新卒で地元企業であったスーパーマーケットへ入社し、約2年半後に退職しました。
私の勤めていたスーパーマーケットは数県をまたいで展開しており、店舗数も多く、それなりの優良企業でもありました。
給与も低くはなかった。
私が辞めた理由は、引っ越しを伴う異動を2年半の間に二度もさせられて疲れてしまったことと、体育会系の雰囲気、労働時間の長さです。
知的労働というよりは肉体労働であり、考え抜いて計画を立案するというよりは考えないですぐにやったほうが高く評価される傾向にありました。
スーパーマーケットはブラック企業とよく言われてあまり良くない印象ではあると思いますが、実際はどうなのか。
経験者である私が感じたスーパーマーケットでの仕事の実態について書いていこうと思います。
ちなみに私は青果(野菜・果物)担当でしたので、その現場でのエピソードが多めになるかとは思います。
スーパーマーケットの仕事のホワイトなところ
福利厚生はしっかりしている
私の勤めていたスーパーがそれなりの大企業であったからかもしれませんが、福利厚生については完全無欠と言っていいほどにしっかりとしていました。
社会保険、雇用保険、退職金、出張手当、住宅手当、通勤手当、賞与などについてきちんと制度化され、運用されていました。
「出張だったのに手当が付かない」なんて話は一度も聞いたことがありません。
コンプライアンスの努力はしている
スーパーマーケットのブラックと言われる一番の理由は労働時間の長さでしょう。
後に詳しく述べますが、確かに労働時間は長かったし、休日もほぼなく働いていた人もいました。
どうもスーパーマーケットにおいてはマネジメントは店単位・部門単位とならざるを得ないようで、コンプライアンスが滅茶苦茶な店舗や上長の元についてしまったらそれに従わざるを得ないというわけです。
それでも、会社としての方針としては法令遵守は絶対であると明確に打ち出し、対策にも乗り出していました。
残業代も申請すれば全て出る。
問題なのは、利益追求のために各店舗の各部門においてタイムカードの改ざんなどの不法行為が行われていることです。
私の退職後、かなり大規模なサービス残業対策が施されたという話も聞きましたので、そう考えれば悪い会社ではなかったかなとは思います。
給与は悪くはなかった
これも企業によるものであると思いますが、給与は低くはありませんでした。
それに加え、給与1.5ヶ月分程度の賞与(ボーナス)も出ました。
私はスーパーを退職してから零細企業を転々として現在の零細企業に至るわけですが、ボーナスが出ていたのはその会社だけでした。
ボーナスが出るのは当たり前のことではないのだなと痛感しました。
辞めたことに後悔はしていませんが。
スーパーマーケットの仕事のブラックなところ
異動が多い
異動の頻度は人にもよりますが、私は2年半で二度の引っ越しをさせられてうんざりしてしまいました。
同期には、3ヶ月毎に近隣店舗を転々とさせられている人もいました。
子供ができて家を建てた途端に単身赴任させられるというジンクスもあり、ある50代の従業員はそのジンクス通りになるのが嫌で子供も作らず家も建てていませんでした。
別の人は、奥さんが双子を妊娠しているにも関わらず引っ越しを伴う異動をさせられていました。
単身赴任率はかなり高かったです。
異動も良し悪しで、異動の多い会社が必ずしもブラックとは限らないのですが、何か悪意を感じる異動が多かったのを覚えています。
体育会系のノリ ―考える力よりも行動力
スーパーの仕事は肉体労働です。
生鮮部門(鮮魚・精肉・青果)はその傾向が強く、特に鮮魚部門は完全なるブルーカラー。それに比べれば青果はわりと穏やかです。
従って、頭の良い人よりも行動力のある人が重用され、出世する傾向にあります。大卒も高卒も関係ありません。
そういう意味では、高卒の人にも広いチャンスがある反面、「大学まで出てスーパーマーケットに就職なんて」と眉をひそめられるのもわかる気がします。
「行動は遅いけれど的確な人」よりも「雑でも何でもすぐに行動する人」が評価され、膨大な仕事を早く片付けて退勤します。
スーパーマーケットでは「ひとつの仕事を時間をかけてきちんとやり遂げる人」よりも、「雑で適当でとにかくすぐに行動する大雑把な人」が向いていると覚えておきましょう。
そういう意味では私には全く向いていなかった。
サービス残業・休日出勤・労働時間
皆さん気になるのはスーパーマーケット従業員の労働時間についてであると思います。
私も内定が決まってしまった時には、不安で不安でネットで検索しまくりました。
どれほどの労働時間になるかというのは、上司によると言う他ないのが実情です。
「適当にやってさっさと帰ろう」という上司であれば定時帰宅もありますし、神経質で完璧主義な上司であれば時間の許す限り労働させられます。
サービス残業・休日出勤についても同様です。
「残業は全て付けるべし、休みは休み」という考えの上司もいるし、「仕事ができないのに割増賃金なんてもってのほか、勉強のため休みにも出てこい」という上司であれば地獄を見ます。
サービス残業が全くないということはあり得ないと考えておいた方がいいでしょう。
異動は頻繁にあるので、最高の上司の下で働いていたのも束の間、最悪の上司がやってきて長く居座ってしまうということもあります。
そうなると、自分かその上司かのどちらかが異動になるのを願う他ありません。
仕事は山ほどあります。
定時で帰りたいならぼーっとしている時間はありません。定時で帰る社員を、私は私以外に一人も見たことがありません。
残業を前提とする仕事量であると考えて間違いないです。
加え、人員が足りていない店舗においては残業せざるを得ないという状況にもなります。
私が2年目で配属になった店舗は、逆に人員があり余っていてしかも皆きちんと教育されていたので、私は毎日定時で帰宅していました。あの夢のような毎日がずっと続けば良かったのに。
さて、私の知っている限りでの壮絶エピソードは下記2名です。
・365日毎日出勤させられる鮮魚担当。地獄。もちろん残業代は付かない。
・朝6時(早い時には4時)から夜11時までほぼ毎日働かされる青果担当。休日は月3日程度。地獄。もちろん残業代は付かない。
有給休暇制度はあります。
ただし、取得できるかどうかも上司の人間性によります。
不倫の巣窟
他の業種ではどうなっているのか寡聞にして知りませんが、スーパーマーケットにおける重要な労働力は主婦のパート従業員であり、男と女が同じ箱の中にいれば、いずれそういうことになるのでしょう。
不倫の話題には事欠かないと感じました。
産地偽装って本当にあるの?
時々ニュースでも話題になる「産地偽装」ですが、やろうと思えば普通にできます。
産地表示における全権は販売者たるスーパーが掌握していると言っても過言ではありません。
ただし、輸入品を国産と偽って売るなどの悪質な例を私の周りでは殆ど聞いたことがありません。
「日付偽装」は私が入社した頃には状態化していましたが、その後「日付改ざんはご法度」と本部からの徹底的指導が入ったため、かなり少なくなりました。
私が目の前で見たのは、山梨県産の桃を「福島県産」と意図的に偽って産地表示した例です。
なぜ私の上司はそんなことをしたかというと、その日は社長が来店して売り場のチェックをするとの日でした。
過去に他の店舗で社長が青果売場を見て回った際、「何でこの店では福島県産の桃を置いていないんだ! 美味しい桃は福島県産だろ!」と大憤慨し、社内が大騒ぎの事態になったことがあったことを私の上司は覚えていたので、しぶしぶ産地偽装をしたのでした。
その他、ブラックエピソード
・発注ミスをして商品を品切れさせてしまった商品担当者が、その売り場の前で4時間正座させられた(営業時間内)。
・新入社員が冷蔵室から血まみれで出てきた(詳細は不明)。
・暴力や恫喝は結構ある。私も殴られたことがある。
・うつによる自殺者あり。
・労働基準監督署の指導により未払賃金数百億円の支払いを会社が従業員に行った年、労働組合の集まりに社長が登場し「労働組合というものがあるのに、なぜサービス残業を是正できないんだ」と大憤慨した(意味不明)。
まとめ
会社の雰囲気は悪くはありませんでした。
全員が全員ピリピリしているわけでもなく、「いやー大変な会社に入っちゃったなー」みたいな感じでお互いをねぎらう感じはあります。
何だかんだ文句を言いながらも、離職率は意外と低かったです。
それでもスーパーマーケットの仕事にブラックたる所以があるとすれば、
・労働時間の長さ(サービス残業あり)
・体育会系根性論の雰囲気
・会社都合での異動の多さ
であると私は感じます。
コメント