ちょうど20歳になる頃からタバコを吸い始め、一年前の33歳でやめたのでタバコとの付き合いは13年間ということになります。
その間、何度か禁煙を試みたことはありましたが全て失敗。長くて2週間でまた吸い始めてしまうという有様でした。今考えてみれば、そもそもそれほど本気で禁煙しようと思っていなかったのかもしれません。
だけれど、今回は本気だった。やると決めた。きっかけは些細なことだったけれど意志が硬かった。で、それから一年間タバコを遠ざけ続けることができています。
私の二大禁煙の動機
節約のため
収入減のリスクに備えて月10万円で生活していこうとしていたのでした。月10万円生活を成し遂げるためには、私の勘定では食費は一日500円程度に抑えることが求められます。食にはそれほど関心がないので容易に達成できるでしょう。
当時、私は喫煙者でした。キャスター3ミリを吸っていたので一箱420円。一日に一箱は吸っていたので一日420円かかる計算です。
おや? と私は思ったのでした。生命の維持に必要不可欠な食費が一日500円。生命の維持に何の関係もないどころか健康を損なう可能性のあるタバコ代が一日420円。ほぼ同じ金額。
そう考えると、タバコに毎日出費することが馬鹿馬鹿しく思えてしまったのでした。
行動が制限されること
建物内の禁煙・分煙化が進む中で、喫煙者たる私の行動が制限されてしまっていることに気づき始めてしまったのでした。自由意志でタバコを吸っていたつもりが、いつの間にか不自由になっていた。
例えば、行きたいラーメン屋があるのに禁煙だから行くのが憚られたり、図書館でゆっくり読書をしたいのにタバコを吸えないから諦めてしまったり、喫煙可能な場所を探し求めて街や施設内をうろうろとさまよったり。
喫煙者であるがために行動が規制され、時間や労力が無駄になっていると思うと、タバコを吸っているのがくだらないことのように思えてしまったのです。
私はこれで禁煙できた!厳選10の方法
本気で禁煙するにあたって、禁煙の成功例や考え方、心理などを様々に調べまくりました。禁煙においては考え方が重要な要素を占めると実感しています。努力や根性、忍耐ではなく考え方です。
「禁煙はつらいもの」と考えればタバコを吸いたくなるのは必然ですが、「禁煙は楽しいもの」と考えることができれば楽しくタバコをやめることができます。もちろん、楽しい禁煙などというものはあまりないでしょうけれど、例えば「今、タバコを吸っていないおかげで少しずつ健康になっている」「タバコを吸っていたはずの時間を有効活用できている」「タバコ代を貯金できている」など、ポジティブに考えることによって禁煙の動機付けを強固なものにすることはできるはずです。
私が実際に実践してタバコをやめることが出来た厳選10の方法・考え方を紹介してきましょう。自分に合ったやり方でやるのが一番ですが、参考になることがあれば幸いです。応援しています。
1. 動機付けは大事 ―タバコを吸う必要がないんだ
上述の通り、私は喫煙を続けることに強い疑問を抱き始めたのですが数ヶ月は惰性でそのまま吸っていました。ある朝、昨晩のうちにタバコを全部吸ってしまって、約10年間の習慣となっている起き抜けの一本が手元になかったのです。私はその時、心の中で「タバコが吸えない、どうしよう」というよりも、「今朝はタバコを吸う必要がないんだ、ラッキー」と思ったのでした。
タバコを吸う必要がないんだ。
自分の本心に気づいた瞬間でした。本当はタバコなんて吸う必要がないし、別に吸いたくもないのに習慣となっているから毎朝吸っていたに過ぎない。その起き抜けの一本を今日は吸う必要がない。
私は過去の経験から、朝にタバコを吸わなければその日はタバコをあまり欲しないということがわかっていました。従って、朝にタバコを吸う必要のない今日こそ、禁煙を始めるのに相応しいに違いない。運命の日だ。と突然に禁煙が始まったのでした。
タバコを吸いたいという欲求との戦いは生易しいものではありませんでしたが、挫けそうになる度にあの朝の「タバコを吸う必要がないんだ」という気持ちを思い出して、頑張りました。
人それぞれ禁煙に対する何らかの動機付けがあるに違いありません。できるだけ強力な動機付けを確保することができれば、成功率は高まると思います。私にとってそれは「タバコを吸う必要がないんだ」という気持ちだったのです。
2. ニコレット最強説 ―まるで魔法のよう
禁煙を始めるにあたってまずしたことは、ニコレットを買ってくることです。禁煙補助薬のガムであり、薬局で売っています。意外と高価なのですが、これでタバコをやめることができると思えば安い買い物です。当時私は絶賛節約中だったのですが、思い切って買いました。
ニコレットまで買ったんだ。絶対に禁煙を成功させるぞ、という意気込みでした。
このニコレット、私にとっては効果絶大でした。タバコを吸いたいなと思った時にニコレットを半信半疑で噛んでみると、あら不思議、いつの間にかタバコのことを忘れているのです。本当に凄い。
禁煙のための冊子が同梱されているので読むことによって精神的な手助けになります。また、ニコレットは3ヶ月の禁煙プログラムとなっています。初めは吸いたくなったらとにかくニコレットを噛むようにしてタバコを吸うという習慣をなくすことに注力し、次第にニコレットの使用量も減らしていき、3ヶ月後にはニコレットの使用もやめて禁煙が完了するという流れです。
禁煙を始める人にはまずは絶対に手にして欲しいのがニコレットであり、私の超絶おすすめです。
3. 誰にも言わずに始める ―喫煙者との付き合い方
喫煙者には喫煙者のコミュニティみたいなものがあって、例えば、一緒にタバコを吸いに行くなどの仲間意識が芽生えているように思います。
そのコミュニティからの逸脱はなかなか厳しい監視下に置かれていると言わざるを得ません。「えー、タバコやめちゃったの? 残念だな」と言われたり、「一本どう? 一本だけ」などと誘惑されたりと、彼らはあらゆる手段を使って我々を喫煙者側に引き戻そうと躍起になります。
そこまで大袈裟なものではないにしても喫煙者からの誘惑には気をつけるに越したことはありません。特に禁煙と戦う身にとって「一本どう?」攻撃はキツい。
従って私は、誰にも言わずに禁煙を始めました。で、周囲の人間が気づく頃には禁煙が完了していたので、「えー、残念だな」と言われようが「一本どう?」と言われようが全く動じなかったのでした。
ちなみに、禁煙中に飲み会が開催されてしまった場合どうするか。私は周囲に「禁煙チャレンジ中だから絶対にタバコを勧めないでくれ」と正直に話しました。予めこうして宣言してしまうことで自分に対するハードルを上げることにも繋がります。
私は孤独にコツコツと始めて、飲み会などの緊急事態の場合は周囲にも協力してもらうというスタイルでなんとか禁煙を成し遂げました。人との関わり方はそれぞれだと思います。自分に適した距離のとり方で禁煙を目指しましょう。
4. 吸いたくなったら「本当に吸いたいか?」と問いかける
タバコを吸いたくなるのはニコチン中毒のせいと言われますが、そのことは一旦忘れましょう。「ニコチンのせいだから吸ってもしょうがないな」と禁煙の中断を正当化してしまう恐れがあるからです。
まずは、タバコを吸うことは自分の意志で行っていたのだということ、タバコを吸いたいと思うのはニコチンのせいではなく習慣のせいであると自分に言い聞かせましょう。
私の中で効果的だったのは、タバコを吸いたくなったら自分に「本当に自分は今タバコを吸いたいのか?」と問いかけることです。問いかけてみた結果、本当にタバコを吸いたいと思っていたことは一度もありませんでした。
この問いかけによって、タバコを吸いたいと思うのはただ単に習慣のせいであり、「タバコを吸いたい」という気持ちは幻想に過ぎないと気づくことができたのです。
5. 吸いたくなったら深呼吸をする、水を飲む
禁煙中は口が寂しいのでガムを噛む、飴を舐めるというのは常套手段です。タバコを吸いたいという気持ちを紛らわす効果もあるでしょう。ガムを噛む、飴を舐めるという手段が禁煙にとって効果的かどうかは、私はやっていないのでわからないのが実情です。効果のある人もいるでしょう。
私はその代わりに「タバコを吸いたいと思ったら冷たい水を飲む」というのを試してみて、それなりの効果があると実感できました。気を紛らわすことができるし水だから健康にもよろしい。飴は糖分の摂り過ぎになりそうです。
また、深呼吸も効果的です。システマの「ブリージング」という呼吸法が最強のリラックス呼吸法として紹介されていたのを見かけて実践してみたのですが、これがなかなかよろしい。やり方は簡単。「鼻から吸って、口をすぼめてフーッと吐き出す」。ただそれだけ。すごくシンプルなのに大変に効果的です。
関連記事:
【誰でもできる】イライラが消え去る究極の呼吸法。システマのブリージングのやり方を徹底解説
6. タバコを吸ってイライラが解消されるのは幻想である
タバコを吸うと確かに気持ちが落ち着くという実感はありました。だけど、禁煙を始めてそれにさえ疑問を抱くことになりました。
タバコを吸って気持ちが落ち着いたりイライラが解消されたりするのは、タバコが原因となって発生したイライラを煙草によって解消している一人相撲に過ぎないのではないか、と。なぜなら、タバコを吸わない人がタバコが吸えないことが原因でイライラしていることなんてないからです。当たりまえですが。
喫煙者が「タバコは落ち着くなぁ」と思っているのは、タバコを吸いたいという欲求をタバコによって解消したことを「落ち着く」と錯覚しているだけ。決してプラスになるものではなく、ゼロ地点に戻っただけ。タバコによって生み出された欲求に操られているだけ。
私の禁煙中はニコレットがあったのでイライラすることは決してありませんでした。それよりもむしろ、タバコによって急かされないために時間がゆったりと流れているような穏やかな感覚でした。人はそれを「手持ち無沙汰」「時間の潰し方がわからない」とでも言うのかもしれませんが、私にとっては大変に心地よい穏やかさでした。
タバコを吸うという習慣がなくなったので、その時間に何をしたらいいのかわからないというのは確かにあって最初は戸惑い、手持ち無沙汰にもなりましたが、次第に慣れます。
7. 食後のタバコが美味しいのは不幸である
タバコと言えば、食後です。食後の一服は旨い。私の知り合いには食後にだけしかタバコを吸わないという人がいますが、どうやらタバコと食後には密接な関係があるようです。
私も禁煙がだんだん板に付き始めてからも、食後の一服の習慣はなかなか抜けきりませんでした。ご飯を食べた後、ついついタバコを吸いたくなったり、タバコを探したりしてしまうのです。その習慣が完全に抜けきるまでには1ヶ月程度かかりました。厄介者です。
「食後の一服が旨いんだ。最高の幸せ」という気持ちはわかります。だけど、考え方を変えてみれば「食後にタバコを吸わなければ幸せを感じることができないなんて不幸である」とも言うこともできます。タバコを吸わない人は食後にタバコなんて吸わなくても幸せを感じることができているのです。
この考え方は私にとっては驚天動地であり、食後にタバコを吸いたくなったら「ここで吸ったら不幸だ」と言い聞かせていました。
8. いつタバコを吸いたくなるかを自覚する ―防御の戦略
前項にも関連することですが、自分にとってのタバコを吸いたくなるリズムやパターンがあるはずですので、それを自覚することによって吸いたい欲求に対して予め身構えておくことができます。
私の場合は強くタバコを欲したり習慣になっていたりするのは「仕事終わり」「食後」「寝る前」であるとだんだんわかってきたので、そのタイミングにおいてはニコレットを準備しておき、吸いたい気持ちがあまりにも強力になりそうだったら、タバコのことしか考えられなくなる前にニコレットを噛むようにしていました。
また、何もやることがない休日は時間を持て余しタバコのことを考えて悶々としそうだったので、気晴らしに散歩に出かけ、気を紛らわせるために一日中オンラインゲームをしていました。
9. 「吸ってはいけない」と考えないようにする ―シロクマのことは考えるな
人は「○○してはいけない」と言われるとやりたくなるものです。
これは「シロクマのリバウンド効果」と呼ばれる心理学の研究対象となっているものです。「今から一分間、何を考えてもいいけれどシロクマのことだけは絶対に考えないで下さい」と突然言われたら、考えないようにすればするほど逆にシロクマで頭が一杯になってしまうという現象です。
これは禁煙にも当てはめることができます。すなわち、「タバコを吸ってはいけない」「タバコのことは考えてはいけない」と考えれば考えるほど、頭の中はタバコで一杯になって吸いたくなってしまうというわけです。
従って、最も効果的なのは「タバコを吸いたいと思っている自分を認めた上で、吸わないという選択をする」ことです。私が休日に散歩をしオンラインゲームをしていたように「気を逸らす、気を紛らわす」というのも効果的です。
また、タバコを吸ってはいけないという考え方を変えるために、タバコを吸いたくなったら「タバコを吸ってもいい。但し、3分後にまだ同じ気持ちだったら吸おう」と自分に言い聞かせるのも良いでしょう。恐らく3分後に同じ気持ちであることはあまりないはずですし、人は「やってもいいよ」と言われるとなぜか躊躇してしまうのです。
この辺の心理学的な考え方は『スタンフォードの自分を変える教室』に詳しいです。目から鱗だらけの素晴らしい書籍であり、私の人生を変えた本と言っても過言ではありません。
10. 禁煙だけに集中する ―ワン・ゴール方式
禁煙を始めたら、禁煙だけに全神経を集中することをおすすめします。これは私もそうしていました。上述の休日についても本当は家で仕事をしなければならなかったのですが、禁煙に集中するために敢えて仕事はせずに散歩に出かけ、帰ってきてからも好きなゲームをしていました。
『減らす技術』の中で著者レオ・バボータは物事を達成するにあたり一つのことに集中する重要さを、実体験から語っています。彼ももともとはヘビースモーカーでした。
まずは、タバコをやめることに挑戦した。それだけに集中し、全エネルギーを注いだ。すると驚くべきことが起こった。それまで何度も失敗していた禁煙に成功したのだ。
禁煙という大きな壁を突破したことで、私はがぜんやる気が出て、いろいろなゴールに挑戦してみた。ただしやり方はいつも同じ。「1度にひとつ」のゴールだけに集中するのだ。すると、壁はどんどん崩れていった。
私はこれをワン・ゴール方式と呼んでいる。あれもこれもいっぺんに手を出さずに、いつも「1度にひとつ」のゴールだけに集中する。これがポイントだ。
ついついたくさんのことを達成しようと思ってしまいがちです。だけど、重要なことは一つのことに集中すること。そのひとつが達成できたら、次のことを始めるというように。
この『減らす技術』を読んだのは私がタバコをとっくに吸わなくなってからだったのですが、私が禁煙を意外と容易に達成できたのは、禁煙することを生活の中心に置いて集中して取り組んだからかもしれないと振り返って思ったのでした。
おわりに:禁煙は最初の一週間が勝負
禁煙がいつ完了するのか、いつタバコを吸いたくなくなるのか、それは人それぞれです。私はタバコをやめて1年になりますが、今でもたまにふと喫煙したくなる時があります。飲み会の際には稀にタバコを数本もらって吸う時もあります。だけど、喫煙の習慣は完全になくなりました。どうしても吸いたくてタバコのことしか考えられない、という事態は今のところ全くありません。
私の場合、だいたい一週間がひとつの節目でした。禁煙を始めて一週間でようやくタバコを吸う習慣が身体から抜けたと感じることができました。次の節目は一ヶ月後で、その頃にようやくタバコのことをあまり思い出さなくなったと自覚できました。とにかく最初の一週間でいかに吸いたい欲求を退けることができるかが勝負だと感じています。
今、タバコをやめて良かったと本当に感じています。あの一週間を踏ん張って本当に良かった。
喫煙者だった頃、私はタバコを吸う自由を謳歌していたのであり、今はタバコを吸わない自由を選択しているのです。喫煙者の肩身がどんどん狭くなる中、タバコを吸わない自由を手にすることができたことを素晴らしく思います。
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