L-フェニルアラニンサプリメントのうつ病への効果や副作用を詳しく解説

 L-フェニルアラニン(以下「フェニルアラニン」と記述)は必須アミノ酸の一種で、脳内でドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンへと変換されます。これら脳内物質は高揚感ややる気を喚起するもので、記憶力などの学習能力の向上、無気力感やうつ病の改善を促進することが確かめられています。

 また、人工甘味料の原料としてや鎮痛剤としても用いられていることからもわかるとおり、極めて安全性の高いものでもあります。フェニルアラニンの効果や適切な摂取の仕方などについて下記で詳しく見ていきましょう。

 

フェニルアラニンとは?

普段の食事から摂ることが可能な必須アミノ酸

 フェニルアラニンは必須アミノ酸です。必須アミノ酸とは、体内で合成することのできないアミノ酸のことですので、必ず食事から摂取しなければなりません。とは言え、フェニルアラニンは広く食品中に含まれているアミノ酸でもあるので、普通に生活をしていれば過度に不足することはないと言えるでしょう。

 但し、アミノ酸とはタンパク質のことですので、一日三食をカップ麺に依存するなど偏った食生活をしていれば不足してしまう可能性があることは念頭に置いておきましょう。

L体とD体

 フェニルアラニンには食品を原材料とする天然の物質である「L-フェニルアラニン(L体)」と、人工合成物である「D-フェニルアラニン(D体)」とが存在します。D-フェニルアラニンは主に鎮痛剤として用いられるものです。

 一般的にフェニルアラニンという場合、天然の「L-フェニルアラニン」のことを指します。サプリメントに含有されているものも「L体」であり(人工合成物である「LD体」と銘記されているものも存在します)、本稿で紹介しているのも「L体」のことです。

チロシンとの比較(後述)

 フェニルアラニンは肝臓でチロシンへと変換されます。「やる気の出るサプリメント」として有名な、あのチロシンです。チロシンは脳内でドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンへと変換され、私たちの脳が活発に働くようになります。

 チロシンもサプリメントとして広く販売されていますから、ここで「サプリメントとして摂取する場合、フェニルアラニンとチロシン、どちらを摂ればいいのか?」という疑問が出てきますが、これについては後述します。

 

フェニルアラニンの効果とは?

効果1. やる気・意欲の向上

 前述の通り、フェニルアラニンは脳内神経伝達物質ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン(3つを総称して「カテコールアミン」と呼ぶ)の材料となります。

 
 ドーパミンはアドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体(変換される前の物質)です。ドーパミンの働きは、例えば、YouTubeで面白い動画を見終わった後、ついつい同じく面白さを期待して関連動画も見てしまったりしたことはないでしょうか? これは面白い動画を見ている時に脳内でドーパミンが分泌されたために、関連動画も見たいという「やる気・意欲」が湧いたためと考えることができます。

 アドレナリンは心拍数や血圧、血糖値を高め、身体を臨戦態勢の状態に導きます。例えば、大事な試合の前などに身体が熱を持ち興奮してきたことを指して「アドレナリンが出てきた」と言うことがありますが、まさにその表現は的を射ています。

 ノルアドレナリンも興奮状態に導くために分泌される物質ですが、アドレナリンが血圧など身体に作用するのに対し、ノルアドレナリンは感情面に作用することが特徴です。一般的な抗うつ薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれ脳内のセロトニンを一定の濃度に保つことを目的としていますが、抗うつ薬の中にはSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプのものも存在し、これはセロトニンとノルアドレナリンの濃度を減少させない作用があります。つまり、ノルアドレナリンは「やる気・意欲」の他、うつ症状とも密接な関係があるのです。

 
 フェニルアラニンは、これらカテコールアミン(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)の正常な生成を促進することで意欲的で健康的な日常生活を底上げするものです。

 

効果2. ストレスへの耐性

 上述のカテコールアミン(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)はストレスによって体内で大量に消費されてしまうものです。ストレスの攻撃を受けることで私たちのやる気は削がれてしまうものですが、その削がれた分だけ脳内で多くのカテコールアミンを生成することによってバランスを保っているのです。

 従って、長期的にストレスにさらされている状態の時というのは、それらカテコールアミンの原材料であるフェニルアラニンやチロシンが不足しがちになるということです。ということは、カテコールアミンを生成することができずストレスに屈してしまうことにもなり得ます。ストレスを受けている自覚のある人は脳内物質の原材料に着目することで、それに長期的に対抗する手段を獲得することにも繋がります。

 

効果3. うつ病の改善

 うつ状態の一因は上述の通り、ストレスに対抗する手段を失い、屈してしまって意欲がなくなってしまった状態です。うつ病の原因には3種類あると言われています。

第1の原因. セロトニンの不足

 セロトニンの不足はうつ病の原因として最も有名なものでしょう。脳内物質であるセロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、アミノ酸L-トリプトファンを原材料とするものです。セロトニンは「精神の安定」「前向きな気持ち」「幸福感」に必要不可欠な物質です。

 留意すべきは、セロトニンの不足は確かにうつ病の一因になり得るものですが、それだけがうつ病の原因の全てではないということです。一時期「セロトニン不足=うつ病」とメディアなどで喧伝されていたためか、未だに誤解の多い事象です。

第2の原因. カテコールアミンの不足

 カテコールアミンの中でも私たちのメンタルに作用するドーパミン、ノルアドレナリンの不足によって引き起こされるのがうつ病の第二の原因です。「やる気・意欲」を失ってしまい、何も行動できない・行動しようと思えないという状態になってしまうものです。

 フェニルアラニンは上述の通りカテコールアミンの原材料となるものです。事実、欧州における実験ではフェニルアラニンが抗うつ作用を持つとの結果が出ています。

第3の原因. フェネチルアミン(フェニルエチルアミン)の不足

 フェネチルアミンの不足を起因とするうつ病は「第三のうつ病」と呼ばれます。フェネチルアミンは「恋愛ホルモン」とも呼ばれることからもわかるとおり、同じく恋愛ホルモンとして有名なオキシトシンと並んで恋愛中に脳内で多く分泌される物質です。

 恋をしている時というのは、苦しかったり辛かったりすることもあるでしょうけれど、基本的には多幸感に満ちている瞬間の連続です。気持ちは前向きになり、わくわくし、何でもないことに胸が高鳴り、日常が華やかに色づきます。それはフェネチルアミンの作用によるものです。

 特筆すべきは、本稿で紹介しているフェニルアラニンは、この「恋愛ホルモン」であるフェネチルアミンの原料ともなることです。間違っていけないのは、フェニルアラニンを摂取することですぐさま誰かに恋に落ちたり、恋愛脳になるということではありません。フェネチルアミンによる多幸感・前向きさを享受でき、うつ症状を軽減する一助になるということです。

 事実、フェネチルアミン値の低いうつ病患者にフェネチルアミンを投与したところ、うつ症状が改善されたという報告があります。

 

効果4. 学習能力の向上

 フェニルアラニンはカテコールアミンの原材料となることは繰り返しお伝えしてきましたが、やる気・意欲に作用するカテコールアミンは脳機能を活発にすることに他なりません。従って、記憶力・判断力・学習能力を増進させる作用があるということです。

 私事ですが、学生時代、同じようにそれなりに真面目に授業を受けていたにも関わらず、文系科目は成績が良く、理系科目についてはからっきし駄目ということが起きました。これは私の脳が文系科目に向いていた事の他、文系科目には関心があったのでやる気が出て授業中にカテコールアミンが分泌されて学習能力が向上、しかし、理系科目については「数学なんて何の役に立つのだろう」と潜在意識の中で思っていたので学習能力が低下、授業を受けていても記憶として定着しづらかったと考えることもできるかもしれません。

 

チロシンとフェニルアラニン、どちらを摂ればいいの?

 L-フェニルアラニン
   ↓
 L-チロシン
   ↓
 L-ドーパ
   ↓
(以下、カテコールアミン)
 ドーパミン
   ↓
 アドレナリン、ノルアドレナリン

 
 上記のように体内では変換されます。従って、「いずれもカテコールアミンの原料であるチロシンとフェニルアラニン、どちらを摂ればいいのか」という疑問が立ち上がります。

 

やる気を出すためならチロシン

 チロシンはサプリメントとして「すぐにやる気が出る」と極めて評価の高いものです。なぜ即効性があるかというとカテコールアミンの直接の原材料がチロシンであるので、体内ですぐに変換され作用するためです。

 従って、チロシンは「やる気を出すため」「学習能力の向上」という目的に適していると言えます。いわゆる、「頭が良くなるサプリ」としてのスマートドラッグとしては適任であると言えるでしょう。

 どうしても片付けなければならない仕事の前、勉強に集中したい時、ちょっとやる気が出ないなと思う時など、短期的な目的のために服用することが効果的です。

 

抗ストレス・抗うつ作用を期待するならフェニルアラニン

 それに対してフェニルアラニンは「ストレス対策」「抗うつ作用」「メンタルの維持」という長期的な目的で摂取するのが効果的であると言えるでしょう。

 その最大の理由は前述の通り「フェニルアラニンはフェネチルアミン(恋愛ホルモン)の原料である」ということにあります。ストレスやうつ症状への対抗手段は一つではありません。であれば、第二のうつ病を改善するドーパミンとノルアドレナリン、且つ、第三のうつ病への対抗策としてフェネチルアミン、それらの分泌を促進するフェニルアラニンを摂取することでストレスへの幅広い戦略を採用することが可能になるのです。

 また、チロシンは耐性がつきやすいという声が散見されますが、フェニルアラニンを定期的に摂取しておくことでチロシンの原料をストックしておくことに繋がり、体内で必要な場合に適宜安定してチロシンへと変換されることになります。フェニルアラニンに耐性つきやすいという話は寡聞です。

 

フェニルアラニンに副作用はある?

 フェニルアラニンは人工甘味料として広く用いられている物質であると共に、普段の食事においても多く摂取できる物質ですので、その安全性は担保されています。但し念のため、下記に該当する人は注意が必要です。

高血圧の人は注意が必要

 フェニルアラニンを原料とするカテコールアミンには血圧を上昇させる作用がありますので、日頃高血圧である人は服用に留意すべきです。

肝機能障害の人には注意が必要

 フェニルアラニンは肝臓で代謝されることでチロシンへと変換されるため、肝臓に負担をかける恐れがあります。肝機能に問題を抱える人は服用に注意が必要です。

妊娠中、授乳中の女性は注意が必要

 妊娠中・授乳中の女性がフェニルアラニンを過剰摂取した場合の安全性は確保されていないようですので、サプリメントでの補助的な摂取は避けるべきです(普段の食事でフェニルアラニンを摂る分には何の問題もありません)。

抗うつ薬を処方されている人は注意が必要

 フェニルアラニンの過剰摂取は抗うつ薬と反応することでうつ症状が悪化する可能性が考えられますから、服用前には医師と相談するようにしましょう。

フェニルケトン尿症の人は注意が必要

 8万人に1人と言われる「フェニルケトン尿症」はフェニルアラニンを代謝する遺伝子が欠損しているために、体内にフェニルアラニンが大量に蓄積されてしまうものです。サプリメントでの補助摂取は避けるべきです。

過剰摂取はセロトニンの生成を阻害する可能性も

 セロトニンの原料となる必須アミノ酸にトリプトファンがありますが、脳内に到達するにあたってフェニルアラニンと同じ経路を辿ります。従って、フェニルアラニンの過剰摂取はトリプトファンと強く競合し、セロトニンの分泌を妨げてしまう場合があります。

 もちろん、これは過剰に摂取した場合であり、普段の食事や補助的な分量で摂取する分には問題ありません。

 

フェニルアラニンの多く含まれる含まれる食品は?

 フェニルアラニンは広く食品中に含まれる物質です。特に、大豆、卵、ナッツ類、肉、魚などタンパク質を主体とする食品に多く含まれます。

 野菜にはあまり含まれないのでダイエット中で野菜を主体に食べている人や、冒頭でも述べた通りに偏った食生活をしてしまっている人はフェニルアラニンが不足してしまっている可能性があります。

 

フェニルアラニンの一日の基準摂取量は?

 サプリメントにてフェニルアラニンを摂取する場合、1回200mgを一日2〜3回にわけて摂取することが目安となります。

 基準摂取量としては一日1500mgという数値がありますが、普段の食事からも十分量を摂取できますから、サプリメントで一日1500mgを服用してしまうと過剰摂取となってしまう可能性がありますから注意しましょう。

 また、サプリメントの効果を最大限に期待するのであれば、空腹時に服用することが求められます。他のアミノ酸と競合するが故の効果減退を防ぐためです。ビタミンB6とビタミンCと共に摂取すると吸収率が高まりますから、果物(特にバナナ)やビタミンサプリメントと共に服用すると尚、効果的です。

 

フェニルアラニンのおすすめサプリメント

 フェニルアラニンをサプリメントで補助的に摂取する場合、おすすめのサプリメントは2つあります。

 

▲国内生産のサプリメントです。下記の輸入製品と比べれば割高ですが、「国内生産という安心」「到着までが迅速」という観点で選ぶならこちらが推奨されます。

 

▲サプリメント大国アメリカの老舗ブランドNOW社によるフェニルアラニンサプリメントです。何と言ってもコストパフォーマンスが良いのが最大の強みです。加え、アメリカではサプリメントに厳格な基準審査がありますから品質は米政府のお墨付きと言えます。

 
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