何かひとつの能力が傑出した人物をスペシャリストと呼びますが、スペシャリストは代替が効かないから社会的に重宝されがちであるというのは知られたところです。

 

3. 好きなことには「やりがい=幸福」がある

 私たちが仕事をするにあたっての問題に「求人」「賃金」の他「やりがい」があります。前掲書『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』においては、能力主義から脱落した労働者の行き着く先が世界の仕事の殆どを占めるマックジョブ(高度にマニュアル化・合理化された仕事、マクドナルドの経営手法に由来)であると指摘しています。それは決まったことをやればいいので快適であるが故に「やりがい」はほぼない世界。

 グローバルな能力主義の世界では、夢をあきらめてしまえば、マックジョブの退屈な毎日が待っているだけだ。

 好きなことを仕事にすれば成功できるなんて保証はどこにもない。
 それでも僕たちはみんな、好きなことをやってなんとか生きていくほかない。

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(橘玲・著、幻冬舎文庫、P93)

 何を仕事にしてどのように生きていくかは個人の選択次第だけれど、仕事をする上での一番の幸福は「やりがい」であることに疑問の余地はないでしょう。人は程々の給与で自分にとって「やりがい」のある仕事は続けるけれど、高給だけれど「やりがい」のない仕事は意外とすぐに辞めてしまいます。

 であれば、「やりがい」がある仕事をするための唯一の選択肢は「好きなことを仕事にすること」以外にありません。そこには最高の「やりがい」があるのです。

 

4. 辛くても頑張り続けることができる

 2010年にUSJ入社以来、マーケティングのスペシャリストとして様々な戦略を立案、売上の低迷していたUSJを驚異的なV字回復に導いた森岡毅氏はその著書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(森岡毅、角川書店)の中でキャリアの作り方についての自身の経験を元に考えを述べています。

 年収の期待値以上にもっと重要なことがあることに気が付きました。その仕事が「好き」だと思えるかどうか。
 「好き」な仕事でなければ成功することは難しいのです。たとえ好きな仕事であっても、辛いことのほうが多いというか、大変なことばかりです。それでも頑張り続けられるのは、その仕事が「好き」だから。どんな仕事を選んでも良いと思いますが、「好きなこと」でなければ、辛さに耐えて努力し続けるのは無理です。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(森岡毅、角川書店、P237)

 森岡氏はマーケティングという仕事が好きで、尚且つ、無類のエンターテイメント、アミューズメント好きであると著書に述べられています。世界中の遊園地にその足で赴いて実際に体験することが好きで、いつ仕事をしているんだというほどのゲーム好き(モンハンプレイ時間999時間!)、その他、音楽、映画、アニメ、釣りなど「遊び」と名の付くものは全て大好きであることが伝わってきます。

 そんな著者だからこそ、USJを「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」にするとの情熱を維持し続けることができ、諦めることなく、妥協することなく実際に実現できたのです。

 具体的な仕事の選び方としては「自分がすごく好きと思える仕事を選ぶこと(P238)」「強みを伸ばすこと(P240)」とアドバイスがされています。これは森岡氏が一人のサラリーマンであることによる「好きなことを仕事にする=独立する」という視点ではない汎用性の高い助言です。

 

5. 生涯現役で老後問題がなくなる

 老後問題とは、平均寿命が伸びる中で年金制度が崩壊しつつあることによる老後の経済的な不安のことです。ゼネラリストである定年後のサラリーマンには手に職がありませんので、少ない額の年金で細々と暮らしていくか、どうしてもお金がなければマックジョブでやりがいのない仕事をせざるを得ません。

 ですが、『幸福の「資本」論』(橘玲・著、ダイヤモンド社)にはこの老後問題を解消する明快な答えが示されています。

 老後の経済的な不安を解消するもっともかんたんな方法は、老後を短くすることです。「生涯現役」なら老後問題そのものがなくなってしまいます。そのためには、「好きを仕事にする」ことが唯一の選択肢なのです。

『幸福の「資本」論』(橘玲・著、ダイヤモンド社、P181-182)

 好きなことが明確であれば、定年後に小さく開業して収入を得ることができます。そうすることにより、少しでも裕福で余裕があり目的のある老後を過ごすことができる上、万が一年金制度が崩壊しても自分の力で老後を過ごすことができるのです。

 であれば、老後を迎える前に私たちがしておくべきことは、自分は何が好きなのかを明確にしておき、そのスキル(職能)を磨いておくことです。それは今の仕事から得られるスキルでもいいでしょうし、好きなことをするために転職をするという選択肢もあるかもしれません。仕事は仕事として割り切って趣味の時間で熱中できるものに打ち込むのもいいでしょう。

 私たちは、「好きを仕事にする」以外に生き延びることのできない残酷な世界に投げ込まれてしまったのです。

『幸福の「資本」論』(橘玲・著、ダイヤモンド社、P182)

 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代は終わったし、国が国民の面倒を全て見てくれる時代も終わった。この世界を残酷なものの捉えるか甘いものと捉えるか、幸福な人生を送るか不幸なものとして耐え忍ぶかは、自分次第。そんな世界を生きていく上でのたった一つの重要な戦略が「好きなことを仕事にする」なのです。

 そう、「好きなことを仕事にする」は陳腐でもなく絵空事でもなく、もはや戦略としての現実的な重みを持った言葉なのです。