「上司や同僚が残業していても自分の仕事が終われば帰る」のは当然の権利である

この記事が気に入ったらシェアしよう!

 2017年度に入社した新入社員を対象にしたアンケート(日本生産性本部の年次調査)によれば、「上司や同僚が残業していても自分の仕事が終われば帰る」が昨年よりも9.9ポイント増の過去最高48.7%となったとあります。

 
参考記事:
デートと残業、どっちが大切? 新入社員の答えは…… – ITmediaビジネスオンライン

 
 この結果について世間ではどのように評価され議論されているのかについては私は寡聞ですが、個人的な意見としては上司や同僚が残業していても自分の仕事が終われば帰るのは「当然」であると思っています。自分の仕事が終わったら帰るのは当たり前。それの何がいけないのかが私にはさっぱりわからない。仕事が終わったらさっさと帰ってプライベートを楽しみましょう。

 その理由について下記で説明していきましょう。

 

残業は必ずしも善ではない

 新入社員が「残業を嫌がる」という傾向は今に始まったことではありません。私の肌感覚で言えば「ゆとり」と揶揄された世代が社会に放り込まれたあたりから「若者が残業を嫌がる」という上司の声が盛んに報道され始めたように思います。

 おおよそそれはネガティブな捉え方であり、「これだから最近の若者は困る」という言い方です。経済誌の重鎮「ダイヤモンド」においてもそのような若者の考え方を非難するような切り口での特集が組まれていたのを覚えています。

 その根底には「残業=善」という価値観があるように思います。会社に尽くすのは良いことであり、当たり前のことというように。だけど、私はそうは思わない。残業は善でもないし、悪でもない。

 残業とは、法定勤務時間(1日8時間)を超えて働く場合はその代償として割増賃金を受け取った上で働くことができる。それ以上でもそれ以下でもありません。

残業のメリット

・仕事が進む

・労働者は割増賃金を受け取ることができる

 

残業のデメリット

・会社における人件費コストが増える

・労働者はプライベートの時間が減る

 
 要するに残業とは、これらのメリットとデメリットを天秤にかける行為に過ぎません。会社(上司)としては、どうしても今日中に終わらせなければならない仕事があるから人件費に負担をかけた上で部下に残業を頼む。部下としては、どうしてもプライベートの先約があるなら断っても構わないし、「まー残業代もらえるし今日はどうせ暇だからいいか」と思えば残業をすればいい。それだけのこと。

 

残業するかしないかは単なる「交渉」に過ぎない

 「上司の指示は絶対だから断れるわけないだろ」という意見があるのはわかります。それぞれの会社の社風や上司の人間性によっては残業に関するこのような柔軟な捉え方が不可能である場合が多いでしょう。むしろこのようなフリーダムな考え方を行動に移せる会社のほうが例外なのかもしれません。

 ですが、残業の本質は単なる「交渉」に過ぎないという私の意見は変わりません。会社としては「人件費を代償に働いてもらう」、労働者としては「自分のプライベートと残業代を天秤にかけて意思決定する」。それを前提に上司と部下の交渉が始まるというわけです。

 紆余曲折の末、交渉成立すれば残業してもらうことができる。交渉が決裂すれば誰か他の人に残業してもらうか、仕事のやり方を根本的に変える必要がある(納期を遅らせる、クオリティを下げる、上司が自分でやる、など)。

 

「残業指示」と「仕事の進捗管理」は上司(管理職)の仕事

上司は明確に残業の指示をすべき

 そもそもの前提として、残業は上司の明確な指示の下に行う必要があるという原則があります。なぜなら、各々が好き勝手に残業できてしまったら無意味な残業が増え、会社の利益を圧迫することになるからです(本稿は全ての残業には割増賃金が支払われるという前提で書かれている。サービス残業は撲滅すべし)。

 仕事をしているわけでもないのに勝手に会社に残って平然と残業代を会社に請求するという社員が、私の観察した範囲によれば今の40〜50代に多く散見されると感じているのですが、そんなものは言語道断です。

 ですから、残業は必ずしも善ではないし、残業は上司の明確な指示の下に行う必要がある。逆に残業の必要がないのなら上司は部下をさっさと帰らせる責任があるのです。

突然の残業発生は全面的に上司の責任

 それに加え、上司(管理職)はチーム全体や部下における仕事のスケジュールを立案し、その進捗を確認するのが業務となります。従って、きちんとスケジューリングされている職場であれば残業計画もきちんと立案されていてしかるべきです。

 当日になっていきなり「今日、残業してくれないか?」と言われることなど、よっぽどのトラブルがない限りはあってはならないことであると私は考えます。仕事の進捗がきちんと確認され共有されていれば、少なくとも前日までには「残業しなければ間に合わない」ことくらいはわかっているはずです。それを怠ったことは明らかに管理職の責任であり、部下に当日いきなり残業を持ちかけて断られても文句は言えないと思うのです。

 従って、「デートの約束をしているにも関わらず、仕事を頼まれた」場合、「仕事を断ってデートを優先する」のはこれまた当然の話。デートが先約であるという意味でも、いきなり仕事を頼んでくる方が悪いという意味でも。

 

まとめ

 従いまして、「上司や同僚が残業していても自分の仕事が終われば帰る」というのは当然の権利です。なぜなら自分の仕事は終わっている上に、上司から明確な残業の指示が出ていない状況であるからです。「忖度して(空気を読んで)自主的に残業すべきだ」という古い考え方にわざわざ乗る必要はどこにもありません。

 仮に、「もし仕事が早めに終わったなら、いきなりで申し訳ないのだけれど○○時間だけ残業してくれないか」と上司から指示があったなら、その時は自分のプライベートと残業代を天秤にかけて意思決定することが望まれます。デートや遊びの先約があるならキッパリと断っても構わないし、上司に貸しを作ってやろうと思うなら残業を引き受けてもいいでしょう。