人は飽きる。とにかく情熱が続かない。もちろん、誰でもそうである。
自らの結婚式で新婦よりも号泣していた私の友人は、その結婚式から3ヶ月後、「結婚は最悪だよ。しなきゃ良かった」なんて言っていた。
平均以上の給与を貰って働いているまた違う友人は、「不満はないけど、なんか飽きてきた。人生をリセットしたい」と言っていた。
全ては「習慣」のせいである。
それを打破する術はないのだろうか、というのが本稿の論旨である。
例外なく長続きしない我々の幸福。その解決策は?
習慣は贅沢な喜びを退屈な日常茶飯時に変えてしまう。
オルダス・ハクスリー(イギリスの小説家)
「あー、ついに結婚かー、年貢の納め時だなー」なんて入籍前に言っていた彼も、結婚式当日になってみれば感激したのだろう。「僕は本当に幸せ者です」とスピーチしていた。その言葉は、読み上げられた原稿ではなく、アドリブによって出た本心であったように見えた。
だけど、その感激は長続きしないものなのである。上記の通り、たった3ヶ月で結婚を後悔する言葉を口にしている。
もちろん、彼がことさら飽きっぽい性格であるということもあるであろうが、しかしながら、習慣によって感激・興奮・幸福が失われていくことについては誰でも例外ない。
そう、誰でも。あなただけじゃない。私もそう。
当初の輝きは必ず失われ、幸せだった興奮状態は雲散霧消し、当初の退屈な毎日に立ち返っていく。
しかしながら、結婚ということで言えば、お互いに退屈してしまってお互いを敵視するようになってしまう夫婦もいれば、退屈に埋没せずに仲睦まじく暮らしているように見える夫婦もいる。
この違いは何なのか。
退屈や習慣から抜け出す方法はないのだろうか。
あるのである。キーワードは「感謝」である。
おいおい、「感謝」だと? ふざけるな、宗教かよ。
待ってほしい。
下記に述べるのは、マイアミ大学のマイク・マッカロー教授による科学的なアプローチによる方法である。
「感謝の日記」を書いてみる
「感謝の日記」を定期的に書いている人は、書いていない人に比べて様々なポジティブな傾向が見られたという。
1. 病気などの身体症状を訴えることが少ない
2. 周囲の事情に用心深い
3. 何事にも熱心に取り組む
4. 全てに決断力がある
5. 他人への思いやりがある
6. エネルギッシュである
7. 睡眠の質が高い
8. 目的に向かう積極性がある
書き方としてはいまあなたが感謝していることを3~5つ書くことです。内容はどんなこと小さなことでも問題ないです。夫がコーヒーを入れてくれた、息子が家事を手伝ってくれたなど思いめぐらしてください。
大切なことは、本当に感謝していることを書き出すことです。感謝することに慣れていない人は少し時間がかかるかもしれませんが、無理やり書き出しても意味がありません。
また、「感謝の日記」を毎日書く必要はなく、週に一度くらいが適切と言われる。毎日感謝することで溢れている向きは、毎日書いても構わない。
あくまでも、「定期的に書く」ことが肝要である。
心理学的にも、「感謝の日記」を書くことは心の平穏にとって良いこととされています。
だけど、何だか恥ずかしくて書けそうにない。うん、よくわかる。
自分が感謝している人に会いに行く
学生たちに「自分が最も感謝している人は誰か」と訊ね、その人に一度だけ会いに行く機会を設け、結果を報告してもらう、という実験を行った。
学生の反応は極めて前向きで大いに盛り上がったのだが、ここからが肝要である。
その盛り上がりも日を追うごとに習慣に埋没して収束していくわけだが、そのペースは通常よりも緩やかなものだったという。
感謝することで、退屈な習慣が特別なものに思えるようになる
何も変わっていない。心が変わっただけなのである。
これからふたりで生きていく。ふたりでの生活。
何が変わったわけではない。むしろ、変わらないことに心が飽きてしまっただけ。
あるいは、つまらない仕事。入社したての頃は何もかもが新鮮だったが、今となっては陳腐化してしまった。
つらいわけじゃないし、困窮するほど低い給与でもない。
だけど、習慣化された毎日。それに飽きてしまっただけ。心が変わってしまっただけ。
そう、心が変わってしまっただけなのである。その他には何も変わっていない。
であれば、その心を習慣に埋没させなければいいだけの話じゃないか。
仕事を辞めたい、人生をやり直したい。けれど、うまく行かないたった一つの理由
仕事に「やりがい」が持てないあなたのための、たった一つの理由と解決策
その手段のひとつに、「感謝」が挙げられるということである。
感謝することは、このもはや当たり前になってしまった毎日を見つめ直し、「もしかしたら当たり前じゃないのかもしれないぞ」と気づかせ、この実は素晴らしい毎日を特殊でかけがえのないものに仕立て上げる手段なのである。
心というものは、それ自身一つの独自の世界なのだ。地獄を天国に変え、天国を地獄に変えうるものなのだ。
ジョン・ミルトン
いきなり「感謝の日記」を書くことはハードルが高いとしても、日々の些細なこと、もはや気づかないくらい当たり前になってしまったことに目を向けてみて、心の中でいいので感謝の言葉を唱えてみることで、つまらない日々の何かが変わるかもしれません。
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