ネットカフェ難民(ネカフェ難民)については様々な意見があって紛糾する議題のうちのひとつですが、生きていくのための選択肢として有効であるかどうかを本稿では検証していくものです。
ネットカフェ難民として支出をできるだけ少なくできるなら、お金を稼がなくて良い(あまり働かなくて良い)生活を実現できます。そういう生き方については誰も否定できるものではないと思います。また、ある日突然に住む場所を失ってしまうリスクは誰にでもあります。そんな時に「ネットカフェで生活するにはどのくらいの費用がかかるのか」を知っておくことは損ではないでしょう。
ちなみに私は3ヶ月程度、貯金を潰しながらネットカフェ難民をしていたことがあります。その経験も踏まえながら「ネットカフェ難民でお金を使わずに行きていくための生活の収支」を検証していきましょう。
1ヶ月の生活の収支
家賃(ネットカフェ料金) 60,000円
食費・雑費 10,000円〜20,000円
水道光熱費 0円
スマホ・インターネット 0円〜3,000円
洗濯代 0円〜5,000円
国民健康保険料 5,000円
計75,000円〜93,000円
詳細の解説
家賃(ネットカフェ料金) 60,000円
ロングステイ・長期滞在が可能なネットカフェを利用することがランニングコスト削減のために必要不可欠です。私は難民当初、長期滞在できるネットカフェを知らずに1泊4,000円〜5,000円を毎晩支払って宿泊してしまっていました。その後、1ヶ月25,000円程度で24時間出入り自由のネットカフェを見つけて、そこに滞在していました(今は値上げしてしまったようです)。
例えば、サイバーカフェ(http://s.cyber-a-cafe.com/)ではロングステイで1日あたり1,920円で利用でき、共有のシャワー室も完備されています。この料金を元に1ヶ月60,000円を算出しています。
ネットカフェ料金は田舎や地方都市よりも、都内が圧倒的に安く、店舗も見つけやすいです。ネカフェ難民になるなら都内に出ることが必要不可欠です。
食費・雑費 15,000円〜20,000円
生活にかかる変動費としての「食費・雑費」です。生活スタイルによってこの金額は大きく変わってくるでしょう。食費を1日500円で過ごせば1ヶ月で15,000円。しかし、1日3食とも外食でラーメン(1食1,000円とする)を食べてしまえば1ヶ月の食費は90,000円にもなってしまいます。
自炊ができれば食費を1日500円に抑えることは容易ですが、ネットカフェ難民のネックは自炊や食料の保存ができないところ。その上、酒や煙草を嗜むとなればさらに費用が逼迫されます。かなり質素な生活をするか、何らかの工夫をしない限りは食費・雑費は必然と高くなると言っていいでしょう。
ここでは15,000円〜20,000円としましたが、普通の生活をする上でこれはかなり低めに見積もった数字です。その反面、炊き出しや廃棄品を最大限活用して無駄なものを全く買わないことで0円にすることも不可能ではありません。
水道光熱費 0円
ネットカフェ難民のメリットとして水道光熱費がかからないことが挙げられます。家賃としてのネットカフェ料金の中に含まれています。
但し、一人暮らしにおける水道光熱費は1ヶ月あたり5,000円〜10,000円程度ですので、コスト削減として大きく寄与しているかどうかは考え方によると思います。
スマホ・インターネット 0円〜3,000円
インターネットは使い放題であるので、自宅へのネット回線の費用も節約することができます。スマホでモバイル回線・電話番号を使用するなら格安SIMで安くて1,500円程度、快適に使うなら3,000円程度かかります。
洗濯代 0円〜5,000円
意外な盲点は洗濯にかかるお金です。速乾性の服を揃えて公園やシャワー室で洗うなどすれば0円で乗り切ることも可能です。
コインランドリーやネカフェに備え付けの洗濯機を使うとなれば、月に10回洗濯するとして5,000円程度かかると思われます。洗濯の回数を減らすためには服を多く持つか、着用する日数を増やすことになります。
国民健康保険料 5,000円
税金の問題です。およそ所得が30万円以下であれば国民健康保険料は7割減額となり、1ヶ月あたり約5,000円となります。上述したサイバーカフェを含めて住民票登録が可能なネットカフェもあるので、請求はそこに届くことになります。
また、所得が30万円以下であれば同様にして住民税(市県民税)、国民年金は非課税となります。つまり、0円です。住民税は地方自治体によって非課税となる所得金額が異なり、国民年金は要申請です。
ちなみに、住所不定にしておくことで各種税金の請求は来ないことになりますが、免許の更新ができないなどのデメリットもあります。国民健康保険料は2年、住民税や所得税は5年遡って請求が来ることになっているので、どこかに転入した際に特に国民健康保険料の請求がどっと来る可能性もあります。
ネットカフェ難民のメリット・デメリット
以上が金銭面における概算です。現在地方都市で一人暮らしをしている私の生活費が税金を含めて月10万円以下であるので、ネカフェ難民とほぼ同じ支出金額(本稿の概算で75,000円〜93,000円)で賃貸物件に暮らしていることになります。それでも、ネットカフェ難民にメリットがないかというとそうでもないでしょう。
メリット
・何らかの事情によって賃貸物件を契約できない人にとっては拠り所になる
・身軽に生きたい人にとっては最適な空間になる
・都心に近い場所に住んでいると考えればランニングコストは安いほうである
デメリット
・チェアに座ってずっと眠っているとエコノミークラス症候群のリスクがある(長期滞在ならフラットの部屋が良い)
・盗難等セキュリティーの問題
・合わない人にとっては精神的に疲弊する
・ロングステイ可能なネットカフェがなくなったら路頭に迷う
総論
ネットカフェ難民は努力と工夫次第では月10万円以下で生活が可能であると概算できました。しかし、賃貸アパートに居住しながら月10万円以下で生活している人はたくさんいます。そう考えれば、ネットカフェ難民にそこまで節約効果があるのかというと疑問符が付きます。
しかし、人生何があるかわかりません。ある日突然住む場所がなくなってしまうかもしれない。そんな時のリスクマネジメントとして「ネットカフェなら月10万円程度でなんとか生活できる」ことは覚えておいて損はないと思います。
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