好きなことを仕事にしたいならあなたの子供時代にヒントがある理由

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 「好きなことを仕事にする」というのはあまりにも陳腐な言葉であるには違いありません。「そんなことはわかってるよ」とあちこちから聞こえてきそうです。

 ですが、それでも「好きなことで生きていく」ことに誰もが憧れ続け、最強の生き方であると常に理想化されるのは、それが人生という戦略上において紛れもない真実であるからに他なりません。まして経済成長が頭打ちとなり未曾有の高齢化社会が待ち受ける日本の未来においては「好きなことを仕事にする」が極めて合理的な選択肢となりえます。

 理由は大きく分けて2つあります。

 
1. サラリーマンという生き方の価値が下がっている
 終身雇用の脆弱化、ブラック企業の跋扈、派遣社員の低賃金化、やりがいのなさ・搾取、特化したスキルを得られないこと(日本企業はスペシャリストではなくゼネラリストを育成する)など。

 
2. 生涯現役でいることができる
 「好き」を仕事にして自立することで「退職」がなくなり、自然と老後問題(老後の経済的な不安)が解消される。

 
 「好きなことを仕事にする」ことはこの先行き不透明な現在において、増々賢明な選択肢になっていると言えます。とは言え、その「好きなこと」が見つけられないという人も多いでしょう。「それを見つけられれば苦労はしないよ」と。

 その答えをここに提示したい。それは「好きなことを仕事にしたいならあなたの子供時代にヒントがある」ということです。単なるノスタルジーではありません。きちんとした理由がありますので下記で説明していきましょう。

 

弁護士から作家に転身したスーザン・ケインの提唱

 『内向型人間のすごい力』(スーザン・ケイン著、講談社+α文庫)の中で著者は、自身が弁護士から作家へと転身した経験と多くの相談を受けた実績を元に、自分の天職を見つけるためには幾つかの要素があることを発見したと記しています。その中のひとつが「子供の頃に大好きだったことを思い返してみる」ことです。

 大きくなったらなにになりたいかと尋ねられて、あなたはなんと答えていただろうか。その答えそのものはもしかしたらやや的外れかもしれないが、その根底にあるものはそうではない。自分が本当はどんな人間なのか、昔のあなたは今のあなたよりもよく知っているかもしれない。

『内向型人間のすごい力』(スーザン・ケイン著、講談社+α文庫、P348)

 本書で述べられていることは、例えば、子供の頃にダンサーになりたかったのならダンサーを目指しなさい、ということでは必ずしもありません。なぜダンサーになりたいと思っていたのかを考えてみることによって、根底にある願望=好きなことがわかるということ。

 例えば、目立ちたいからダンサーになりたかったのであれば、あなたは人の注目を浴びるのが好きなのかもしれない。身体をしなやかに動かすのに見惚れていたのであれば、体を使って表現することにモチベーションを感じるのかもしれない。ある努力家のダンサーが好きだったのであれば、ひたすらに自分と向き合って能力を高めていくことに理想の生き方を見出していたのかもしれません。

 このように、子供の頃に好きだったことは今のあなたが好きなことを映し出す純粋な鏡となり得ます。まして大人になってしまうと、年収、名誉、他人との比較など、邪な考えによって仕事を選びがちになってしまい、そうやって自分で選んだ仕事は必ずしもやりたい仕事ではなかったとがっかりしてしまうことが往々にしてあります。

 今、自分の好きなことがわかっている人はむしろ少数派でしょう。そんな時には子供の頃を思い返してみることによって何か答えやヒントがあるかもしれません。

 
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子供時代の「キャラ」があなたの全てを物語る

 上述の考えは理想論ではなく、きちんと裏付けがあるということが『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(橘玲・著、幻冬舎文庫)と『幸福の「資本」論』(橘玲・著、ダイヤモンド社)の中で科学的に示されています。その論拠が心理学者ジュディス・リッチ・ハリスの提唱した「集団社会化論」です。

 ハリスの集団社会化論では、こどもは友だちとの関係のなかで自分の性格(キャラ)を決めていく。どんな集団でも必ずリーダーや道化役がいるが、二人のリーダー(道化)が共存することはない。キャラがかぶれば、どちらかが譲るしかない。

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(橘玲・著、幻冬舎文庫、P113)

 「集団社会化論」を一言で表すと「子どもは勝手に育つ」ということです。子どもは親の愛情とは関係なしに、子ども同士の集団の中で育っていくという。その証拠に、先史時代は親は食料の獲得やコミュニティの防衛のために子どもに愛情を注いでいる暇はあまりなかった。にも関わらず、子どもはちゃんと一人前に育っている。

 子どもが子ども同士の社会的な関係の中で育つにあたっては、自ずと自分の性格(キャラ)が形成されていきます。要するにその子供時代の「キャラ」が自分の「好きなこと」を考える上では大変に重要なことであるというのです。

 5〜6人のグループのなかでいちばん足が速いというだけでスポーツが好きになるし、歌がちょっと上手いだけでアイドルを目指すかもしれません。そしてこの(遺伝的・生得的な)わずかな違いが増幅して、思春期になる頃には「好きなこと」がはっきり分かれるようになり、それぞれの「キャラ」が固定化します。これを私たちは、人格と呼んでいるのです。

『幸福の「資本」論』(橘玲・著、ダイヤモンド社、P156)

 キャラというのは要するに子どもが集団の中で自分の地位を獲得するための生存戦略であるということ。集団の中で他人よりも何か秀でた部分がなければライバルに敗れ、子孫を残すことができないからです。ということは、私たちは本能的・遺伝的に「キャラを立てる=好きなことを伸ばす」ことを無意識に自分の力でやってきたことになります。

 であれば、大人になってしまい社会の様々な雑音や雑念の中で「自分には何が向いているのだろう?」「好きを仕事にって言うけど、自分は何が好きなんだろう?」と考える際には、子供の頃のキャラを思い返してみると何か答えが見つかるかもしれないということに他なりません。

 あなたは子供の頃、どんなことに憧れていて、どんなキャラとして過ごしていたでしょうか? 以上が「好きなことを仕事にしたいならあなたの子供時代にヒントがある理由」です。

 
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