【ブラック?】スーパーマーケットの新入社員研修で経験したことの全て

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新卒でスーパーマーケットに入社しました。2年半勤めた後、もう既に退職しています。

ここに書くのはそのスーパーマーケットでの新入社員研修のことです。他業種の新人研修と比較してどうなのかは私にはわかりませんが、実際に経験したこととしてありのままを書いていくものです。

一つ言えることは、新入社員研修は「社畜製造機」とも言われますが、私の経験した新人研修もまさに純真無垢な新卒社員を社畜への道をそそのかすものであるということだけははっきりと認識できたということです。

 

約一週間の合宿

その新入社員研修は一週間の泊まり込みで行われました。毎年恒例だそうです。それなりに大手のスーパーマーケットであったので新入社員数も多く、100人は超えていたと思います。男女比は同じくらい、高卒大卒比も同じくらいであったと思います。店舗に配属になる前に新入社員はこの合宿に必ず参加しなければなりません。

この新入社員研修なる合宿で行われるものは主に下記でした。

 
・偉い人の話を聞く
・レクリエーションのようなもの(親睦やコミュニケーション能力を培う目的か)
・「お客様を満足させる」というストーリーの寸劇を各班で立案、最終日に披露

 
他にもイベントはあったと思います。盛り沢山で濃密な一週間であったことは確かです。

 

偉い人の言葉 ―仕事を趣味にすればいいじゃないか

研修が始まると早々、新入社員はホールに集められ開会式的なものに参加させられます。壇上では社内の偉い人が何やら喋るわけですが、内容は下記のようなものでした。

社会人になったら自分の時間は殆どない。みんなそう。趣味の時間なんて持てない。一日の大部分が仕事に占められてしまう。睡眠時間の8時間を確保して、日々の家事などをこなせば、ほら、自分の時間なんて残ってない。それでも充実した人生を送るためにはどうすればいいか。

仕事を趣味にすればいいじゃないか。仕事の時間を充実した時間にすればいいじゃないか。そうすれば一日8時間を素晴らしい時間にすることができる上に、成果を上げれば給料も増える。

クソ食らえだと思った。私はかねがね仕事を趣味にするようなことだけはするまいと思っていたので、この会社とは相性が悪いなと思った。なんなら自分は社会人に向いていないんだな、と。で、2年半後に実際に辞めることとなるわけですが、それはまた別の話。

 

初日からの叱咤 ―お前らに何ができる?

「学生気分」という言葉がありますが、もちろん実際に昨日まで学生だったのだからいきなり社会人としての緊張感を持って生活しろだなんて無理な話。学生気分で当然なわけです。だいたい社会人って何だね? 定義でもあるのか。

研修に参加した我々新入社員も必然的に学生気分なわけです。それは仕方のないこと。

上記のお偉いさんの話が終わった後、ひときわ強面の「指導係」的な社員が壇上へ上がり、いきなり我々を叱咤し始めるわけです。

お客さんにとってはお前らが新人かどうかは関係ない。同じく「社員」として見ている。で、お前らには今、何ができる? 何もできないだろう。そう、お前らは何もできないんだ。学生気分の奴がいるなら帰ってもらって結構だ。

何しろ物凄い強面であり、とにかく凄みが半端ないので私たちは圧倒されたのでした。一気に場はしーんとなり、緊張感がピリピリと漂ったのでした。強面の彼は以降も時々壇上に上がり、その度に我々のメンタルを完膚なきまでにズタズタにするのでした。

 

少ない睡眠時間 ―思考の崩壊

この新入社員研修の最も印象に残った点としては「とにかく睡眠時間が少ない」ということです。日中にスケジュールが詰め込まれている上に、冒頭で述べた「『お客様を満足させる』というストーリーの寸劇」を各班が熟考して作成しなければならないので、入眠が夜中3時や4時になることもしばしば。朝は朝で布団などの片付けを規定時間までに完了させておかなければペナルティがありました。

あまりに眠くて数名の新入社員は思考が崩壊していました。

 

「私は一人ぼっちの可哀想な○○です」―恥辱の罰ゲーム

こちらも冒頭で述べた「レクリエーションのようなもの(親睦やコミュニケーション能力を培う目的か)」においてちょっとした事件が起きました。

新入社員が動きやすい格好でホールのような広い場所に集められ、ちょっとしたゲームのようなものをやらされていました。それは「合図があったら適宜指示のある○人のグループを作る」という、ぼっちにはかなりキツい代物でした。当然ながら○人のグループからあぶれる者が出てくるので、その人は皆の前で「私は一人ぼっちの可哀想な○○です」と自己紹介をさせられるという恐ろしい罰ゲームが待っていました。

で、数回目でグループからあぶれてしまったある新入社員は「私は一人ぼっちの可哀想な○○です」と自己紹介することなく、憤然としてその場を立ち去ってしまったというちょっとした事件です。パンクスピリッツ。

今考えてみれば、親睦やコミュニケーション能力を培う目的があったかもしれないとは言え、「私は一人ぼっちの可哀想な○○です」なんて恥辱極まりない行為を強いるそのレクリエーションがどうかしていると思います。もしかしたらその場を立ち去った当該新入社員にとって何か過去に孤独に関する悲痛なトラウマでもあったのかもしれません。

 

強制的に丸刈りにされる(主に男性新入社員)―なんでやねん

研修前に予め配布されていた資料には「社員としてあり得べき髪型」が記されており、研修を受けるにあたってはその髪型を遵守するように求められていました。男性では「髪が耳にかからない」「襟足はYシャツの襟にかからない」「前髪は眉にかからない」など。

私は行きつけのヘアサロンに「会社にこのような髪型を求められているから、そのようにしてください」と告げて、果たして社員として理想の髪型で研修に臨んだはずでした。実際、当日の新入社員も殆どがその理想を満たしているように思われました。

で、研修初日、新入社員一人ひとりの髪型に厳しいチェックが入り、結果、約9割が不合格の烙印を押されていました。なんでやねん。不合格の新入社員はほぼ強制的にその場で丸刈りにするよう求められていました。強面の社員がバリカンを持って待ち構えています。

研修を終えた男性新入社員の殆どが泣く泣く丸刈りにさせられていましたとさ。

 

宗教かよ ―お父さんお母さんありがとう

研修の最終日。「『お客様を満足させる』というストーリーの寸劇」を各班が無事に終えてからの夜、誠に不可思議な儀式が執り行われました。

いつものようにホールに集められた新入社員には小さなローソクと紙が渡されました。紙を四つに折りたたんで受け皿ようにしてローソクを持ち、火が点けられます。ホールの照明は落とされ、壇上の誰だかわからない人が神妙な面持ちで語りかけます。

ローソクの火をじっと見つめてください。無心になりましょう。そして、見つめながら思い浮かべましょう。今まで育ててくれたお父さん、お母さん。お父さん、お母さんに感謝しましょう。ローソクを見つめながら心の中で感謝の言葉を唱えましょう。ありがとう、と感謝しましょう。

という儀式みたいなものが1時間行われました。終了後、我々新入社員の殆どが「なんだよあれ、宗教かよ」と漏らしていました。

 

大団円 ―君たちは成長した!

いよいよ長かった研修も終了という閉会式で、開会式で我々を完膚なきまでに叱咤し、我々の頭を望んでいない丸刈りにした強面の社員が壇上に上がりました。

研修初日の君たちと今の君たちはまるで違う。顔つきが全然変わった。もはや学生気分ではない。それだけ成長したということだろう。この研修で学んだことを忘れずに店舗でも頑張りなさい。

みたいなことを言っていました。大団円。めでたしめでたし。おそらくこれがアメとムチというやつでしょう。最初は厳しく、最後は優しく。調教における常套手段であることは明白です。

こうして我々は社会という名の荒波に放り出され、ある者は365日連続出勤、ある者は一日18時間労働、ある者はセクハラ・パワハラの対象となり、ある者は冷蔵庫で血まみれで発見され、ある者は品切れをさせた罰として売場の陳列棚で4時間正座させられ、ある者は失踪、ある者は自ら命を絶ちというように多種多様な恐ろしい未来が待っているのでした。

この物語はノンフィクションですが、今現在の全てのスーパーマーケットがこのようなことになっているとは限りません。悪しからず。