就職活動もそうですが、転職活動においても最も困るのが、実際に企業にコンタクトを取る段です。
応募、履歴書・職務経歴書の送付、メールの送信、面接――。
つまり、履歴書はどのように書けばいいのか、面接にはどのような格好で行けばいいのか、などという悩みが次から次へと出てきてしまうことになるのです。
悩んでしまうのには2つの観点からの理由があります。
1. 応募先の企業にとって、どのような所作が好印象になるのかがわからないから。
(内定をもらうためにどうすれば好印象を与えることができるのか。逆に、どのようなことが悪い印象を与えるのか)
2. 転職活動をしているライバルを含め、転職活動の常識がわからないから。
(他の人はどうしているのか)
多くの転職活動には、奇抜さは必要ありません。
あまりの個性は、協調性を乱す恐れがあるなどとしてマイナスポイントとして捉えられかねませんから、目立つために狙って個性を出す・奇抜にキメることはご法度と覚えておきましょう。
従って、やはりここはセオリー通りに事を運び、自然体で臨むことが望まれます。
転職活動実践編。その準備における常識・セオリー8つをご紹介していきます。
1. スーツは無地の濃紺かグレー、サイズも確認しよう
余程の例外がない限り、転職活動にはスーツで臨むべきです。
だけど、一言でスーツと言っても千差万別。
色や柄なども様々です。
スーツの色・柄:濃紺かグレーの無地がベター
かつては就職活動といえば真っ黒なスーツが定番でしたが、それはもう昔の話。
現在は「こうでなくてはならない」という固い観念はありません。
ただし、派手すぎずにオーソドックスな色を選ぶ必要があります。
奇抜なスーツを着用して目立とうとするのは逆効果。協調性やTPOに欠ける人物と認識されてしまいます。
具体的には、濃紺かグレーのスーツで構いません。
尚、ストライプ柄などの入っていない無地が基本です。
サイズ:意外と見落としがちなだけに重要
見た目の第一印象が重要な事は周知であると思いますが、そういう観点で言えば、まず目に入るスーツは極めて重要です。
見る方としては、意外と細かいところまで気づきます。
従って、自分にあったサイズのスーツを着用していきましょう。
サイズ感に違和があると、仕事のできないっぽい人という印象をなんとなく与えかねません。
この「なんとなく」というのが面接官の心に引っかかって合否に繋がる場合があるのです。
シャツ・ネクタイ:無地の白シャツに紺のネクタイがベター
シャツは、無地の白シャツ一択です。
ボタンダウンはカジュアルな印象を与えますので、きちんとしたフォーマルなものを選びましょう。
ネクタイは、多種多様であり、ちょっとした個性を出すことも可能な部分ではあります。
ベターなのは、「紺色ベースに白の小さいドット柄」や「紺とエンジのストライプ」あたりでしょうか。
ネクタイに関しては派手すぎなければ基本的には何でも構いません。
不安であれば、店員さんに聞いてから購入してみましょう。
2. 無難で清潔感のある髪型で臨もう
スーツと同様かそれ以上に印象に残るのが髪型です。
しかもこれは、加点方式ではなく大幅な減点方式であると覚えておきましょう。
つまり、素晴らしい髪型だから採用、ということは決してないけれど、髪の印象が悪かったので不採用ということは珍しくないということです。
ポイントは、「無難」と「清潔感」です。奇をてらう必要は全くありません。
どのような髪型が好印象を持たれるかについて具体的には、応募企業のウェブサイトに掲載されている社員の髪型に倣うのがいいでしょう。
彼らは会社の代表として掲載されているわけなので、参考にして間違いないです。
とは言え、心配する必要はありません。
きちんと整っていて清潔感のある髪型であれば、ライバルと大きく差が付くことも、悪い印象を与えることもありません。
不安であれば、会社と接する前にヘアーサロンで「近々面接なんです」と伝えてカットしてもらいましょう。
3. 履歴書用の写真はスタジオで撮ってもらおう
顔写真くらい、と思っているかもしれませんが、顔写真ほど重要なものはないのです。
履歴書において最も目立つのは顔写真です。
企業としても、職務経歴やキャリア・人物像を精査して採用したいと考えているのは確かなのですが、人ですから、どうしても印象に左右されてしまう。
となれば、第一印象の要である履歴書の写真を甘く見てはいけないということです。
実際、膨大な数の募集が押し寄せる大企業となると、履歴書を一通ずつ精査している時間はありません。
その場合、顔写真を含む第一印象で大雑把にふるいにかけるという場合もあるのです。
「顔写真くらいどうってことない」と考える人があまりにも多いのは事実。
それに伴い、スーパーやコンビニの店頭にある自動証明写真撮影機を使う人も多いです。
ライバルに差を付け、自分に少しでも好印象をもたらすためには、履歴書用の顔写真は、是非とも写真スタジオにて撮影してもらいましょう。
プロの仕事です。素人目に見ても写真の出来上がりが全然違います。
もっとハイグレードな写真スタジオになると、応募する業界ごとに写真と撮り分けたり、男性でもメイクを施したり、出来上がった写真を修正したりしてくれるところもあります。
撮影当日は、もちろんスーツ着用です。清潔感のある格好で撮影に臨みましょう。
4. 応募前のアポイントや事前連絡は不要
ビジネスにおいては、アポイントは重要な行為ですが、転職の応募においてはアポイントや事前連絡は全くの不要です。
求人票に記載されている応募の手順に従って進めればいいのであり、企業への無駄な連絡は全く無意味な行為なのです。
もちろん、「応募は担当まで電話連絡下さい」と記載されている場合は電話をかけて応募してしかるべきですが、面接の日取りが決まっているにも関わらず、前日にわざわざ「明日伺いますので宜しくお願い致します」と連絡を入れるのは、不要であり、蛇足です。
丁寧な人という印象に繋がらないばかりか、印象を悪くする恐れさえあります。
どうしてもわからないことがあるなら連絡して聞きましょう。
ただし、原則は応募手順に従って粛々と進めるだけです。
電話連絡と書いてあるなら電話、メールと書いてあるならメール、まずは履歴書を送ってくれと書いてあるなら黙って履歴書を送ること。
余計な行為は全て蛇足であり、マナーを逸脱する行為であると覚えておきましょう。
5. 企業への電話のかけ方3つのポイント
どうしても応募する企業に電話をかけなければならない場合もあります。
その際に注意すべき点は「企業とコンタクトを取る行為は全て選考の対象」であるということです。
面接じゃないから、と気を抜いて無意識に無礼をはたらいてしまうケースも多いです。
1. 電波状況とバッテリー
初歩的なことで意外と見落としがちです。
電話状況が悪い場所で電話をかけてしまったがために声が聞き取りづらかったり、何度もかけ直したりとなると、印象がよろしくありません。
これは厳密にはあなたのせいではなく、電波のせいなのですが、応募先がそのように広い心で解釈してくれるとも限らないのです。
バッテリーについても、意外とチェックせずに電話をかけてしまいがちです。
通話途中で切れてしまうと大変失礼ですので留意しましょう。
2. 電話をかける時間帯:朝イチやお昼は避ける
相手企業の事情にもよるのですが、電話をかけるのにベターな時間帯というのも存在します。
早いほうがいい、と朝イチにかけてしまうのはよろしくないです。始業したばかりでバタバタしている可能性があります。朝礼中かもしれません。
正午からのお昼休み中は避け、昼イチも避けたほうが無難です。
となると、電話をかけるのに適切な時間帯は、「10時半〜お昼前」「14時〜17時頃」となるでしょう。
3. 電話の切り方:相手が切ってから
正しい電話の切り方は、「先方が通話を切ったのを確認してから、こちらもゆっくりと切る」というものです。
最悪なのは、「失礼します、ガチャッ!」とこちらから乱暴に受話器を置くこと。
有名企業においても、意外とこうしたマナーのなっていない切り方がされることがあって、驚くことが度々です。
つまり、電話の切り方ひとつとっても、無礼があれば不利になってしまうことがありますので、最後まで気を抜かないようにしましょう。
6. 応募先にメールを送る際に気をつけること4つ
メールでのコンタクトの最大の特徴は、記録に残り続けるということです。
従って、ミスは許されません。送信時には最新の注意を払う必要があります。
ただ、送信前に自分で入念にチェックすることが可能であることもメールの特徴の一つです。
慎重に行えば、ミスを限りなくゼロにすることができるのです。
1. 送信・返信は速やかに行う
余談ですが、私の友人に「メールの返信速度は愛に比例する」と持論を展開している人がいて、なるほどと納得してしまいました。
好きな人にはすぐに返信するけど、好きでもない人にはほったらかしにしてしまって、忘れたりしてしまう。
志望企業からのメールに対して返信があまりにも遅いと、志望度が低いと判断されてしまう可能性もあるということです。
2. 件名はわかりやすく入れる
件名を入れるのは必須です。必ず。
省略してしまうのはマナー違反です。
明瞭で、一目見ただけで内容がわかるような件名にするのが望ましいです。
「貴社応募書類送付の件」などが無難です。
3. 会社のメールアドレスは使わない
転職活動をしていることが会社にバレてしまった場合、トラブルになる可能性があります。何が何でもバレてはなりません。
転職活動が漏洩してしまう理由で意外と上位にあるのが、会社のパソコンで転職活動を行っていたことによるものです。
従って、転職に関わるメールのやり取りは全て自分のメールアドレスで行うことが鉄則となります。
また、自分のメールアドレスがあまりにもおちゃらけすぎている場合は、フリーのメールアドレスでいいので、転職活動用に取得し直しましょう。
「taro-yamada@〜」などのオーソドックスな文字列が無難です。
4. 間違いがないか送信前にもう一度確認する
意外と多いのが、送信先の間違いです。添付書類の間違いも多い。
今一度、送信前にきちんと全てを確認して、ミスを未然に防ぎましょう。
7. 応募書類はA4サイズの白封筒に入れるのが無難
履歴書等を送付するための封筒選びも意外と頭を悩ませることかもしれません。
ピンク色や柄物などの奇抜な封筒がご法度なのは当然として、「茶封筒でいいのか、白封筒にすべきなのか」という疑問はあります。
結論から言うと、どちらでも構いません。
但し、よりフォーマルな印象が強くて無難なのは「白封筒」ですから、迷うなら白封筒を選びましょう。
中身が透けて見えやすいですので、厚手のものを選ぶのが良いです。
封筒の色よりも気をつけるべきは、封筒のサイズです。
定形封筒の中に応募書類を折り曲げて押し込んで送付するケースが多いですが、これでは取り出しづらいですし、大切な書類を傷つけてしまいかねません。
従って、封筒は応募書類を折り曲げずに入れることのできる「A4サイズ」の定形外郵便が推奨されます。
8. 書留でなくても、普通郵便で構わない。切手不足に注意すること
応募書類は書留で送るべきなのではないか、と疑問に思ったり悩んだりしてしまう人もいるようですが、特に指定がない限り、普通郵便で構いません。
書留で送付することは決して好印象にならないばかりか、「1. コスト意識が低いとみなされる」「2. 受領の際に手間がかかる」というデメリットがあるのです。
応募書類は指定された期限内に到着するのが原則ですから、余裕を持って投函するようにしましょう。
間に合わなそうな場合は、速達を使っても構いません。
また、大変に重要な問題は、切手不足です。
料金の不足により履歴書が自宅に返送されてしまったり、先方に負担させるようなことがあれば、不採用になる可能性が極めて高くなります。
せっかく作成した応募書類が無駄になってしまいます。
従って、応募書類を郵送する際には、目分量で切手を貼って投函するのではなく、郵便局の窓口に持ち込み料金を支払って出すようにしましょう。
うっかりは誰にでもあるもの。
一つひとつをきちんと確認して行えば、ミスや失礼は限りなくゼロに近づきます。
コメント