お金だけが人生じゃない!自由を手にするキャリアダウンのすすめ

 転職市場においてはとにかく「キャリアアップ、キャリアアップ!」と喧伝されています。「今の仕事、不満でしょう? もっと楽で年収も高い職場、ありますよ。転職しちゃいなよ」と。

 確かに「キャリアアップ」は言葉の響きがいい。人の向上心や虚栄心をくすぐる作用がある絶妙な言葉。

 私は二度の転職を経て、現在、年収は新卒で就職した会社でもらっていた額の半分以下になってしまいました。その上、自ら希望して週3日出勤にしてもらい、月10万円で生活をしています。要するに転職によってキャリアダウンをしたのです。

 他の同年代の人たちよりも年収は遥かに少なくなってしまったけれど、今のこの生活を気に入っています。それなりにお金を稼いで生活に余裕があったけれど毎日不満だらけで疲弊し切っていた以前よりも、お金がないけれど圧倒的な自由を手にしている現在のほうが幸福度は高いと言い切れます。

 自分で自分の人生をコントロールしている自覚があるのです。

 

お金を稼ぐことだけが正解か?

 世の中には様々な考え方の人がいます。

 例えば私の友人Aは、お金を稼ぐことこそ最高の人生を実現する唯一の手段だと言って実際にその通りに努力し、30代半ばにして管理職に就き月収50万円を手にしています。しかも、それでも飽き足らず様々な自己実現の手段を講じてさらにお金を稼ごうと努力しているようです。素晴らしい向上心であることには違いない。

 だけど、それが正解とは限らない。私自身のことを申せば、身を粉にして様々なしがらみとストレスと長時間労働の中でお金を稼ぐのが嫌になってしまったので、キャリアダウンを決心したのでした。

 友人Aにとっての人生の本質は「お金や名誉」だったのであり、私にとっての人生の本質は「自由」だったのです。

 あるいは、友人Bは次から次へと様々な新しいことを始めてはすぐに飽きてやめてを繰り返し「人生っていろいろなことがあって楽しいね」と言っています。彼にとっての人生の本質は「わくわくすること」なのでしょう。

 人それぞれに価値観があって、人生の本質とも言うべきものがあるのです。正解はありません。

 

私が週3日労働を実現した理由

 私には2年間のニート期間(仕事をせずに、傷病手当金の受給と貯金を糧に生活していた)があります。職場の長時間労働と人間関係がどうにもこうにもストレスになってしまい働くことができなくなってしまったのでした。

 世間的にはニートや無職というとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、私にとってこの無職期間は自分にとって本当に必要なものは何かを見直すためのかけがえのない時間となりました。慌ただしい毎日から離れることによって自分を見つめ直す余裕が生まれたのです。

 私は自分に何を求めているのか、私にとっての人生の本質とは何なのか。私が気づいたのは「最低限の暮らしで構わない。人や時間に過剰に拘束されることなく、一人で自由に過ごしている時間が一番ストレスが溜まらない」ということで、これからの人生はそれを目標に生きていこうと決めたのでした。

 わがままでしょうか。でも、現に前職でストレスになっていたのは長時間労働と人間関係だったのです。しかも二度も同じような要因で体調を崩し、退社している。であれば、また同じことを繰り返さないためには自分にとってストレスの溜まらない環境を構築するのが最善である思ったのです。

 贅沢ができないことに関しては私はストレスにはならない。でも、自由がなければストレスになって駄目になってしまう。それに気づいた私は、自分にとっての理想の暮らしを実現するために、生活を根本から見直し、徹底的に無駄を省き、少ない稼ぎでも生活を維持していけるシステムを構築したのでした。

 詳しくは下記関連記事に任せますが、週3日だけの出勤でも生活を維持でき、残りの4日は好きなことをして暮らしています。お金が必要な時には単発のバイトやネットで原稿を書いたりして収入を得ていますが、基本的にはのんびりとストレスフリーの生活を続けることができています。

 
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自分の頭で判断しよう、周りの意見に惑わされるな

 前述の通り、人には個性があって様々な価値観があります。お金を稼ぐためにリスクを顧みず新しいことにチャレンジすることを生きがいにしている人もいれば、安定を志向する人もいる。私のようにお金はどうでもいいけど自由が欲しいという人もいる。正解はない。

 そう、正解はないからこそ、周囲の意見や常識にとらわれることなく自分の人生の本質を見つめることが、幸福な人生への最良の足がかりになるのではないかと思うのです。

 自分の頭で考えること。自分の頭で判断すること。それが大事だと私は思います。そうやってこの暮らしを実現しました。節約のためにクルマを手放した際にも、周囲には「不便になるからやめなよ。もったいないよ」なんて散々言われましたが、私は自分の頭で熟考した結果、手放した。一年経った今でも思い切ってクルマを手放して本当に良かったと思っています。

 今、自分の人生に疑問を持っている人もいるでしょう。本当にこのままでいいのかと頭の片隅では思いながらも、世間一般で言われる「入社したら三年は辞めずに頑張れ」とか「我慢することも仕事のうちだ」とか「耐えた先に必ず成功が待っている」とか「辞めることは逃げることだ」とかの美辞麗句、常套句、脅迫の言葉が邪魔をして惰性で日々を過ごしてしまっているかもしれません。

 

キャリアダウンという選択肢

 私は会社を辞めたほうがいいとか、全員キャリアダウンせよと言いたいわけではありません。でも、疑問を持ちながらもそれを解消できないままに日々を惰性で過ごしてしまうのは時間がもったいないし、ストレスになって体を壊してしまいかねないと思うのです。

 毎日がつらくて体調を崩してしまったり、最悪の事態になってしまってからでは遅いのです。キャリアダウンや収入減は確かに怖いことには違いありませんが、死ぬわけではありません。日本には強力なセーフティーネットがあり、簡単には死なないようにできているのです。

 過剰な労働のせいで死んだように生きるなら、お金がなくても生きてるように生きていくほうが良いのではないか。現に私は月10万円で健康に充実して暮らすことができているのです。

 そう、考え方は人それぞれ。だけど、お金なんて大して重要じゃないと気づいているのに、お金を稼ぐために忙殺されてしまっている人がいるなら、是非ともキャリアダウンという選択肢もあるのだと頭の片隅に置いておいてほしいのです。

 
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