公共職業訓練の目的は、ただひとつ「訓練生の再就職」です。
どれだけの人を再就職に導いたか。それが職業訓練校の実績となりますから、訓練校では「再就職の見込みのある人」に合格通知を発送し、入校を許可します。
とすれば、職業訓練校の面接の際に重要な事は、もうおわかりですね。
ポイントは3つに絞られます。
・就職への意欲があること
・真面目に訓練校に通えること
・職業訓練を受ける目的が明確であること
面接で聞かれる質問も極めて普通の質問ばかりです。不意打ちのような質問は決してありません。
「普通の質問に、適切に答える」ことが重要となります。
「就職の面接」と「職業訓練の面接」の違い
就職試験の面接との最大の違いは、職業訓練校では特異な人を求めているわけではないということです。
就職においては、何か人と違う点をアピールすることによって、面接官の印象に残り、採用されることが往々にしてあるでしょうけれど、職業訓練校ではとにかく、「真面目に職業訓練に取り組み、再就職にそれを生かせそうな人」が合格します。
また、求められる能力についても違いがあります。
就職試験においては、能力の高い人が採用される傾向にありますが、職業訓練においては、スキルの高さは逆に仇となる場合があります。
職業訓練校は再就職のためにスキルアップする場所ですので、そもそもスキルのある人を合格させる可能性は低いです。スキルや能力があることをアピールすることは逆効果になりかねないので注意しましょう。
個性が強くて風紀を紊乱しそうな人、コミュニケーション能力に乏しそうな人も選考の対象から外れていきます。
繰り返しになりますが、就職試験とは違いますから、「活躍しそうな人」ではなく「職業訓練を真面目に受講し、就職の見込みがある人」が合格するのです。
きちんと対策し、真面目そうな感じを装い、普通に朗々としていれば、合格率はグッと上がります。
職業訓練校の面接の対策をきちんとしてくる人は意外と少ないですし、対策マニュアルも豊富に揃っているわけではありませんから、きちんと対策してきた人が圧倒的に有利になります。
面接の雰囲気は? 服装は?
私の場合は、志望者が少なかったこともあったのでしょうが、個人面接でした。面接官二名に対し、私一人です。
ある種の就職面接とは違い、威圧的な感じはありませんから、怯える必要は全くありません。
服装は、スーツ着用です。第一印象が違います。「服装は自由」と言われていてもスーツで行きましょう。
面接時間は10分〜15分程度でした。
学科試験などはありませんでした。
志望理由「手当がもらえるから」は厳禁
どこの面接でも志望理由は必ず質問事項の中に入っていて、職業訓練でも例外ではありません。
ところで、職業訓練を受講することによって失業手当の給付延長、受講手当の給付が可能になりますが、それを目的に職業訓練を受けたいという人もいると思います。
ですが、面接の際にそれを志望理由に挙げることは絶対にNGです。絶対です。
面接では再就職への意欲をアピールすることが最優先課題となります。
面接官の質問の意図は、「なぜすぐに就職活動をするのではなく、職業訓練を選ぶのか」ということです。
全ての面接と同様に、職業訓練においても志望動機は極めて重要な項目です。
下記で詳しく解説していきますが、きちんと受け答えを考えて面接に望むことが肝要となります。
予想される質問と模範解答
ここからが本題です。
職業訓練の面接において聞かれるであろう質問と、それに対する適切な回答について見ていきましょう。
私が実際に職業訓練を受講した際に尋ねられた質問も入っています。
尚、Microsoft Officeのスキルを学ぶ職業訓練の面接という前提で模範解答も示しておきますが、人それぞれの事情や動機もあるでしょうから、多少アレンジや脚色して使用することが推奨されます。
ここに示す模範解答は単なるアウトラインです。
Q. この訓練校への志望理由は?
模範解答:
私は事務職を志望しています。以前の職場でもMicrosoft Officeは使っていましたが、きちんと勉強したことがなく、独学で必要な部分は調べながら使用していました。正直、力不足を感じていました。Microsoft Officeについて一からきちんと勉強させて頂き、スキルと自信を身に付けて就職活動へ望むべく、こちらの職業訓練を志望致しました。
ポイント:
「〇〇の職に就きたいが、勉強不足である、△△の部分がわからない。なのでこのコースを志望した」というのがベストです。上記は当時の私の実際の回答です。
前述の通り、「手当がもらえるから」は厳禁です。
同じく、単に「資格を取りたいから」、「勉強したいから」でもダメです。「就職のために」という目的がなければなりません。
ちなみに、私が通っていた職業訓練校ではMicrosoft Officeの中でも珍しくAccessというデータベース管理ソフトの授業もありました。
「他のコースではなくて、なぜこのコースなのか」と問われた際に、「私の就きたい職業ではAccessを主に使っているようなので、Accessの勉強がしたい」と回答した訓練生がいたと聞きました。秀逸な回答であると思います。
「なぜ就職活動ではなく、職業訓練なのか」「なぜ他のコースではなく、このコースに応募したのか」に対する明確な回答が用意できていれば完璧です。
Q. 前職の退職理由は?
模範解答:
・会社が倒産したためです。
・契約打ち切り、解雇です。
・親の面倒を見なくてはならないため、実家近くの職場へ転職しなければならなかったからです。
・過労働により身体を壊しそうになってしまったからです。
ポイント:
難しい質問です。なぜなら、全員が全員に正当な退職理由があるとは限らないからです。
やむを得ない事情による退職(倒産など)であることを伝えることができればベストですから、そういった会社都合退職である場合は、それをそのまま伝えましょう。
リストラの場合でも、そのまま伝えて構いません。リストラされた人が不遇であるなんてことはありません。
どちらかと言えば、そういった会社都合退職のほうが、やむを得ず職を失ったという事情が考慮されて、合格へ優遇される可能性がなくはないと私は考えます(本当のところはわかりませんが)。
間違っても、「上司と喧嘩したからです」や「何か嫌になったからです」というのは、それが本当の理由であっても、面接で言うのは厳禁です。社会人として問題のある人とみなされてしまう可能性があります。
前職の悪口なども、もちろん禁物です。
難しい質問とは言え、大切なのは「これから再就職するという意欲」です。
どうしても立派な退職理由が思い付かない場合、「仕事が合わなかった」「激務だった」などの理由でも構わないと思います。その分、志望理由を明確なものにしましょう。
ちなみに私は、「体調不良のためです」と正直に回答し、「今はもう治って、就職もできる状態です」と付け加えて起きました。
Q. これまでの就職活動状況はどうですか?
模範解答:
就職活動は既に始めていて、既に1社に応募し、残念ながら不採用でした。その後も継続してハローワークや求人誌などで情報収集を行っているところですが、前述の不採用の原因が、もしかしたら企業の求めるスキルを自分が満たしていないのではと思い至り、今回、それら能力を身に付けさせて頂くべく、職業訓練に応募させていただいた次第です。
ポイント:
嘘をつく必要はありません。応募していないなら、応募していないと正直に答えましょう。
ただ、応募に至らない明確な理由と、就職への意欲は有していることをきちんと伝える必要があります。「今までやってこなかったので、これからは頑張ろうと思います」のような抽象的な表明では説得力がありません。
応募をしていない、求職活動をまだ始めていない場合は、「ハローワーク等で情報収集はしているが、企業の求めるスキルに自分が見合わないことを感じているので、職業訓練に応募させて頂いた」というのが模範解答になると思います。
もちろん、「それはどんなスキルで、どんな企業ですか?」なんて突っ込んだ質問をされても大丈夫なように、きちんと頭の中で辻褄は合わせておきましょう。
Q. 職業訓練中に就職活動は行いますか?
模範解答:
就職活動は訓練校に通いながらも継続していきたいと思っています。
ポイント:
正直、これは何とも言えないところではあります。
例えば、私の通っていた職業訓練校は6ヶ月コースだったのですが、「最後の1ヶ月で就職活動が解禁(就職活動による遅刻・早退・欠席が認められる)になるので、最初の5ヶ月は訓練に集中するように」と言われました。
ですが、面接の際に「訓練期間中は訓練に集中したい」と言うのは、マイナスポイントになり得ると考えられます。
訓練生の目的は「訓練の修了」ではなく「再就職」にあるからです。そして、その再就職が職業訓練校の実績に繋がると考えれば、やはり「就職活動は継続していきたいと思っています」が正解に近いでしょう。就職への意欲があることのアピールにもなります。
Q. Microsoft Officeはどの程度使えますか?
模範解答:
(特になし)
ポイント:
模範解答はありません。正直に答えればいいと思います。
ただし、注意点としては、例えば、同じMicrosoft Officeの職業訓練でも初級、中級とがある場合があります。初心者であるにも関わらず中級者向けのの職業訓練を志望するとなると、とりわけ強い志望動機が必要になるでしょう。特に、選考倍率が高い場合は尚更です。
倍率が低い場合は、さほど気にしなくてもいいと思います。
それよりも逆に、スキルのアピールはご法度です。前述の通り就職試験ではないので、能力のある人よりも、「スキルや知識がないから職業訓練で学びたい」という意欲のある人に入校資格が与えられます。
間違っても、「Excelは前の職場で叩きこまれたので完璧です!」などと答えては逆に印象が悪いです。職業訓練に通う必要がないとみなされます。
「Excelは使ったことはありますが、まだまだ知識不足なので勉強したい」くらいでちょうどいいです。
Q. 毎日きちんと通えますか?
模範解答:
はい。
ポイント:
念のため聞いているような質問です。この手の質問、つまり、「はい、大丈夫です」以外に答えようのない質問もされますので、その際には、堂々と面接官の目を見て「はい」と答えましょう。
私の場合は、自宅から職業訓練校までかなり距離があったので、「遠いところから通うようですが、大丈夫ですか?」という意図での質問であったと認識しています。
Q. たくさんの人と一緒に学ぶことになりますが、コミュニケーションには自信がありますか?
模範解答:
はい。前の職場でも社員同士でコミュニケーションを取りながら円滑に仕事をしていたので、自信はあります。
ポイント:
同上です。「はい」というポジティブな回答は以外はありえません。
私の場合は、「はい。自信があるっていうほどではないですけれど、人並みにコミュニケーション能力はあると思います。前の職場でもパートさんとコミュニケーションを取りながら仕事をしていました」と答えました。正直、人見知りなので。
まとめ
冒頭でも述べた通り、職業訓練における面接の際に面接官に伝えるべき要点は3点です。
・就職への意欲があること
・真面目に訓練校に通えること
・職業訓練を受ける目的が明確であること
中でも一番重要なのが、「就職への意欲があること」です。
面接の際には、自分の中でストーリーを描いて臨みましょう。
つまり、「〇〇に就職したいが、能力が足りなくて不採用になった、あるいは、応募がためらわれる。従って、職業訓練校で再就職のための能力と自信を身に付けたいと思い、応募した」
このストーリーは鉄板です。王道です。
上記をアウトラインに、あとは各自でアレンジして、自信を持って面接に臨みましょう。
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