ToDoリスト・やることリストによって、仕事が飛躍的に効率化されることは自明である。
なぜか。
それは、ToDoリストが作られていることによって、「やることを考える時間」が減ることに繋がるからである。
我々の時間のうちで最も無駄な時間は「何をしようかな」「次は何をやるんだっけ」と思案している時間である。
一日のうちで「何をしようかな」と手を止めて考えている時間の多いこと。本当に。
加えて、ToDoリストにより、一日の仕事の量が明確になること、すなわち達成目標が可視化されることも挙げられる。
ToDoリストを朝イチで見て、「今日はやることがたくさんあるぞ」とわかれば、集中して取り組むことができる。
逆に、今日一日のやるべきことが明確になっていない場合、ペース配分を事前に振り分けることができないので、仕事は遅れ、終業間際になって慌てることになる。
ビジネスマンにとっての最重要課題は、自らの時間管理である。時間を制するものは、人生を制する。
ToDoリストは、その時間管理を可視化するツールであり、今日の仕事に集中するためのものである。
従って、良いToDoリストを作成すれば、良い仕事ができる。
逆に、駄目なToDoリストでは、全く意味がない。
一流はメモの取り方も一流である。
愚か者は「メモを取ることは大事だぞ」と言われたら「メモを取ることは大事」とメモするのである。恐ろしくも、これは実話である。
一流のToDoリストの作るためには、コツがある。
特に、絶対にやってはいけない3つのことを紹介しよう。
1. 自発性をなくすリストにしてはいけない
ToDoリスト・やることリストを作成する目的は、集中して仕事に取り組むためである。それ以外にない。
そのためには、ToDoリストを気持ちよく作成し、ストレスなく活用することが要請される。
誰もが自分で作ったリスト通りに仕事が終わらない結果になると、敗北感や挫折感を味わうことになる。
朝に作った「今日やるべきことリスト」が、夕方にさらに長くなってしまっていることもあるだろう。
ToDoリストを作ったからといって、そのリストに縛られ、支配されてしまうようではストレスが溜まるだけであり、結果的に自分で作ったリストから逃げたくなる結果になりかねない。
つまり、ToDoリストの活用において重要なことは、自発性である。
自発性を喚起するリストであるということが、望ましいToDoリストである。
こんなにある仕事を終わらさなければならない、ではなく、「たったこれだけの仕事なのだから終わらせよう」と動機付けすることである。
2. 達成感をなくすリストにしてはいけない
気持ちの良いToDoリストにするためには、達成感が欠かせない。
人には「完了バイアス」という心の働きがある。
どういうことかというと、人はある仕事を「完了させること」に快感を覚えるということである。その日に完了した仕事をリスト上から横線で消す快感である。
達成感の少ないToDoリストはストレスの元凶になるだけなのだ。
朝に「今日はこれだけはやらなくてはならない」と作成したToDoリストに、当日舞い込んできた仕事を新たに書き加えることは、最もやっていはいけないことである。
清廉潔白なToDoリストが次々と汚されていく様をみるのは耐え難いであろうし、何よりも、当初よりも増えた仕事が記載されているToDoリストを終わらせることができないことによって、挫折感を味わう羽目になるのはとても悔しいことである。
解決策としては、ToDoリストを分けることが挙げられる。
つまりは、「今日はここれだけはやらなくてはならない」と朝に作成したToDoリストと、当日イレギュラーに舞い込んできた仕事を記載したToDoリストとの2つのToDoリストを用意するのである。
こうすることで、雑然としたリストを眺めて思考停止する危険を回避することができる上、朝に作成したリストに邪魔が入らなくて済む。
何を優先してやるべきか自発的に考えることができ、一つひとつの仕事を完了させることができる可能性も増えるのである。
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3. その日のうちに終わらない仕事を今日のリストに加えてはならない
上述の「リストを分ける」というアイデアに関連して、「やること」と「やりたいこと」はリストを分けることが賢明である。
人は、意外と自分の能力を過大評価しているし、未来に対して根拠もないのになぜか楽観的である。
従って、あれもやりたいこれもやらなくては、と今日やることリストに無分別に10項目も20項目も追加していってしまう習性がある。
でも、過大評価で楽観的な我々が、それら全てを完了することのできる可能性は極めて低いのである。終わらなければ挫折感が待っている。
従って、ToDoリストを作成する際には、「今日終わらせる自信のある仕事を3つか4つ選ぶ」ことが重要である。簡単な仕事をピックアップしても構わない。
今日のToDoリストは今日のToDoリストとして作成するのであって、それを終わらせることが最優先項目となる。終わらせることができれば、リストを横線で消す快感を得ることができるし、自信にも繋がる。
今日のToDoリストが終わって時間の余裕があったら、「そのうちやりたいと思っている仕事」や「舞い込んできたイレギュラーな仕事」から適当な選んできて作業すればいいのである。
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おまけ:既に終わっている仕事をわざわざToDoリストに書いてみる作戦
「既に終わっている仕事をわざわざToDoリストに書く」ということは、一見馬鹿げたことに思えるかもしれないけれど、心理的に有効な戦略だったりするのである。
人は、ToDoリスト上にある項目を横線で消し込むことに快感を覚えるからである。
従って、例えば、完了するまでに5つのステップがある仕事で、既に3ステップまで終わっていたとする。
であれば、ToDoリストにわざわざ1ステップから5ステップまでの5項目を書き込んで、3項目までを直ちに横線で消すのである。ああ、快感。
一つの仕事をわざわざ細分化してリストに書き込み、完了する機会を増やすというのも良い戦略である。
繰り返しになるが、自発性の高く、達成感の得られやすいリストが、良いToDoリストなのである。
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