新卒で入社した会社を二年半で辞め、実家に戻り、半年間途方に暮れていた。
なんでもっと頑張れなかったのか、なぜ逃げ出してしまったのか、自分は社会不適合者に違いないと自分を責めていたけれど、貯金もなくなりつつあったのでハローワークで真面目に再就職活動を始めた。
事務職で給与25万円という夢みたいな求人があったので、応募した。募集は一人。
県外だったけれど、前職での転勤の際に一度住んだことがある土地だったので、すんなりと面接の日取りが決まった。
面接は苦手である。凡庸な人間であるし、積極的な方でもない。やる気も特にない。そもそも、喋るのが苦手だ。
しかしながら、内定を勝ち取ることができた。どれくらいの応募があったのかは未詳だが、何人かは面接に訪れた中での、私の内定である。
その中で一番若かったというのもあるかもしれない。まあまあの偏差値の公立大学を出ていたことも影響したかもしれない。
零細企業である。
入社後、社長は私に言った。
「職務経歴書がとても綺麗に仕上がっていた。だから採用した」
職務経歴書とは何かわからなかったので、とりあえず丁寧に作った
恐らく、面接での印象は良くなかったと思う。ハキハキしていないし、前職を辞めた理由を聞かれた際も「度重なる異動と長時間労働に疲れてしまった」というようなことをあけすけに答えた。
礼儀正しくはしたつもりだったが、それがどれほどの好印象を与えたかについては甚だ疑問である。
とにかく、面接が苦手であることはわかっていたので、必要以上の対策はせずにありのまま臨んだ。
ところで、求人の応募には履歴書と職務経歴書が必要である。
履歴書はわかる。
職務経歴書って何?
不安に煽られた私は、職務経歴書について調べた。調べまくった。
ネットで調べれば職務経歴書の書き方について山ほどの情報が出てくるので、それに従って完成させた。
お世辞にも特別素晴らしい職務経歴書ではなかったと思うが、Wordを使って丁寧に作ったつもりである。凝り性なのが幸いした。
職務経歴書について私は無知だったため、他の応募者と比べて見劣りするようなものを提出したくはなかったのである。
ネットに載っているものを参考に作れば間違いはないだろう、他の人もそうしているに違いないと、思ってのことである。
その結果、「職務経歴書がとても綺麗に仕上がっていた。だから採用した」である。
嬉しかったけれど、拍子抜けもした。何の個性もない、ただ少し丁寧に作っただけの職務経歴書。あの程度で良かったのか、と。
就職活動は準備が9割!なのに、大部分の人が準備をしてこない
つまりである。何が言いたいかというと、大変重要な就職という舞台であっても、他の応募者はあまり準備してこないということである。
後に私はその会社も辞め、公共職業訓練を受けることとなるが、その際の「履歴書の書き方講座」みたいな講義においても、講師の先生が「就職活動は準備が9割だ。準備さえ怠らなければ内定を取れる」と言っていた。
その講師の先生が言っていたことを、覚えている範囲でここに書いておく。
履歴書
・字を丁寧に書くこと。上手とか下手とかは関係ない。
・一枚の履歴書を一時間かけて書くつもりで、とにかく丁寧に。
・自己PRなど、文章を書く欄はきちんと考えて最後まで埋め尽くすこと。
職務経歴書
・職務経歴書専用の用紙も売られているが、自分で白紙から作成しても構わない。A4一枚、あるいはB4見開き一枚が一般的。
・パソコンで作成するのがベスト。スキルのアピールにもなる。
・自分で一から作成する際は、読み手のことを考えて、読みやすく分かりやすく書く。レイアウトにもこだわることができればなお良い。
・不自然な余白がないように、紙の最後まで文字で埋める。
面接
・志望動機、転職の場合は前職の退社理由は必ず聞かれるので、説得力のある答えを考えておくこと。
・他、面接で何を聞かれてもいいように、綿密にシュミレーションしておくこと。
・ハキハキと元気よくがベター。だけど、そういうキャラじゃない人は、少なくともおどおど、自信なさげにはならないようにする。
・礼は、首を曲げるのではなく、腰を前方に曲げる。首はまっすぐのまま。腰から前に傾いた姿勢で1秒ほどピタリと止まった後、スッと上体を元に戻す。これを全ての礼の動作において落ち着いて行う。大変に綺麗に見える礼である。
就職活動・転職活動はとにかく基本を怠らないこと。それだけで差をつけることができる
就職活動に奇抜さなんていらないのである。
基本に忠実にしっかりと準備しておくこと。
職務経歴書の件で言えば、私はネットで見つけたテンプレートを元に仕上げた。それで綺麗と言われるレベルである。
いかに他の人たちが準備を怠っているかを示す証左になりはしないか。
もちろん、私は運よく初めての面接で内定をもらうことができた。田舎の零細企業だったので、競争率も低かっただろう。年齢などの要因もあったに違いない。
だけど、「基本的なことをしっかりとやり遂げ、準備を怠らないこと」。たったこれだけのことで、ライバルに差をつけることができるということは、覚えておいて損はあるまい。
これから、就職活動や転職活動を行う人は参考にしてくださいませ。
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