社会人というやつはたとえ会社に行きたくなくても有無を言わせず行かなければならないわけです。この時、二つの選択肢があります。
1. やっぱり行かない
2. 仕方ないから自分を奮い立たせて仕事に行く
当サイト「仮病ドットコム」は「1.やっぱり行かない」の選択を支援、仮病によって休む方法を啓蒙することを目的として運営されていますが、行きたくない時に毎回毎回仮病によって休んでいたのではさすがに怪しまれますし、解雇になってしまう恐れも孕んでいます。休みすぎてあまりにも給与が少なく、最低限の生活にも支障をきたすことになる可能性もあります。
仮病には節度が求められます。つまり「ここぞ」という時に効果的に発動することによって最高の成果を挙げることができるというわけです。仮病における「最高の成果」とは「バレずに、心置きなく休める」ということです。
そう、節度ある戦略的な仮病のためには「2.仕方ないから自分を奮い立たせて仕事に行く」という選択も少なからず必要になってくるということです。というわけで本稿においては、会社・仕事に行きたくない時にやる気を出す科学的な5つの方法を紹介していくものです。
1. 途中まででいいからとりあえずやってみる
やる気が出ない時の唯一の解決策は一見矛盾するようだけれど「とりあえずやってみる」ことであると数多くの研究によって明らかになっています。私たちは往々にして「やる気が出るのを待つ」ことを選びがちですが、それは科学的に誤った方法であるということです。
「やる気が出たらやろう」と後回しにしていた仕事について、ある時自然にやる気が出て、締切に余裕で間に合ったということが今まであったでしょうか。私にはありません。大抵の場合、締切に追われて尻に火がつくことになります。
「5分でいいからとりあえずやってみる。それでもやる気が出なかったらやらない」と自分の中で決めることが大事です。大抵の場合5分以上集中力が続いてしまうから不思議です。
これを朝会社に行きたくない時に応用するには、「とりあえず着替えてみる。それでも行きたくなかったら行かない」「とりあえず駅まで行ってみる。それでもやる気が出なかったら休む」などが考えられます。「時間が来たから行かなければならない」という消極的・受動的な考え方よりも「途中まででいいからやる。それでも駄目だったらやらない」と選択を自分でコントロールできることも重要な要素です。
2. 楽しい動きをすることによって楽しくなってくる
エルサレム・ヘブライ大学アヴィーゼールらの研究によれば、被験者に悲しい表情をしてもらいながら変な(間抜けな)ポーズをしてもらったところ、次第に気持ちが愉快になっていき表情も自然と明るくなっていったとのことです。これはつまり、体の動きで感情をコントロールできる=楽しい動きをすることによって実際に楽しくなってくることを示しています。
仕事に行きたくないからと布団の中でゴロゴロしていても気持ちはなかなか変わらないもの。であれば、思い切って布団から出て「腰に手を当ててみる」「拳を天に突き上げてみる(下記『キッパリ!』の表紙を参照)」などのポーズをとってみてはどうでしょうか。
ちなみに私事ですが、朝は軽い運動も兼ねてラジオ体操をすることを習慣にしています。ラジオ体操をしているだけなのにしっかりと確実にやる気スイッチが入るから不思議なものです。
3. 「よーし!」と掛け声をかけてみる
掛け声が潜在的な力を引き出すことに有効であるのは誰もが知っているはずです。きつくて開かないボトルのキャップを開けるときに声を出しながら力を込めたら開いた、という経験のある人もいるでしょう。
これは科学的にも証明されていて、リヨン大学のラバヒらの研究によれば被験者に「ジャンプ!」と言わせて垂直跳びをさせたところ、平均で5%高い記録が出たというものです。
この掛け声の効果はスポーツにおける瞬発力だけにもたらされるものではありません。ひとつの仕事が終わって次に取り掛かるとき、「よし終わった!次!」と掛け声を出してみる。集中力を発揮して早く仕事を終わらせたいとき「集中、集中、サクサク進む」などと心の中で唱えてみる(実際に声に出さなくても効果がある)。
朝に会社に行きたくないときであれば「よーし!」「がんばるぞ!」「わーい!」と意味のあるものから意味のないものまで、何でも良いので気合を入れるために掛け声を出してみることによってやる気が出てくるのです。ちなみに私は、すごく抽象的なのになぜかやる気が出てくる「よーし!」が気に入っています。
4. 深呼吸をすると緊張やストレスが少なくなる
深呼吸とストレスの関係を解き明かした研究は数多く、そのいずれにおいても「深呼吸は緊張・ストレスを緩和する」との結果が出ています。具体的には、過剰なストレスによって分泌されるコルチゾールの減少、心拍数の減少、脳波のポジティブな変化、などです。
常に緊張状態でストレスを抱えている状態が続いていることが、仕事に行きたくないとの感情を呼び起こしてしまいます。誰でも仕事は嫌で面倒なものですが、心のどこかで折り合いをつけ、自分で納得して職場に出かけます。だけど、常にストレス状態であると折り合いのつけようがないのです。
そこで深呼吸によって少しでもリラックス状態を創出しましょう、ということです。オーバーヒートしがちな脳に「今は休んでいいときだよ」と教えてあげるのが深呼吸の役割です。
コツは「ゆっくり」です。ゆっくり吸って、20秒くらいかけて息の全てを吐き切るイメージです。それを何度か繰り返すうちに気持ちも落ち着いてきて、頭もニュートラルになっているはずです。行きたくない会社に行くかどうか決めるのは、落ち着いて深呼吸をしてみてからでも遅くありません。
5. シャワーを浴びると自律神経が整う
時間に余裕のある人ならシャワーを浴びてみるのはどうでしょう。千葉大学リー教授らの研究によれば、午前中に40℃のお湯でシャワーを浴びた被験者はリラックスしている時に出る脳波であるアルファ波が多くなったとのことです。朝にシャワーを浴びると脳がシャキッと目覚めるのです。
コツはやや熱めの温度で5分程度浴びること。なぜ朝にシャワーを浴びると脳が目覚めるかというと、自律神経の中の交感神経が刺激されるから。交感神経を刺激することによって今日一日のやる気コンディションを整えることに繋がるのです。逆に、自律神経の働きが良くないと意欲が出なかったり本来のパフォーマンスが発揮できなかったりしてしまいます。
さあ、今、時間があるなら早速5分でいいのでシャワーを浴びてみましょう。余裕がないのであれば、明日の朝、一度だけでいいからやってみてはどうでしょう。それでスッキリとした一日を送ることができたなら儲けものです。
参考文献:
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