軽中度のうつ症状に。セントジョーンズワートの効果と服用に際しての注意点とは?

 セントジョーンズワート(St. John’s wort)は特にうつ病の改善に効果があるとされる天然ハーブです。セントジョーンズワートが軽中度うつ症状を和らげる効果があることは多くの研究によって実証されており、天然ハーブ先進国ドイツでは医薬品として認められています。

 また、サプリメント大国アメリカでは「サンシャインサプリメント」と呼ばれており、特にダイエット中のストレスを軽減、ストレスによる暴飲暴食を防ぐための他、軽中度のうつ病、更年期障害、自律神経失調症を訴える患者にも大変に人気のあるサプリメントです。

 下記でセントジョーンズワートの具体的な効果や注意点について見ていきましょう。

 

セントジョーンズワートとは?

 セントジョーンズワートはセイヨウオトギリソウという植物の抽出物で、古代ギリシャ時代より医療品として用いられてきた歴史があります。うつ病の治療薬として注目を集めたのは1980年代、イギリスの医学誌に「セントジョーンズワートは抗うつ薬と同等の効果を持ちながら、副作用も少ない」との報告がなされたのを端緒とし、以来、数多くの臨床試験を経てその高い効果が実証されてきました。

 セントジョーンズワートの主要な有効成分は「ヒペリシン」「ヒペルフォリン(ハイパーフォリン)」とされ、これらの成分が脳内のセロトニン濃度を一定に保つ役割を果たすことでうつ病やストレスを改善すると考えられています。

 前述の通りセントジョーンズワートはドイツでは医薬品扱いであり医師によって処方されるものですが、日本では食品扱いでありサプリメントをドラッグストアなどで容易に入手することができます。また、ハーブティーとしても人気があるものです。

 

セントジョーンズワートの効果とは? ―脳内のセロトニン濃度を一定に保つ

 セントジョーンズワートがなぜ軽中度うつ症状の改善やストレスの緩和に効果があるかというと、脳内のセロトニン濃度を一定に保つ働きがあるからです。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれることで広く知られていますが、セロトニンの減少は日常生活における満足感・幸福感の低下をもたらし、不安感やイライラを招きやすくなり、うつ病の一因ともなるものです。

 
 セロトニンの濃度を一定に保つためには2種類の戦略があります。セロトニンを「増やす」アプローチと、「減少させない」アプローチです。

 
 セロトニンの原料であるL-トリプトファン5-HTPを摂取することはセロトニンを「増やす」方法として有用なものです。特にL-トリプトファンはサプリメントとしては非常に人気の高いものであり、5-HTPは日本では医薬品指定されているもののセロトニンへの変換効率と安全性が更に高いアミノ酸として注目が集まるものです。

 
 それに対して、うつ病治療薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の効果は脳内のセロトニンを「減少させない」ことにあります。SSRIの意味は「選択的=セロトニンだけを」「再取り込み=減少」「阻害=させない」ということです。

 そして、本稿において紹介しているセントジョーンズワートも、有効成分ヒペルフォリン(ハイパーフォリン)がSSRIと同様の働きをすることによってセロトニンを「減少させない」ことがわかっています。これがセントジョーンズワートがうつ病やストレスに作用すると言われる所以です。

 
 特筆すべき点は、SSRIは脳に働きかける薬品であり数々の副作用は免れないものですが、セントジョーンズワートは副作用の少ない天然のハーブであるという点です。従って、うつ病治療薬よりも安全性が高いということで、ドイツでは軽中度の患者にはセントジョーンズワートが広く処方されているというわけです。

 従って、セロトニンに作用するセントジョーンズワートには下記のような効果が認められます。

うつ症状の軽減

 上述の通り、セントジョーンズワートに含まれるヒペルフォリン(ハイパーフォリン)は脳内のセロトニンを「減少させない」働きをすることで、結果的にセロトニンを増やすことに繋がります。適正量のセロトニンが分泌されていることでうつ症状は軽減されることが示されています。

不眠の解消

 セロトニンは夜になると眠りを促すメラトニンという物質に変化します。つまり、充分量のセロトニンが脳内に存在することによって充分量のメラトニンを生成することに繋がり、自然と眠りにつきやすく睡眠の質を高めることになるのです。

不安・イライラ・ストレスなどの解消

 不安やイライラなどのネガティブな感情は、それ自体が目の前にあるわけではなく、私たちがそのように感じるように選んでいるに過ぎません。同じ状況に陥っても「もうだめだー」とあたふたしてしまう人もいれば、「なんとかなるさー」と悠長に構えている人もいます。私たちは「もうだめだー」と考えることを自分で選んでいるのです。

 ストレスについても同様で、私たちはストレスを溜めてしまうような考え方を自らに課している場合が多いのです。セロトニンは「幸福ホルモン」と呼ばれるもので脳の働きをポジティブで活発に促すものですので、そのようなネガティブに陥りがちな思考を修正する作用があります。結果、不安感・イライラ・ストレスの溜めないことに繋がります。

 

セントジョーンズワートが効かない? その理由とは

 セントジョーンズワートサプリメントを服用した人の感想やレビューでは「効果があった人」と「効果がない人」とに二分されている様が散見されます。セントジョーンズワートの正しい知識を身につけることでその効果を最大限引き出すと共に、早々に「効果がない」と切り捨ててしまうもったいない事態を防ぐことができます。

セントジョーンズワートは「軽中度の」うつ症状を改善する

 セントジョーンズワートには「軽中度の」うつ症状を改善する効果があるとするのが一致した見解となっています。セントジョーンズワートを医薬品としているドイツでも同様にして軽度から中程度のうつ症状が見られる人を対象に処方しています。

 これはセントジョーンズワートが軽中度うつ症状の改善に効果があることを示すと同時に、抗うつ薬SSRIよりも安全性が高いことを表しています。SSRIを処方・服用することが逆に副作用等の発現によってリスクとなり得る軽中度の患者には、副作用の比較的少ないセントジョーンズワートを処方し、経過を観察するほうが患者の健康のためにもなるということです。

 逆に言えば、重度のうつ病を始めとする精神疾患患者についてはセントジョーンズワートでは効果が保証されないということです。セントジョーンズワートが「効果がない」とする人はもしかしたら重度の患者である可能性があります。「効果がない」からとセントジョーンズワートの大量摂取をしてしまっているケースも散見されますが、これでは逆に健康を損なうどころか病状を進行させてしまう可能性があります。

 「効果がない」と思われる重篤な患者は医療機関によって然るべき治療を施してもらうことが賢明です。

 

長期的な摂取で効果が現れる

 セントジョーンズワートに即効性があるとする実証は今のところありません。その効果を適切に享受するためには最低でも4週間は取り続けることが必要であるというのが科学的に一致した見解です。1〜2週間程度で徐々に効果が現れ始め、4週間目でようやく適切に評価できる効果が万全に発現されるとみなして良いでしょう。

 従って、セントジョーンズワートには「効果がない」としてしまっている人は、服用し始めてたった数日間でその評価を下している可能性があるということです。たった数日で劇的な効果が現れるものがあるとすれば、それは危険な薬品として取り締まりの対象になるか、医薬品として厳密に管理されるべきものでしょう。

 日本やアメリカにおいては医薬品ではなく一般的なサプリメントとして流通している現状を考えれば、セントジョーンズワートは一瞬で劇的な効果が現れるものというよりは、摂取し続けることで緩やかで確実な効果が身に付くものとみなせます。焦ることなく、長い目で見て摂取してみることが肝要です。

 

セントジョーンズワートの一日の適正摂取量とは?

 セントジョーンズワートの一日の基準摂取量は900mgとされています。300mgを一日三回に分けて摂るのが一般的です。上限は一日1800mgです。

 但し、各社で製造販売されているサプリメントによって有効成分の含有量にバラつきがある場合があるので、当該サプリメントに表示されている用法用量に従って服用するようにしましょう。

 

セントジョーンズワートに副作用はある?

 セントジョーンズワートはSSRIに比べれば副作用の少ないことは繰り返し申し上げてきましたが、天然ハーブの中では副作用のリスクはやや高めの部類に入るものであるとされます。例えば、アメリカにおいて抗うつ薬の代替として処方されることもある天然ハーブであるロディオラ・ロゼア(高山植物イワベンケイの天然抽出物)は高い効果を持ちながら副作用が殆ど報告されていない秀逸なサプリメントのうちの一つですが、それに比べればセントジョーンズワートは比較的副作用(特に薬物相互作用)が多く見られるものです。

 誤解して欲しくないのは、セントジョーンズワートは危険なものではないということです。単体で使用する分には限りなく安全です。摂取に際してはあり得べき副作用や薬物相互作用(医薬品との併用)をきちんと確認することで弊害を限りなくゼロにし、その高い恩恵だけを享受することが可能です。

医薬品との併用には注意が必要

 セントジョーンズワートの服用に際して最も注意すべき点は、医薬品との併用です。鎮痛薬、抗うつ薬(SSRI)、強心薬、ピル、気管支拡張薬、抗てんかん薬、抗HIV薬、抗不整脈薬、血液凝固防止薬などの薬を処方されている人は、セントジョーンズワートと併用することで薬の効き目が弱くなったり副作用が発現したりする場合があります。

 セントジョーンズワートにおける医薬品との相互作用は厚生労働省が正式に通達を出しているので(セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について|厚生労働省)正確で詳細な情報はそちらでご確認くださいませ。

 

妊娠中・授乳中の女性は服用を避けるべき

 セントジョーンズワートは古来より医薬品として用いられてきたことは前述しましたが、ネイティブインディアンの間では人工妊娠中絶薬として使用されていたとの歴史があります。また、授乳中においてもセントジョーンズワートの成分が乳児に何らかの悪影響を与える可能性が懸念されます。

 従って、妊娠中・授乳中の女性はセントジョーンズワートの服用は避けるべきです。

 

注意すべきサプリメントとの併用

 セントジョーンズワートとの併用によって副作用があると示唆されているサプリメントに「GABA」「SAM-e」「バレリアン・ルート」があります。これらのサプリメントは抗うつ薬SSRIとの併用を避けるべきであるという見解があるもので、SSRIに似た働きをするセントジョーンズワートとの併用にも注意が必要であるということです。

 また、前述のセロトニンを「増やす」働きのある「L-トリプトファン」「5-HTP」との併用も避けたほうが無難です。脳内のセロトニン濃度が高くなりすぎて弊害をもたらす「セロトニン症候群」のリスクがあるからです。

 セントジョーンズワートにおける考え得るあらゆるリスクを避け、極めて安全に利用するためには単体での使用が望まれるようです。

 

セントジョーンズワートおすすめサプリメント

 セントジョーンズワートはドラッグストアの他、通販などでも手軽に入手できるものです。サプリメントマニアの私が実感するところでは、効果の高いサプリメントに限って身近なドラッグストアに流通しておらず、個人輸入や通信販売を利用しなければならないことが多いものの、セントジョーンズワートはその殆ど唯一の例外と言ってもいいでしょう。

 下記でセントジョーンズワートのおすすめサプリメントを紹介していきましょう。

 

▲最も人気のあるセントジョーンズワートサプリです。高品質にして低価格かつ20日分というお試しにも丁度良い分量が魅力的です。初めての人はこのDHC製の商品一択で充分でしょう。

 

▲少しお値段は張りますが、有効成分の含有量はこちらのほうが多いようです。

 

▲アメリカの老舗NOW社の製品です。コストパフォーマンスには大変に優れますが、輸入品のため到着までに時間がかかる場合があります。

 
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