ホスファチジルセリン(PS)は「脳の栄養素」とも呼ばれることからもわかる通り、我々の脳の健康増進にとって欠かせない物質です。
1986年にホスファチジルセリンが認知症改善に効果があると認められたことから一躍脚光を浴び、現在ではその脳機能改善効果が数々の研究により実証され、確固たるものになっています。
脳のアンチエイジングのみならず、抗ストレス効果も認められていることから抗うつやうつ病の改善にも大きく期待が寄せられています。
ホスファチジルセリンは大豆や肉類などの食品に含まれますが、これについては後述します。
ホスファチジルセリンの働きとは?
ホスファチジルセリン(PS)とは、細胞の膜に存在するリン脂質の一種です。
体内の全ての細胞にホスファチジルセリンは含有されていますが、特に脳に多く存在することで「脳の栄養素」とも呼ばれます。
ホスファチジルセリンが脳機能与える影響を実証した研究は数多くあります。
細胞膜を柔軟に保つ
ホスファチジルセリンの最も重要な効果が細胞膜を柔軟に保つ作用です。
細胞膜はフィルターの役割を果たします。
有害な物質を細胞に取り込まないためのフィルターなのですが、加齢と共にホスファチジルセリンが不足し細胞膜が固くなってしまうと、本来取り込むべき栄養素の吸収までをも阻害してしまったり、逆に老廃物の排出がスムーズに行かなかったりという悪影響が出てしまいます。
細胞膜が柔らかい状態であることによって脳は正常に機能するというわけです。
脳の血流を良くする
例えば動脈硬化という病気がありますが、これはざっくり言えば血管が固くなってしまうために血流が滞っている状態のことです。
つまり、ホスファチジルセリンが細胞膜を柔軟に保つということは、脳の血流についてもスムーズにする作用があるということに他なりません。
血流が促進されれば脳細胞は活性化します。
ホスファチジルセリンが認知症やアルツハイマー病改善を促進するというのは、血流改善と脳細胞活性化によって脳内における記憶を司る海馬などを若くフレッシュに保つ作用があるからです。
脳の情報伝達力を向上する
脳内の細胞が活性化するということは、情報伝達力を増進することでもあります。
具体的にはホスファチジルセリンは脳内シナプスの働きをサポートすることがわかっています。シナプスとは脳内における情報伝達の役割を果たす構造です。
シナプスの活性化によって上述のアルツハイマー病改善の他、ストレスへの耐性や集中力、判断力の増進の効果がもたらされるというわけです。
また、うつ病などの精神疾患は脳内の情報伝達が上手に機能しないために発症してしまうことが一因と言われていますから、抗うつ作用やうつ病の改善も大きく期待できます。
実際にうつの改善のためにホスファチジルセリンを摂取してみている人は多く見受けられます。
ホスファチジルセリンの効果とは?
認知症・アルツハイマー病の予防と改善
アルツハイマー病の患者にホスファチジルセリンを1日200~300mg、60日~6ヵ月間摂取させた所、認識力や記憶力、注意力、集中力、学習力、異常行動などの改善が報告されています。
また、アメリカで実施された臨床試験においては、1日300mgのホスファチジルセリンを加齢性記憶障害の患者149名に12週間投与した結果、神経学的指標における改善が認められたとの報告もあります。
脳の血流促進・細胞の活性化によって脳細胞が若返ること、脳の情報伝達能力が向上することによって記憶障害などの症状が改善されることが実証されています。
抗ストレス効果
神経症を有する男性48人を対象に、ホスファチジルセリン1日300mgを1ヵ月摂取させた群と、プラセボ(筆者注:比較のために用いる効果のない偽薬)を摂取させた群に分け、気分および心拍数に及ぼす影響を調べた所、ホスファチジルセリンを摂取した群の方がストレスの度合いが少ないことが明らかとなっています。
こちらもホスファチジルセリンによって脳の情報伝達能力が向上したためにセロトニンなどの物質の分泌が促進され、気持ちを落ち着かせる効果がもたらされたことによるものであると考えられます。
また、不眠の改善効果もあるとの研究結果も出ています。
抗うつ効果・うつ病の改善
脳の栄養素の一つでもあるホスファチジルセリンは、最近の研究で、コルチゾールの分泌を抑える働きがあることが分かりました。
うつ病患者には脳内物質であるコルチゾールが大量に分泌されていることがわかっています。
コルチゾールとは抗ストレスホルモンの一種でストレスを感じた時に分泌されるものなのですが、長期に渡り大量に分泌されることによって脳機能を、特に記憶を司る海馬を損傷してしまい、うつ病の原因となってしまいます。
ホスファチジルセリンにはコルチゾールの分泌を抑制する働きがあることがわかっていますから、うつ病の予防や改善に効果が期待できるということになります。
また、細胞膜を柔軟に保つことによって栄養素を脳に届けやすくなること、脳の細胞分裂を活性化すること、セロトニンなどの伝達物質の分泌を促進することも、抗うつ効果が認められる重要な要素です。
学習能力・脳機能の向上
ホスファチジルセリンはアメリカでは有名なサプリメントである。記憶力、集中力の減退を感じたとき、このサプリメントを摂るようアメリカのホームドクターはすすめる。
脳機能を活性化するということは学習能力の向上も認められるということです。
具体的には、記憶力、集中力、判断力など日常生活における脳の機能が促進されることも多くの研究により明らかになっています。
頭の良くなるサプリメントと言うべきものです。
最近疲れ気味で頭がぼんやりするとか物忘れが激しいという自覚症状がある場合にもホスファチジルセリンは推薦できるものです。
多く含まれる食品 ―但しサプリメントによる摂取が推奨される
ホスファチジルセリンは大豆や卵黄、肉類などの食品に含まれるのですが、その量は極めて微量です。
殆どの栄養素は食品から摂取することが良しとされますが、ホスファチジルセリンについてはサプリメントによって補うことが推奨されている数少ない例外です。
ちなみに、ビタミンDという栄養素もサプリメントによって摂取することが求められる数少ない例外のうちの一つであり、うつ病の改善に大きな効果があるとされるものです。
一日の摂取量は?
一日の摂取量目安は100mg~200mgです。
この量を食事から摂るとなると大豆を2kg〜3kgも食べなければならない計算になります。
ホスファチジルセリンを積極的に摂取したいと考えるならばサプリメントに頼るのが現実的であるというわけです。
ホスファチジルセリンは脳内で日々消費されるものですので、効果を期待するなら「多くの量(上記100mg~300mg程度)を」「継続的に」摂取することが要件となります。
継続することで徐々に確実に効果が現れます。
副作用はある?
ホスファチジルセリン自体に認められる重大な副作用は報告されていません。大豆などの一般的な食品に含まれる天然由来の成分ですから安心して摂取することができます。
ただ、一日に500mg以上の摂取は控えるべきとされています。
不眠や胃腸障害などの症状が出る場合があります。
また、大豆アレルギーである人の場合、大豆を原料としていないホスファチジルセリンのサプリメントを選ぶ必要があります。
ホスファチジルセリンを半年間摂取してみた感想
精神の安定作用、集中力の増大が実感できた
過去にうつ病と診断されたことがあり、既に改善はしているのですが再発防止のために普段からストレスには気を遣っています。
ロディオラ・ロゼアなどの抗うつ効果のあるとされるサプリメントを常用してみているところなのですが、「ホスファチジルセリンが効果が高いらしい」という情報を聞きつけて試してみた次第です。
半年間摂取してみて、集中力や精神の安定に効果があると実感できています。
些細なことでイライラしたり、理由なく無気力になったりすることが明らかに少なくなりました。
独自性のあるサプリメントなので継続していきたい
また、抗うつ効果のあるとされるサプリメントには、
・DHAとEPA – 青魚に含まれる油脂分
・ロディオラ・ロゼア – 高山に自生するハーブの一種
・ビタミンD – 日光を浴びることで体内で合成されるホルモン
・L-トリプトファン – セロトニンの原料となるもの
などの代表例がありますが、ホスファチジルセリンのように「大豆などが由来のリン脂質の一種で抗ストレス・抗うつ効果がある」というものは他に聞いたことがありません。
つまり、ホスファチジルセリンには唯一無二の独自性があるということです。
他のサプリメントと成分がダブらないで摂取できるという点では、健康増進のためのプラスアルファとしてホスファチジルセリンは最適であると私は考えています。
摂取し続けて行こうと思っています。
ただ、難点は他のサプリメントと比べてやや高価なところでしょうか。
おすすめのホスファチジルセリンサプリメント
▲私が愛用しているものです。高品質&低価格で評判のNOW社のものです。輸入のため到着までに1週間〜2週間程度かかります。余裕を持って注文しておきましょう。
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