過去スーパーマーケットの青果(野菜・果物)担当として働いていた経験から、「青果担当に配属されたけどどうしよう」という人に向けてアイデアを教えましょうというコーナーです。
ちなみに私は果物は専門外でした。野菜一筋。
それなりに他企業からも注目される程度の会社ではありました。
参考になることがあれば戦略に組み込んでくださいませ。
1. 野菜高騰の時はもやし・きのこを売れ
野菜がどれもこれも高くて売り出すものがないという状況が年に何回かあります。
その場合に売るべきものは「きのこ」「もやし」「加工野菜(水煮など)」「カットサラダ」です。特に「きのこ」「もやし」です。
要するに、畑で取れるものではないものを売りましょうということです。
日照不足や台風の影響で野菜の価格が高騰するのなら、それに影響されないものに勝機があるというわけです。
「きのこ」「もやし」は工場で生産されているものですので、天候に左右されずにいつもの値段で販売できます。
他の野菜が高いなら、相対的にお買い得感を出すことが可能であるということです。
「豆苗」「かいわれ大根」も同様の理由で売りやすいです。
「カットサラダ」は、野菜の相場に関係なく一年中同じ値段で仕入れることができ、同じ値段で販売することが可能です。
つまりは、キャベツがものすごく高騰しているときでも、カットキャベツは同じ分量で同じ値段というわけです。
多めに仕入れて目立つところに陳列しておけば買い上げ点数が伸びるでしょう。
2. 葉物は袋から出して裸で売れ
おおよそ「ほうれん草」「小松菜」などは袋に入って納品されます。
それを袋から出して売ってみてはどうでしょう、ということです。
理由は、鮮度感です。
もちろん面倒な作業ですし、袋から出してしまうと「萎びるのが早い」「少なく感じる」などのデメリットもあるので一概にやるべしとは言えないのですが、葉物を裸売りするということは「鮮度に気を遣ってますよ」とアピールすることにも繋がるのです。
3. 小さくて軽いものを売れ ―生姜がおすすめ
大根やキャベツの特売となると商品の納入が大変なことになって、在庫置場が逼迫します。
なぜなら、でかくて重いからです。
キャベツ200箱なんて地獄です。
もちろん、特売や季節のトレンドなら売らなくては仕方ないのですが、どちらかと言えば、小さくて軽いものを売ったほうが負担が少ないですよという話です。
例えば「オクラ」「にんにく」「生姜」などです。
特に「生姜」は、小さくて軽い上に一年中ニーズがあるものですので、売り場に転がしておいても邪魔にならずにしっかりと買い上げ点数を稼いでくれます。
目立つところに展開しておけば、意外と売れます。
4. お盆終わりに根菜類が売れ始めるか注意しろ
秋口は大根や白菜などの根菜類が売れ始める時期です。
特にお盆終わりから急に気温が下がると根菜類の需要が高まり、品切れの危険があります。
お盆期間で市場も休みなので発注は難しいところですが、留意しましょう。
5. 玉ねぎ・じゃがいもは大袋で売れ
「玉ねぎ」「じゃがいも」「人参」の土物野菜は単価を上げて売りたいところです。
例えば、「玉ねぎ」は「バラ売り」「3個入り」の品揃えがセオリーかと思われますが、そこに「大袋」の品揃えを追加してみましょう。
名付けて、単価アップ大作戦。
そして、「バラ売り」「3個入り」を目立たせるのではなく、「298円大袋」を一番目立つように売場展開をするのです。
バラ売りを目立たせるのは損です。
名付けて、単価アップ大作戦。大事なことなので二回言いました。
また、裏技ですが、玉ねぎ1個売58円の時、それを3個で袋詰めして198円で陳列しても、割高であるにも関わらず意外とお客さんは気づかずに買っていきます。
であれば、6個入り398円でもそれなりに売れるはずです。
不誠実な販売の仕方とは思いますが、覚えておきましょう。
6. 春キャベツは急に売れなくなるから注意
春の風物詩といえば「春キャベツ」であり、スーパーでも特売が入ってものすごい売れ行きを見せます。
200箱とか尋常じゃない数量が納入されたのはこの時です。
注意が必要なのは、キャベツが毎週のように特売に入ってそれなりに売れ続けるのですが、ある時点で急に売れなくなるということです。
具体的にいつというのは失念してしまいましたが、データがあるならそれを慎重に見ると、キャベツがそんなに動かなくなる時期というのが見つかるはずです。
春キャベツは、勘で発注してしまうと在庫を余らす結果となりがちですので、データをきちんと分析して発注するようにしましょう。
7. 田舎では旬の野菜が売れないから注意
私が田舎に異動になった時に驚いたことは、野菜に売れ行きの傾向がそれまでの店舗と全く違かったことです。かなり戸惑いました。
田舎というのは、農業中心で各家庭に畑があるような土地のことです。
それまでの店舗では旬のピーマン1袋99円が飛ぶように売れたので、同じく発注したら全く売れなかった。
なぜかと言うと、田舎では野菜は買うものではないからです。
各家庭の畑で作っていて、食べ切れなそうな分はご近所さんにも配ったりしているので、わざわざ旬の野菜をスーパーで買う必要なんてないのです。
それを知らなかった私は、ピーマンの在庫を大量に抱えてしまったのでした。
このような土地では、やはり畑で栽培できないものを中心に売ることがセオリーとなります。
「きのこ」はその主力となるでしょう。
おおよその野菜の旬である夏には、きのこの仕入価格もだいぶ下がっていますから売りやすい値段で売れるはずです。
8. 鍋スープの素など、置いておくだけ商品を売れ
面倒くさがりな私は「置いておくだけ商品」が好きです。
夜に片付けなくていいし、朝に冷蔵庫から出して陳列しなくてもいいからです。手間が省ける。
おすすめは青果部門で取り扱う「鍋スープの素」があれば、単価も高いし、ついでに野菜も売りやすいしと素晴らしい。
「野菜炒めの素」みたいなものも置いておくだけなので良いです。
「切り干し大根」もそれなりに売れる上に、売場に放置しておくだけというお手軽さが私は好きでした。
但し、そのような「置いておくだけ商品」ばかりにしてしまうと、せっかくの青果の売りである鮮度感がなくなってしまうので、バランスは重要です。
9. キャベツは298円以上の価格を付けるな
年に数回、野菜が高騰する時が来ます。
それでも「キャベツ」「大根」などのメインの野菜は「1個298円」を超えない値段を付けるのがセオリーです。
仕入れ価格が280円であっても、売るのは298円です。
利益は他の商品でカバーしましょう。
なぜかというと、特に「キャベツ」は主力商品であり、お客さんから見た時に「キャベツが高いから他の商品も高いに違いない」と思われてしまうからです。
売る時には1/2カットや1/4カットで値頃感を出して売るでしょうが、「1個298円」を超えない価格にするというのは重要なポイントです。
10. 土物野菜・きのこで利益を上げろ
青果売場はだいたいスーパーの入口付近に配置されており、そのスーパーの顔ともいうべき存在です。
従って、スーパーマーケットにおけるマネジメントで青果部門に要求されることは、「お買い得感を出せ」ということに尽きます。
野菜が安ければお客さんはそれをカゴに入れ、そのスーパーで買物をしてくれる動機になるのです。
ですが、安売りばかりしていたら利益が上がらない。儲けがなくなってしまうのです。
その辺のバランスをどうやって取るかというと、土物野菜(玉ねぎ・じゃがいも・人参)ときのこ類は利益確保商品であると覚えておきましょう。
ほうれん草・小松菜の葉物野菜は、鮮度をアピールする商品。
キャベツ・大根などの一般野菜・根菜類は、適正価格をアピールする商品。
土物野菜・きのこ類は、やや値段を高くしても目立たないため利益確保商品です。
先に述べた、「玉ねぎ3個入198円」や「土物大袋」などのテクニックを使いつつ、土物野菜・きのこ類の価格は平時はやや高めに設定しましょう。
売場を工夫するなどして、土物野菜・きのこの売上比率を上げることができれば必然的に利益確保もできるはずです。
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