個人事業主(フリーランス)は自分で仕事を作り出して稼がなければならないのが一番大変なところですが、逆にメリットもあります。経費や控除分を年収から差し引くことで所得をコントロールし、納税額を安く仕立て上げることができる点です。
現に私は昨年、本業と副業でダブルの収入があったので年収280万円程度でしたが、そこからいろいろと差し引いて年間所得は60万円ほどでした。所得60万円というのは、国保税と国民年金が減額の対象となる金額です。
そう、個人事業主(要青色申告)は納める税額を安く抑えることが可能なのです。本稿は「個人事業主が税金を最安にしながら生活を維持するためには、いくら稼ぐのが最適なのか」を私の経験から実際の数字を元に考察していくものです。ガッツリ稼ぎたいという人よりも、最低限稼いでのんびりと暮らしたいという人向けです。
ちなみに、下記の計算は全て一人暮らし(扶養家族なし)の場合で計算されています。
税金を最安にする所得を知っておこう
所得とは?
個人事業主の所得とは、大雑把に下記の計算で求められます。
所得 = 年収 – 経費 – 控除
年収とは年間に稼いだ全ての金額(収入、売上)のことで、そこから差し引くべきものを全て差し引いた結果が所得となります。
税金を最安にする所得金額とは?
結論から言いましょう。税金を最安にする年間所得金額は、33万円以下(地域差あり)です。ここで言う「税金」とは「国民健康保険料」「市県民税(住民税)」「国民年金」を指します。
国民健康保険料
国民健康保険料(国保税)は年間所得33万円以下であれば、7割軽減となります。つまりは3割しか納付しなくて良いということ。住んでいる自治体によって納める金額は異なりますが、およそ1期辺り7,000円程度になるはずです。本稿における税金を最安にする所得金額33万円はこの国保税を論拠に提示しています。
市県民税(住民税)
市県民税(住民税)は地方自治体によって非課税になる金額が異なります。例えば私が今住んでいる自治体では年間所得31万5千円以下で均等割・所得割ともに非課税となり、市県民税を1円も納めなくてよいことになっています。東京都内では35万円以下で非課税になるようです。
従って、はっきりと「〇〇万円以下」と断定することは難しいので、お住まいの地方自治体のホームページなどで確認してくださいませ。おおよそどの自治体も30万円〜35万円の間であると思います。
国民年金
国民年金については年間所得57万円以下で全額免除が可能です。申請しなければ適用されないので、減額・免除をしてもらうなら必ず申請しましょう。年金事務所に赴くか、郵送でも可能です。
ちなみに、国民年金は控除対象である上に、平均寿命まで生きると仮定すれば納付額以上のリターンが必ずあるので、納めないと損ではあります。資金に余裕があるなら納付したほうが良いと思います。ちなみに私は先日、減額・免除申請をしてきました。審査中ですが3/4免除になるはずです。
上記、年間所得33万円以下を元に、稼ぐべき年収を計算していきます。
税金を最安にするための年収の計算
個人事業と一言で言っても物販、ネットビジネス、コンサルなど様々な業態があるでしょう。ここは私の事業の数字を元に計算していきます。
年収から差し引くことのできる「経費」
数値は年額です。
家賃 225,000円(50%按分済)
光熱費 40,000円(50%按分済)
スマホ・ネット料金 42,000円
サーバー代等 35,000円
その他経費 50,000円
計392,000円
経費はほぼかかっていません。自宅を事務所にしているのでその分を経費に計上している家賃分が最も高額な経費となっています。料理ブログでも書けば食費も経費計上できるのだと思いますが、まだやっていません。
一人で細々とネットビジネスをやっているのですが、経費がかからず無駄な支出にならない上に、本の購入代などを経費として突っ込めるところが良いところです。
年収から差し引くことのできる「控除」
同じく、数字は年額です。国民年金は全額免除、国保は私の居住地の数値で計算しています。
基礎控除 380,000円
青色申告特別控除 650,000円
国民健康保険料 64,800円(7割軽減)
計 1,094,800円
上記以外に、医療保険・生命保険の掛け金、iDeCoへの拠出金などがある人は控除対象になります。
※2020年から基礎控除が45万円に上がります。また、同じく2020年から青色申告特別控除はe-Taxでの申告に限り65万円の控除、それ以外の深刻では55万円になります。
結果発表
役者は揃いました。あとは式に当てはめて計算するだけです。
所得 = 年収 – 経費 – 控除
330,000円 = X – 392,000円 – 1,094,800円
X = 1,816,800円
はい、出ました。地域差はありますが、およそ概算で年収180万円(月収15万円)以下であれば、全ての税金を最安にすることができます。逆にそれ以上稼いでしまうと税金で持っていかれます。私は現在月の生活費10万円で生活しているので、月収15万円もあれば5万円を貯金に回せることになります。
高所得者の愚痴として「たくさん稼いでも税金で持っていかれる」と言われますが、私たち零細個人事業主の戦略として「少なく稼いで合法的に税金を収めない」という手段もあることは覚えておいて損はないと思います。その具体的数字年収180万円(月収15万円)以下(扶養家族なしの場合)をここでは明らかにしました。
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