私見では、合わない仕事にはさっさと見切りをつけてしまうべきだと考えていますが、「仕事が合わない」と一言に表しても内実は様々なパターンがあるでしょう。ここでは5種類に分類してそれぞれについて検証していくと共に考え得る解決策を提示していきます。あなたに当てはまるパターンがきっとあるはずです。
「今の仕事に行き詰まりを感じる」「仕事にやりがいがない」など、仕事で悩む人の手助けになれれば幸いです。
1. やりたい仕事じゃない
自分のやりたい仕事に就ける幸運な人はごく少数です。多くの場合、自分が何をやりたいのかさえわからないままに就職戦線に巻き込まれて、もみくちゃにされてしまうのが実情です。「就職は自己実現である」というのは理想論としては正解ですが、現実的な指針としては瑕疵があるように思います。
就職・転職市場において「やりがい」という言葉を耳にすることが多いかもしれません。誰もが「やりがいのない仕事」よりは「やりがいのある仕事」をしたいと思っています。だけど「やりがい」は宝探しではないのです。「やりがいのある仕事」というのが落ちているのではなく、「やりがい」は私たちの中から湧き出てくるものであるということです。
「やりがいのある仕事」をするためには、まずは「やりがいのある仕事」が落ちていないか探すのではなく「今、目の前の仕事と向き合い、とりあえず一生懸命にやってみること」が重要な要素になってきます。根性論ではありません。でも、とりあえずはやってみる姿勢を持ってみること。その過程の中で思わぬうちにやりがいが沸々と生まれてくる可能性があります。
逆に、やってみたけど全然興味が持てないという場合、それは「仕事が合わない」ということです。もう少し頑張ってみるか、潔く転職してしまうか、自分と良く向き合って考える時なのです。
2. 労働時間が合わない
人は二種類にわかれます。すなわち「何十時間でも何日連続でも働き続けることができる人」と「絶対に休息が必要な人」です。殆どの人は後者に当てはまると思うのですが、たまに「仕事=人生」となってしまっていてその価値観や働き方を押し付けてくる前者のような人物がいるから社会というものは厄介です。
いくらやりたい仕事であるとは言え、24時間ぶっ続けでやり続けることができることとやる気とは関係がありません。やりたい人はやればいいけれど、勝手にやってくれという話です。長時間労働の押しつけは法律違反であることは自明ですが、それ以前の話として、休息や休日がなければ身体を壊してしまいかねません。何十年も続いていく社会人人生が長く持ちません。仕事は細く長く続けていくべきです。
仕事において重要なのは仕事以外の時間であると私見では考えます。長時間労働に苛まれてもううんざり、精魂尽き果てたという人は「労働時間が合わない」のです。人によって必要な休息時間や生活リズムは違います。自分に最適で幸福なライフスタイルを実現するためにも、体を壊してしまう前に行動を起こすべきであると考えます。
3. 人間関係が合わない
社会人として仕事をしていく上で最も多い悩みが人間関係です。人間関係は運の要素を含むところがなかなか厄介です。一緒に働く人は自分では選べないのです。
1. 外的な要因 ―365日連続出勤させられていた同期の例
私がかつて勤めていたスーパーマーケットの同期に365日毎日出勤させられている人がおり、その上司も一年間毎日出勤し続けていました。なぜそのような狂気じみたことになっているのか、内情は私にはわからないのですが一つ言えることはその同期は「不運だった」ということです。そのスーパーの中でも一年間休みなく出勤し続けている人を私は彼ら以外に見たことがありませんから、その狂気の上司の元に異動してきてしまったことが運の尽きであったということです。
もちろん、上司以外にも同僚、部下、取引先など、私たちを疲弊に追い込む可能性のある人間関係は包囲網を形成しています。人にはいろいろな種類がいて、対人ストレスを全く感じないという人もいれば、人と過ごすこと自体が耐え難いストレスであるという人もいます。
2. 内的な要因 ―私の例
私は10年間で2度の転職、つまりは3つの職場を渡り歩きましたが、それでわかったことは私にとって「人と過ごすこと自体が耐え難いストレス」であるということです。仕事を続けるうちにどうしても体調が悪くなってしまうのはなぜだろう、精神状態が荒んでいってしまうのはどうしてだろうと考えた結果、その答えに行き着きました。私は常に一人でいたいのです。仕事とは人間関係を調整することと同義であるので、それは社会人としては致命的な問題です。
で、私はこれ以上ストレスを溜めずに健全な人生を送っていくために、出勤日数を週2〜3日に減らし、残りの日は在宅で仕事をすることにしました。出勤日数を減らすことを推奨しているわけではありませんが、こういう選択肢もあるのだということを覚えておけば人間関係に疲弊してしまった際の逃げ道になるのではないかと思います。
4. 給与が合わない
給料とはつまり自分の生活のことです。人それぞれに理想の生活レベルがあって、それを実現するための理想の給与があるはずです。「給与が合わない」要因は主に2つあります。
1. 生活できないほど給与が低い
生活していくための仕事なのに最低限の生活もままならないのは本末転倒であり、何のための仕事なのか、何のための人生なのかわからなくなってしまいます。但し、自分の夢を実現するために今は厳しい時期を臥薪嘗胆しているという人もいるでしょう。要は仕事と収入についてどの辺で折り合いをつけるかという問題になってきます。
収入が低くても、ある程度支出を減らせば生活を維持していくことは可能です。しかし、例えばやりたくもない仕事を長時間させられてストレスを抱えた上に極貧生活を強いられるとなれば、その職場に居続けることは考えものであると思います。
2. 正当な報酬を受け取っていないと感じる
生活レベルに不満はなくても労働の対価としての給与に不満がある場合、モチベーションの激しい低下に繋がります。つまりは、労働量や成果に対する報酬が少ない、同じ仕事をしているにも関わらず給与に格差があること、残業代の未払い、管理職手当が少なすぎることなどに起因する問題です。
こういった不満を抱えてしまった場合、自分の実力を認めてくれて正当な報酬をもたらしてくれる会社が他にあるはずだと考えて転職を志向しがちですが、年収アップを目的にして安直に転職に飛び込むのはおすすめできません。なぜなら、衝動的な転職によって年収が上がったという例は実際には一握りだからです。
まずは自分の会社に対して、恐れることなく自分の不満をきちんと表明することから始めましょう。私もかつて「仕事の量や責任が増え、スキルも上がっているのに給与が増えていないのは不満だ」と社長に直訴(零細企業なので直属の上司が社長だった)した結果、スムーズに給与を上げてもらうことができました。
まずは身近なところでできることをきちんと果たす。転職を考えるのはそれからでも遅くありません。私の友人に転職によって年収が5倍になったという奇跡のような実績を持つ者もいますので、転職に希望が全くないわけではありません。
5. 会社の方針が合わない、将来性がない
興味のない仕事ではないし、給与も悪くない、労働時間も平均程度、人間関係も良好である。だけど社風や方針が合わないということもあります。例えば「体育会系の職場である」「会社の方針に疑問を感じる」。あるいは「将来性がなさそうである」などです。
自分の望む条件にピッタリと合う職場を見つけられる人なんていません。自分で起業したとしても現実と理想が乖離していく場合が往々にしてあるのですから、既存の組織の中にこちらから飛び込んでいかなければならない就職によって理想の環境を手に入れることができるのは、奇跡以上の何かであると私は考えます。
それでも人は働かなければ食べていけない。要は妥協点をどこに求めることができるかということです。私は「仕事が合わなければすぐにでも辞めてしまって構わない」という考えを持っていますが、それには前提条件として「自立、自己責任」があります。つまりは「自分で責任を取れる範囲であれば何をしても構わない」ということです。
合わない仕事をだらだらと続けていられるほど人生は長くない。人は簡単には死なないけれど、つまらないことを強いられる人生は死んでいるも同然であるという考え方もあります。
以上見てきたことをまとめれば、「仕事が合わない」ことへの対処法は
1. とりあえず今できることを死なない程度に頑張ってみる
2. それでも合わないと感じるなら転職を視野に入れる
に求められることを本稿の結論として提示しておきます。
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