就職面接で必ず聞かれることは、「志望動機」というのは知られた話です。
そこで、面接の事前対策として「志望動機を聞かれたら、御社の理念に惹かれるところがあったとか適当に答えよう、なんとかなるだろ」などと考えるわけですが、それだけでは全く不充分。
企業としても本気で採用しようとしてくるわけですから、こちらも本気で立ち向かいましょう。本気と本気とのぶつかり合い、それが面接。
後に具体的にお話しますが、志望動機を聞かれたら、「なぜ他社ではなく、その会社なのか」という理由を、「原稿の棒読みではなく、自分の言葉で」伝えることが理想です。
「なぜ他社ではなく、その会社なのか」に答えることは、基礎です。軽い事前準備で何とでもなります。
ですが、「原稿の棒読みではなく、自分の言葉で」となると、なかなか難しい。「自分の言葉で」ということは、どんなに突っ込まれた質問をされても、臨機応変に対応できるということだからです。
そういった秀逸な対応ができるということは、「弁が立つ」「頭の回転が速い」などの資質のある人だけの特権ではありません。
こちらも準備次第で何とでもなるのです。
ただ、必要なのは普通の人以上に準備を怠らないこと。
志望動機一つにしても、あらゆる可能性を多面的に考えて、突っ込まれた質問をされても頭の中の準備の引き出しを開けて対応できるようにすることです。
私自身、「弁が立つ」「頭の回転が速い」という資質とは無縁です。
ですが、そういった自分の欠点を理解していたために、二度の転職を周到な準備によって何とか乗り切りました。
転職・再就職・中途採用の面接対策における具体的な4の質問と模範解答を見ていきましょう。
1.「自己紹介をして下さい」
ポイント
面接では一番最初に「自己紹介して下さい」と促されるのが定番です。
もちろん、「山田権蔵です。本日は宜しくお願い致します」とごくごくシンプルな自己紹介をするのも無難ですが、面接官に良い印象を与えるようなプラスアルファがあれば尚良いでしょう。円滑な面接も期待できます。
プラスアルファとは、例えば、短めのセールスポイントや志望の意気込み、あるいはマイナス面のフォローや本音をちらりと盛り込むことです。
自信がない場合は無理に行う必要はありませんが、アドリブを利かせることのできるくらいの余裕を持って面接に望むことができれば素晴らしいです。
具体例・模範解答
・山田権蔵と申します。前職では年間最優秀セールス賞を頂いたことがあり、営業力には自信があります。宜しくお願い致します。
・山田権蔵と申します。御社の製品を学生時代から愛用していて、憧れの存在でした。本日はそんな御社の面接、大変に緊張しており、お聞き苦しい点もあるかとは存じます。宜しくお願い致します。
やってはいけないこと
ごくシンプルにアピールすることが狙いですので、自己紹介の段階で長々と話してしまうことはご法度です。
緊張していると、自分がどのくらい喋ったか覚えていなかったり、正確な意図を伝えるために次々と説明してしまいがちで、意外と長く喋ってしまいます。
一言付け加えるくらいで丁度いい分量であると覚えておきましょう。
また、ウケ狙いの一発芸などは、確かに面接官の印象に残るでしょうが、マイナスの印象になる可能性が殆どです。
チャレンジ精神は大事かもしれませんが、堅実に行くほうが無難です。
2.「職務経歴を教えて下さい」
ポイント
中途採用・キャリア採用の場合、職務経歴は必ず聞かれます。
企業にとっての即戦力として活躍できる人物かどうかを見極める重要な質問ですから、きちんと対策をしておきましょう。
職務経歴の語り方にもセオリーがあります。
1. 最終学卒から順に話していく
2. 経験職種が多い場合、キャリアごとに束ねて話す(例外的措置)
殆どの場合、学卒の段階からの時系列順で話せば問題ありません。
具体例・模範解答
・高校卒業後、平成○○年4月に○○株式会社に新卒入社、○○部に配属となりました。そこでは○○の経験をさせて頂きました。その後、平成○○年5月、○○株式会社に転職し、現在に至ります。
・大学卒業後、現在までの5社での勤務の中で、営業7年、企画4年、経理3年を経験し、現在に至ります。
やってはいけないこと
後者のキャリアで束ねて話す方法はわかりづらくなってしまう場合もありますので、効果的と思われる時にだけ例外的に使用しましょう。
職務経歴を話す際に注意すべきことは、応募企業が何を求めているかに焦点を絞ることです。メリハリを付けること。
経理職を募集しているのに、経験の長い営業職の話を延々としても意味がないということ。面接官が求めている答えと違うのです。
3.「転職理由を教えて下さい」
ポイント
面接官を納得させる回答が絶対要件ですから、きちんと対策をしましょう。
漠然とした答えでは面接官の心に響かないばかりか、突っ込んで質問された際に何も答えられない事態になってしまいます。
面接官を納得させやすい回答パターンとしては2つあります。
1. 現状は厳しいので、新天地を探している。
2. 御社に強く惹かれた。
いずれにしても、きちんとした根拠のもとに答えることが重要です。
上辺だけの薄っぺらい面接用の志望動機はすぐに見抜かれます。
とは言え、すべての人に正当で熱い志望動機があるとは限りません。嫌だから転職したい、という人が大部分でしょう。
でも、「前職が嫌だったから」と答えるわけにはいきません。
どのような回答をすれば面接官が納得するか、どんなことが突っ込んで質問されそうか。
これらを熟慮して面接に望むこと、それこそが対策です。転職は対策が9割。
志望動機を捻り出すには苦労するでしょうが、正念場です。
具体例・模範解答
・現職では○○の仕事に携われると聞いて入社したけれど、事業が打ち切りになってしまったためです。
・事業縮小によるリストラが始まり、残っても先が見えそうにないからです。
・御社の求人に魅力を感じ、心を打たれました。現職に不満はないが、御社への転職を強く希望するものです。
やってはいけないこと
現職への不満・文句はご法度です。「給与が安くて」とか「激務で」とか、ついつい軽い気持ちで話してしまいそうなのですが、そういった本音は絶対に言えません。
冒頭でも触れましたが、志望動機はきちんと時間をかけて面接官を説得する気持ちで臨みましょう。
なんとなく「キャリアアップのため」というような回答は、全く意味をなしません。「現職ではこれ以上の昇給は望めない。家族を養うために、キャリアアップを決断した。御社で死ぬ気で頑張る」くらいのことを言わないと、なかなか面接官は納得してくれません。
本当に転職しなければならない状況なのか。現状を改善できる余地はないのか。転職しても同じことの繰り返しにならないと言えるか。
それらの懸念を払拭すべく、きちんと細部まで対策を練り、丁寧に回答しましょう。
4.「志望動機を教えてください」
ポイント
これもよく聞かれる質問です。前項の「転職理由」と重複する部分もありますが、基本的にはありのままを話せば良いです。
特に明確な志望動機が見つけられない場合は、その企業についてよく調べ、分析し、魅力的な部分を見つけましょう。
また、説得力のある志望動機を丁寧に伝えることはもちろんですが、聞かれていることに的確に答えることが重要です。
志望動機にも「この業界の志望理由」「この会社の志望理由」「募集職種を志望する理由」「入社したらしたいこと」と細かく分ければ4つの意味合いが含まれます。
面接官は、上記4つの段階にわけて質問をしてくる場合がありますから、聞かれていないことを先走って長々と喋ってしまうと、印象がよろしくないばかりか、致命的になる可能性もあります。
やってはいけないこと
志望理由は提出済みの履歴書に既に書いてある場合があります。
ですが、それをそのまま暗記して話すことは、全く意味のないことです。読めばわかるからです。
むしろ、履歴書に書ききれなかった詳しい情報や新しいエピソードを付け加えて入社への思いを語るようにしましょう。
また、入社への思いに加えて、入社したら即戦力として貢献できることもきちんと話しましょう。
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