人は二種類に分けられる。
すなわち、日記をつけている人と日記をつけていない人である。
とは言え、日記を書いている人というのは、あまり見かけない気がする。
私の人生の中でも、日記を書いているという人には数人にしか出会ったことがない。
もちろん、日記というのはその性質上、「私日記書いてるんです!」と周囲に喧伝すべきものというよりは、自分一人で楽しむものである。それに加え、日記を書いているからといって、特に自慢にはならないということもある。
日記を書いているというと、なんとなくオタクっぽいと言いますか、自己陶酔型の人かなと思ってしまう節がどうしてもある。
私だけかもしれないが。
だけれども、日記を継続して付けることには、我々の心においてメリットがあることをご存知だろうか。
日記をつけている人の特徴
先に私は、日記を書いている人はオタクっぽくて、自己陶酔していそう、と書いた。同じ印象を持つ人も多いのではないだろうか。
そう、これはまさにその通りだそうである、
心理学者のジャミー・ペンネベイカー氏は、「日記を書くことによって、誰でも自己陶酔することができる。日記を付けている人は、そうでない人よりも、同じ話を繰り返しする傾向にある」と述べている。
何だ、日記にはメリットなんてないじゃないか。
と思うのは尚早である。
日記に関する2つの実験
1. トラウマの改善
あるトラウマ(心的外傷)を受けた人たちにそのときの経験を綴るように依頼し、一日に十五分かけて四日間続けてもらった結果、彼らの日常生活がほかの人たちよりも大きく改善された。
2. 傷が癒えるのが早まった(本当かよ)
小さな同一の傷を数名の患者の皮膚に付け、彼らのうちの何人かにそのとき受けたストレス体験について、一日十五分かけて数日間書いてもらい、超音波で傷をモニターしたところ、ストレス体験について日記を書いた患者の傷の回復が、そうでない患者よりも早かった。
日記にはストレス軽減効果がある
つまり、日記がストレス対策になるということが上記実験により示されている。
ストレスの対象を日記につけることにより、ストレスが軽減される効果が認められているのである。
実験によれば、一日15分を数日間とあるから、我々にとってもそれほど難易度の高いものではあるまい。簡単で、誰にでもできる。
少なくとも、一日たったの15分日記を書き、それをたったの四日程度続けることにより、ストレス軽減効果が認められるのである。
ストレスと向き合う考え方。もう逃げ回らないためのたった1つの解決策
それにしても、患者の皮膚の傷が治るのが早かったという実験は、本当だとしたら人体の驚異である。
日記を書き続けると、自己陶酔から目覚めることができる
日記を書くと自己陶酔に浸ることができる、と先に書いた。
もしかしたら、自己陶酔の傾向にある者が好んで日記を書くのかもしれないが、それはどちらでもいい。
いずれにしても、日記を書くことを続けていると、その自己陶酔から目覚めることができる、とペンネベイカー氏は言っている。
ストレスの対象について書いた日記であっても、最初は感情的な文章だったものが、次第に思慮深いものへと変わっていくというのである。
つまりは、書くという作業は、単なるストレス解消だけではなくて、継続することによって、問題を客観的に捉え、具体的な解決へと思考を導く作用があるのである。
これは、書き始めてから数日のうちに効果が現れるという。
このような効果を期待するために注意すべき点は、その日記の内容を誰にも見せないことである。
親しい誰かに見せるために、読んでもらうために書くのではなく、あくまでも自身の心の整理のために、自分と向き合って書くという態度が重要になる。
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