仮病を用いて電話をかける際に、最も重要なのが、タイミングです。早すぎてもいけないし、遅すぎてもいけないのです。
つまり、気が焦って前日の朝に「明日風邪をひく予定なので休みます」と告げることほど人をいら立させることはないですし、始業時間を過ぎしまってからではますます電話しづらくなります。始業時間ギリギリというのも礼儀に欠けます。寝坊と勘違いされたのでは、たまったものではありません。
タイミングが最も重要
当日朝に電話をかける作戦
電話をかけるタイミングについては様々な論争がありますが、最も良いと言われているのは、「上司が会社に着いたタイミング」で電話をかけるというものです。
このタイミングであれば、相手への配慮も感じられ、説得力があり、急遽の欠員で会社をバタバタさせる負担も最小限に留めることができます。
また、学校であれば、クラスの半分の生徒が登校したタイミングがいいでしょう。
前日夜に電話をかける作戦
あるいは、前日の夜に電話をかけておくという手もあります。日曜の夜など、休日に連絡し連休をものにする際に使える手段でしょう。
「朝から熱があって、夜になっても下がりません。明日、お休みさせて下さい」といった具合です。
この「前夜作戦」においては、面倒な電話を早く済ませてしまい、翌日、心置きなくルンルンで休めるといった長所があります。会社としても、翌日の出勤計画を前日から立て直し、作業計画を修正する余裕を持たせることが可能になります。
職場環境や職種によって、「当朝電撃作戦」か「前夜奇襲作戦」か、どちらを選択するか考えどころですが、いずれにしても言えることは、「君は電話をかけて休むべきである」ということです。
過剰な演技は無用
電話口では、過剰な演技は無用です。つまり、過剰に咳をするとか、だるそうに声のトーンを落とすことや話すスピードを極端に遅くするなどということは、できるだけしないほうがいいです。
もちろん、「今日は風邪で休みます!」と元気溌溂に言うのもどうかと思いますが、過剰な演技は、後に出勤した時の後始末が大変ですし、何より仮病を疑われるリスクが大きいのです。
大げさな演技は、「自分は仮病です」と白状するようなものであることを覚えておきましょう。もし演技をするなら、ほどほどに、自分でも少ないんじゃないかと思うくらいが実はちょうどいいのです。
具体性も無用
病状を具体的に告げることもしないほうがいいでしょう。人は嘘をつくときに限って具体的に説明したがる習性がありますから、具体的な説明はリスクを背負う可能性を増やすだけの行為でしかありません。
あくまでも仮病なのであって、実際に何らかの病を患っているわけではありませんから、何を言っても言葉が上滑りするだけなのです。だったら、何も言わないほうがいいに決まってます。
何か聞かれたらその都度、適当に答えればいいのであって、積極的に症状をアピールする必要は全くないのです。
どのような症状を仮病に使うべきかについては考えどころですが、おすすめなのは「熱が38.5度あるので休ませてください」というものです。38.5度という具体的な数値で何もかもを説明できてしまい、かつ、強い説得力を持つためです。
簡潔さと「申し訳ないです」というニュアンス
仮病を電話で告げる際には、簡潔に行うのが最も良いです。
余計なことを言う必要はありません。大切なことは、「風邪をひいたので今日は休ませてください」という簡潔な言葉の中に、「本当は会社にすごく行きたいのですが」とか「みなさんに迷惑をかけるのはわかっていますが」というニュアンスをそれとなくスパイスとして含ませておくことです。
間違っても、それを直接伝えては説得力が半減しますから、あくまでもニュアンスで「本当に申し訳ないですが」という趣きを表現しましょう。
このニュアンスの含ませ方については、かなり繊細な事象です。程よく表現するためにはかなりの訓練が必要ですし、練達の仮病使いにおいても最大限に気を払うことに違いありません。
それでも、仮病においては大変重要なことですので、積極的にチャレンジして技術を磨きましょう。
最も手軽で効果的な方法
ただ、欠勤や欠席をするのに健康そうに思われたり、うまく病気であることが伝わらなくて疑われてしまっては、それはそれで元も子もありません。
最も単純で効果的な方法に、「電話口で咳を一発だけ入れる」ということがあります。
咳は、最もわかりやすいアピール方法ですし、相手の本能に直接訴えかけますから、余計な言葉を差し挟まずにすぐに伝わります。
咳は一発だけで十分に効果的ですし、たったそれだけで伝えることができる風情を持つものなのです。
あるいは、「今日だけは休ませてください。明日は必ず行きますから」と言ってしまうのも効果的です。
もちろんこの場合、「明日は必ず行きますから」と告げたからといって、明日必ず出勤する必要はありません。明日も仮病を使いたいなと思ったら、翌日も同様にして「今日だけは休ませてください。明日は必ず行きますから」と繰り返せばいいのです。
要は、誠実さを含ませることが大切だということです。
現に私はこれで2日間の休日を手に入れ、酒を飲みながら家でずっと映画を見ていました。
実践編 ー具体例
悪い例
「あーもしもし、お疲れっす。やー、昨日の夜9時くらいから熱が出ちゃってー、マジやばいなーって思ったんすよね、でも仕事行かなきゃだから、薬飲んで横になったんすよ。でも、全然寝れなくて、うなされながらも4時くらいからようやく、うとうとできた感じなんですけど、でも今熱計ってみた、ゴホッ、すんませんそしたら、37℃もあるんすよ。えーって、びっくりしちゃって、でも仕事行かなきゃだから、どうしようかなって、あーでも難しいかな、もうくらくらするんすよ、でも、急に休んで迷惑かけるのもあれだしー、うーん、あーでもなー、どうしたらいいと思います?」
良い例
「お疲れ様です。大変急で申し訳ないんですが、風邪だと思うんですが熱が出てしまって、本日、欠勤させてください」
「あー、そうかい。大丈夫かい? いつから?」
「昨日の夜からなんですが、さっきもゴホッ熱計ったら38.5℃もあって」
「そりゃ大変だ。仕事のことは気にせずにゆっくり休みなさい」
「ありがとうございます。薬飲んで、外に出れそうであれば病院に行ってきます。すいません、明日までには必ず治します」
「わかった。でも無理はしないように。お大事にな」
休むのにメールやLINEで連絡しちゃだめなの?
会社への連絡手段は電話だけとは限りません。メールや社内でのグループLINEでも連絡を入れることは可能です。
しかし、欠勤の連絡は電話にて行うことをおすすめします。
電話をかけて自分の声、言葉で伝えることが誠実さを表すことになるからです。
誠実であるということは、疑いの余地を減らすということです。
むしろ、突然の欠勤の際にきちんとした対応を取ることで、良い印象を与えることさえできます。
その積み重ねが、最終的には「あいつが仮病なんてするわけない」との最高の印象を勝ち取ることができるのです。
それは、全ての仮病者の最終目標であり、最高到達点です。
確かにわざわざ電話をかけることは面倒であり億劫であり、声色や態度ひとつ間違えれば「風邪って言ってたけどずいぶん元気そうだったな」と大々的に仮病がバレつつあるリスクも負います。
しかしながら、その辺の技術については、最大限に気を付けることでなんとかなります。会社側だって鬼ではないので、ちょっと具合が悪そうにしていれば、真っ向から疑ってくるなんてことは、余程のことがない限りありません。
それよりも、面倒だからと休む連絡をメールで済ませてしまうほうが明らかに印象は悪いです。
印象が悪いということは、仮病を疑われやすいということに他なりません。
会社や上司が「連絡はメールでせよ」とのルールを敷いている場合はもちろん例外ですが、多少のリスクを背負ってでも仕事を休む連絡は電話をかけてするほうが良いです。
まとめ ファンタジーとリアリズム
仮病の際に相手に告げる症状はファンタジーに過ぎません。
ファンタジーをリアリズムに変換することほど難しいことはないですので、電話の際にはなるべく具体性を持たせず、ファンタジーのままにしておくのが良いでしょう。
おまけ ―電話でつらそうな声を出す方法
電話口でつらそうな声を出す方法が書かれているサイトを見つけました。
これはかなり使えそうですので、以下、転載します。
休みたい人達のために、
俺のとっておきを伝授します !
①まず正座します
②そのまま上半身を前に倒します
③おでこを床につけます
④その態勢のまま電話をかければ…
めっちゃしんどそうな声が出ます!
電話口では、話す内容と声色だけで、体調が悪くてつらいのだということを伝えることになります。それを聞いて電話口の相手が「休むに足る」と疑念なく判断した時、パーフェクトな休みが獲得されるのです。
一見、電話をかけるだけで簡単そうに思えますが、休みを与えるための判断材料が「話す内容」と「声色」だけですから、それぞれについて抜かりなく遂行することが望まれます。
疑念を残すことは次回の仮病の障壁となりますから、テクニックを駆使して、完全なる休暇を取得しましょう。
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