仕事の効率化のために有効な第一の手段は、可視化である。異論はないだろう。
やるべきことや頭の中で考えていることを書き出すことで、目標が明らかになることに加え、「次は何やるんだったかな」と足踏みする時間が減るのである。
書き出されたものに基づいて、ToDoリストを作成し、仕事を片付けるだけ。考える必要なんてない。
効率化とは、オートメーション化のことである。
問題となるのは、何を書き出すべきか、そして、書き出されたものをどうやって整理するかということだ。
仕事を重要度で格付けする?
有名な考え方の一つに、重要度を格付けするというものがある。
やるべきことに対して重要度の評価をABCで下すというもので、この方法はアラン・ラーキンの著作で時間管理術の古典『時間の波に乗る19の法則』(原著は1974年出版)の中で紹介され、世界的に有名になった。
書き出された仕事に「A」とラベリングされていれば、重要度が高いものであると一目瞭然なわけである。
全ての仕事を重要度によって仕分けした後に、「A=最重要項目」だけを集中して終わらせてしまうことを目標に仕事に取り組むことで、時間を無駄なく効率的に使うことができるというわけである。
この考え方は、1974年の出版以降、かなりの支持を得てきた。
たくさんのやるべきことが氾濫する中で、重要度をラベリングすることによって、本当に大切なことを優先して取り組むことができるというわけである。
情報化社会にあって、格付けは古い考え方
なるほど。
だけど、その場合、「B」や「C」といちいち格付けする意味はあるのだろうか、という疑問も立ち上る。
Bとラベルが貼られた仕事だって、いずれはやらなければならないのである。Cと評価したが、忘れてしまうわけにはいかない仕事だってあるだろう。
そう、情報化社会と言われる現代においては、重要度の格付けは古い考え方であると言わざるを得ない。
かつては重要度によって格付けした仕事のうち、Cランクの仕事でも集中力を乱さずに処理できる環境にあったのかもしれない。
しかしながら、現在では手の届くところにある情報量が桁違いなのである。
情報量が多ければ、仕事も増える。特に、瑣末な仕事(Bランク・Cランク)については無限に増殖するのである。
重要度ABCによる格付けは、「あれもやりたい」「これもやらなくちゃ」という事象全てを抱え込んで、いつかは処理できるという幻想の元に稼働するシステムに他ならない。
やることが多すぎる元凶である。
我々は忙しいのである。「いつかやろう=Cランク」が達成されることが殆どないのは、自らの経験を思い起こせば明らかだ。
我々は未来に対して無根拠に楽観的だから「いつかやろう・いつかできる」とその時は思いを馳せるのだが、その「いつか」が到来することは永遠にないのである。
達成されないタスクが増えていくことで、プレッシャーになり、挫折感を味わうことになる。
失敗体験が増え、自分を責める結果となってしまう。悪循環。
終わらない仕事を抱えてしまうことは、最悪、鬱病の原因となり得る。
我々に要請されることは、「仕事を格付けすること」ではなく、「仕事を減らすこと」なのではないだろうか。
シンプルにして、とにかく減らすのだ
古い考えである格付けに対して、現在主流なのは、「必要」「不要」の二つに分けることである。
「必要」に分類したものについて集中して取り組むようにする。
極めてシンプル。
格付けシステムを流用するなら、「Aランク=最重要」のことだけやるのである。
「Bランク・Cランク」については、「いつかやる」のではなく、「やらない・不要・人に任せる」とバッサリと切り捨てる。
もちろん、「必要」なものが増えすぎても混乱の原因になるだけだから、本当に必要なものだけを厳選するようにするのが肝要である。
ここは頭を使って考えるところである。
自分にとって本当に必要なものは何か、本当にやるべきことは何か、本質に迫るものは何か、熟慮した上でそれらを厳選して、集中して一つひとつ片付けていくのだ。
要は「減らす」ことである。意識的に制限することである。
自分にとって本当に必要な本質的なことだけを選ぶ。他は切り捨てる。
情報化社会でにあって我々はつい「やること」「手に入るもの」を身の回りに増やしがちだが、本当にそれは物事を達成する上で必要なことだろうか。
逆に、雑然としすぎて集中力を欠き、結局は何も手を付けることができない結果となりはしないだろうか。
減らすことによって、本当にやりたいこと・やるべきことに集中して取り組むことができるのである。
ToDoリストも大変にシンプルなものになるはずだ。
まとめ:格付けはもう古い。とにかく減らすのだ
仕事を重要度でランク付けすることは、無限に増える仕事を全て抱え込むことに他ならない。
Cランク=重要度の低い仕事でさえも、「いつかやらなければ」という気分にさせられて、集中力を欠き、結局何をすべきか見失ってしまうおそれがある。
仕事が多すぎる・終わらない人に送る、仕事を減らすためのたった一つの解決策
集中してテキパキと仕事を片付けるためには、必要なこと=本質に迫ることだけを集中して取り組むのが良い方法である。
不要なもの・重要でないものはバッサリと切り捨てて、仕事の総量を「減らす」ことが肝要である。
特に情報へのアクセスが容易である現代においては、「格付け」よりも「減らす」ことが、ますます重要になっているのだ。
コメント