仮病で学校を休むために乗り越えなければならない唯一にして最大の壁が「親を騙さなくてはならない」ということです。最も身近な人物で時におせっかいな両親を上手に説得するか騙すかしなくては「いいから学校に行きなさい」の一言で欠席の目論見は一蹴され、とぼとぼと登校する羽目になってしまうのです。
本稿においては、学校を上手に欠席するための仮病について解説していくものです。風邪だけが仮病ではありません。むしろ風邪は最もバレやすい仮病のうちの一つです。学校をこれからも上手に継続して任意のタイミングで休むためには「バレない」ことが第一に要請されます。
仮病と言っても多種多様な要素があり、戦略はバリエーションに富みます。その鉄壁な戦略について解説していきましょう。
学校を休むためにバレやすい仮病とは?
消去法で行きましょう。まずはバレやすい仮病を知ることで選択肢を狭め、これから発動する仮病の打率を上げます。
仮病にホームランは必要ありません。私たちのお手本はコツコツと打席ごとにヒット(バレないこと)を積み重ねるイチローです。打率、出塁率、盗塁成功率が極めて高く、守備範囲も広い上に怪我も少ない大変に優秀な選手です。イチローが仮病界に君臨していたならきっと鮮やかでバレない奇跡的な仮病を継続して繰り出して、誰も塗り替えることのできない圧倒的な世界記録を打ち立てていたことでしょう。
1. 風邪はバレやすい
仮病というと真っ先に思い浮かぶのが「風邪」ですが、風邪ほどバレやすく危険で浅はかな症状はありません。
まず、発動しなければならない症状が多すぎて非常に煩瑣です。私たちは俳優養成所に通っているわけではないので「咳」「くしゃみ」「鼻水」「喉の痛み」「熱っぽい感じ」等、これら全てを演技として日常の所作の中に組み込むのは無理というものです。
しかも相手は私たちが毎日顔を合わせる両親です。ちょっとした様子の違いさえも見抜かれるわけですから、それが単なる風邪の演技であることくらい瞬殺で見抜かれるに決まっています。
加え、風邪はすぐには治らないという性質があるため、少なくとも数日は高いクオリティの「鼻水」や「咳」の演技をし続けなければなりません。非常に面倒です。従いまして、風邪はおすすめできません。
2. 発熱はリスクが高い
一人暮らしの社会人であれば「発熱」は鉄壁の戦略です。なにしろ、会社に電話をかけて「熱が38℃あるので休ませてください」とやや具合が悪そうに言うだけで、欠勤をほぼ確実に物にできます。まして、風邪以外にも発熱する場面なんて山ほどありますから、翌日はケロッとした顔で出勤し、「原因はわからないけれど熱だけ出た」と言っておけばいいのです。
しかしながら、家に同居人がいるとなると話は違ってきます。なぜなら私たちは熱がないのに発熱しているとの虚偽の申請をして欠席を勝ち取ろうとしているからであり、「ちょっと熱計ってみなさい」という母親の軽い一言で全ては灰燼に帰してしまうのです。私たちは至って平熱だからです。
上手に工作(手で激しくこするなどして摩擦熱を起こす、ぬるま湯に付ける、など)をして高い数値を示したとしても、「もう一回計ってみなさい」と言われてしまえば万事休すです。
発熱で学校を休もうとすることはリスクが高すぎる故、一人暮らしでない限りはあまりおすすめできないのが実情です。
3. 吐き気は緊急性が高すぎる
良い仮病の条件の一つに「緊急性が高い」というのが挙げられます。症状を聞いただけで「どうしても休まざるを得ない」と説得力を持つということであり、そういう意味では「吐き気」は緊急レベルは最高であると言えます。
但し、学校を休む場合、緊急性が高すぎるのも考えものです。なぜなら心配した両親におせっかいにも病院に連行されたら非常に面倒だからです。特に吐き気は食中毒が疑われる場合もあるので、病院においてある程度真剣に診察される可能性があります。こちとら仮病なわけですから、そんなに真面目に診察されても困りものです。
もちろん、原因不明の吐き気というのもないわけではなく、病院では「今朝は激しい吐き気に見舞われたが、今はもう治った」の一点張りで押し通せばいいだけなので絶対に避けるべきであるとは言えませんが、やや厄介なことになってしまうリスクがあることを考慮し、ここに記載しました。
同様の理由で「インフルエンザ」「ノロウイルス」「O157」「肉離れ」「ぎっくり腰」なども学校を休む仮病には向いていません。
では、仮病で学校を休むために使うべき3つの症状とは?
ここからが本題です。学校を休むためにはどのような仮病の症状をでっち上げればいいのでしょうか。
戦略は個々人によって多種多様に選択できますが、ある程度の指針はあります。つまり「症状が第三者から見えない」「症状を聞いただけでつらそうと思える」の条件を満たす理由をでっち上げれば良いのです。ちなみに、これら2つに前項で示した「緊急性が高い」を合わせると「優れた仮病の三箇条」となります。
1. 頭痛 ―王道にして鉄板
王道にして鉄板です。王道過ぎて多用しすぎると「もしや仮病では?」と疑われやすいのが欠点ではありますが、本人が痛いと言っているのですから周囲の人間はそれを信じるしかありません。そう、頭痛は完全に「症状が第三者から見えない」のです。痛いと言った者勝ちです。
1. 頭が痛くて起きることができないアピール。
2. どのように痛む? と聞かれたら「頭の両側が脈打つようにズキズキする」と答える(偏頭痛の症状)。
3. 眉間にしわを寄せてしかめっ面。
4. お昼頃に治ったことにする。
5. 原因は不明の一点張り。
殆どの頭痛は明確な原因が不明であり、一日中痛みが継続するとは限りません。学校の欠席が確定したらお昼過ぎには「治ってきた」と言って起き上がり、あとは休みを満喫しましょう。
2. 腹痛 ―トイレにこもる作戦
腹痛は吐き気のカジュアル版です。吐き気の禍々しき印象については上述しましたが、腹痛レベルであればとりあえずは「何か悪いものでも食べたんじゃないの? 安静にしてなさい」といきなり病院に連行されるようなことはまずないと言っていいでしょう。加え、腹痛は「トイレにこもる」という極めてお手軽な手段が使えるため、煩雑な演技が何も必要ないという利点があります。
1. お腹が痛いと訴えてトイレにこもる(中では暇つぶしにスマホゲームでもやっていればいい)。
2. 10分毎にトイレにこもる→トイレから出る→こもるを繰り返してアピール。
3. 眉間にしわを寄せてしかめっ面。
4. お昼頃に治ったことにする。
5. 原因は不明の一点張り。
3以下は頭痛と同じですね。殆どの仮病における共通事項のようなものでしょう。一日中闘病しているふりをしているのもつまらないですし、演技をし続けるのも疲れます。であれば、お昼頃に治ったことにしてしまい、残りの休日を元気いっぱいに過ごすのが合理的です。
3. 胃痛 ―その意外性
仮病と言うとおおよそ「風邪」「頭痛」「腹痛」がメインストリームであり、人気であるということは常にバレやすいというリスクが付きまといます。そこに現れる刺客が「胃痛」です。胃痛の長所は何と言ってもその意外性です。おおよそ思いつく仮病の理由を出し尽くした頃に胃痛という持ち駒で欠席に王手をかけましょう。
手順は頭痛と腹痛の合わせ技のように行うことになります。
1. 胃のあたりがキリキリと痛くて起きることができないアピール。
2. たまにトイレにこもっても良い。但し、すぐに出てくること。吐き気ほどの緊急性を演出しなくても良い。
3. 眉間にしわを寄せてしかめっ面。
4. お昼頃に治ったことにする。
5. 原因は不明の一点張り。
同様にして3以下は同じです。全ての症状に原因があるわけではありませんし、原因を追求しなければならないわけでもありません。思い当たる原因について聞かれても「うーん、わかんない」とさっぱり答えておきましょう。あれこれとやたら詳しく喋ったり、気まずそうに黙ったりすることこそ仮病がバレることに繋がってしまいます。
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