上手な仮病とは、疑われたり陰口を叩かれたりすることなく、イレギュラーな休日をスムーズに得ることと考えて間違いないでしょう。
従って、どれだけ周囲に敵を作らずに快適に休みを獲得し、何の心配もなく清々しく仮病明けの出社ができるかどうか、そこに注力してしかるべきであると私は考えます。
そのために人は、「遠方のおばあちゃんの看病のため」など、極めてもっともらしい理由をでっち上げて休暇を獲得することに勤しむのです。
ただ、それは一朝一夕で確立できることではありません。
普段の社内での態度があまり良くなければ、たとえ実際に遠方のおばあちゃんの看病をしなければならなくて休んだとしても、本当に一歩も動けないほど体調が悪くて休んだとしても、仮病を疑われたり、「あいつはやる気がない」などと陰口を叩かれたりしてしまうのです。
そのような事態にならないために、心置きなく仮病で休んでも全く疑われないどころか、「あの人が休むなんて、よっぽど具合が悪いに違いない。大丈夫だろうか」と心配さえしてもらうための、普段の過ごし方を心得ておくことは決して無駄ではないでしょう。
特に、会社に入りたての新入社員の方々には是非とも覚えていてもらいたい事項です。
1. 爽やかにあいさつをすること
普段会社で誰とも喋らなくても全然構わないのですが、あいさつだけはきちんとすることで、周囲の印象は大変良好になります。
全然難しいことではありません。あいさつと言っても、「おはようございます」と「お疲れ様でした」「お先に失礼します」ぐらいなものですから、会社に着いたら、それをできるだけ明るく大きな声で言い放ってやりましょう。
無理に心を込める必要はなど全くありません。あいさつが返ってこなくても構いません。定型文として毎日誰に言うでもなく繰り返してさえいればいいのです。
そうすることによって、いざ仮病で休んだ日に、「あの、いつもあいさつする人、今日はいないな。どうしたのかな」と、心配する人も出てくるでしょう。
2. 返事は朗らかに「はい」と答えること
上司に呼ばれたり、何か頼まれごとをした際には、全て「はい」と簡潔に、できるだけ朗々と答えましょう。
面倒な上司の面倒な話ほど面倒なことはないので、無駄な話など別にしなくても良いのです。「はい、わかりました」と答えたら直ちに振り返って立ち去りましょう。
それを繰り返していれば、上司においては「真面目で、ものわかりのいいやつだ」と認識され、いい感じの距離を保つことができます。
「はい、わかりました」と答えたからといって、別にわかっていなくてもいいのです。ただそれをわかっているように答えることが重要です。
そうすることによって、いざという仮病の際、「あの真面目なやつが休むなんて、よっぽど体調が悪いのだろう」と撹乱させることができます。
3. 言い訳をなるべくしないこと
前項とも関連するのですが、叱責されたり小言を言われたりした際、言い訳はなるべくしないようにしましょう。
言い訳をすることによって、話が長引いて時間の無駄になりますし、「反抗的なやつだ」「話のわからないやつだ」との印象を抱かせることになります。
説教をする方としては、説教をしたいがためにこちらの言い訳を待っているという心情もあります。つまり、こちらが「だって」とか「でも」とか口にしたら最後、それを手がかりに更なる攻撃を仕掛けてきます。
説教や叱責に対しては、ひたすらに「はい」「わかりました」「すいません」を繰り返すマシーンと化してやり過ごすことが肝要です。意地の悪い上司の中には、「はいはい言ってりゃいいと思ってんのか」と言ってくる者もいるでしょうが、それにさえも「はい、はい、すいません」とでも答えていればいいのです。
そうすることによって、相手はのれんに腕押し状態となり、早々と説教を切り上げることでしょう。
そして、いざという仮病の際にも、「あの何事にも『はい』と答えていたやつが、出社に『いいえ』と言うわけがない。よっぽど具合でも悪いのか」といいように誤解させることができます。
4. 期限を守ること
期限が設けられている仕事については、必ず期限を守るようにしましょう。でき得れば、期限よりもできるだけ早く終わらすようにすることが望ましいです。
不思議なもので、仕事に対してどんなにやる気がなくても、どんなに適当な仕事をしていても、期限さえ守っていれば、「仕事ができる」「やる気がある」「真面目だ」と思わせることができるのです。
ワンランク上のやってもやらなくてもいいような仕事に向上心を発揮する前に、期限付きで且つなるべく早めに終わらせたほうが良さそうな仕事をさっさと終わらせて、無駄なことはせずに速やかに定時で帰りましょう。仮病においては、仕事に対する向上心なんて無駄なだけです。
そうすることによって、いざという仮病の際に、「あの真面目なやつは今日は休みか。明日には元気に出社してくれるだろうか」と無駄に心配させることができるのです。
5. 整理整頓をすること
整理整頓ができる人全てが実際に仕事ができる人物であるとは限りませんが、それでも身の回りを常に綺麗にしている人には、高い評価が与えられる傾向にあります。印象が良いのです。
整理整頓は社会人としての基本であり、仕事の効率化のためには欠かせない手段です。
もちろん、我々は仕事を効率的にバリバリこなして出世したいのではなく、良い印象を与えて仮病を疑われない方法を模索しているのです。
それでも、仕事の効率化は定時に帰るための唯一の近道です。
効率化したからたくさんの仕事をこなすのではありません。最低限の仕事を最速でこなして、最速に定時で退勤するのです。
そうすることによって、定時で帰れることに加えて、いざという仮病の際、「身の回りの管理ができていたあいつが健康管理を怠るわけがない。よっぽどのことに違いない」といいように誤解を発動することができます。
おわりに ―全ては仮病のために
上記のことを実践するだけで、社内では「真面目だ」「ちゃんと仕事をする人だ」と印象付けることができるでしょう。
忘れてはならないのは、我々は真面目に仕事をするために、あいさつだの朗らかな返事だの期限の厳守だのをするのではなく、全ては来たるべき仮病のためだということです。
好きなときに好きなように休むために、普段からその礎を着々と築いておこうというのが本稿の目的です。そこには、本来の仕事以上に努力を支払ってしかるべきであると私は考えます。
なぜなら、休みたいときに休むことには、それだけの価値があると信じているからです。
間違っても本来の目的から逸脱して、実際に真面目になってしまったり、仕事人間になってしまったりしたら目も当てられない事態であると、肝に銘じておきましょう。
コメント
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