落ち込まない人はいないし、憂鬱な気分にならない人もいない。いたとしても極稀な例外である。
我々は誰しもが気分に左右されてしまう。
私などは気分の起伏が激しくて、自分で自分に大変に困っている。自分で困っているくらいだから、周囲の人間はもっと困っているのだろうと推測する。
そういった落ち込み、憂鬱、陰鬱な気分の際、我々は重要なことを見落としがちで、その感情の赴くままに思考してしまう傾向にある。
重要なこととは、「その落ち込みの原因がごく単純なことに過ぎないという事実」である。
ネガティブの原因が単純であるということ
例えば、天候である。
天気がすぐれないと我々はつい気分までもが憂鬱になってしまいがちである。さらには、そのネガティブな気分を自分の人生にも当てはめてしまうことさえある。何をやっても上手く行かないと思い込んでしまったりするのである。
ここで重要なのは、そのネガティブな気分が暗い天候のせいであると、しばらく気づかないことが多いということ。なぜだかわからないが前向きになれないのである。
このネガティブな気分は、原因が陰鬱な天候のせいであると気づくまで続き、そのことに気づくとたちまち消え去ってしまう。
天候のせいでネガティブな彼は、その原因が天候という単純な事実であるとなかなか気づけない。
しかしながら、その事実に気がつくと、「ああ、そうだったのか、天気のせいか」と、そのネガティブさは雲散霧消してしまう。
ここでわかることは、
・ネガティブにさせている原因がシンプルなことであることをなかなか思い出せない
・ネガティブのパワーは「何をやっても上手く行かない」などと思わせるほど強力である
様々な要因でネガティブになってしまう
もちろん、天気に限った話ではない。
それは少しの空腹かもしれない。軽い頭痛かもしれない。意中の相手との僅かなすれ違いかもしれないし、友人への嫉妬かもしれない。軽微な孤独感かもしれない。
我々をネガティブな気分にさせる事実は、いつもシンプルなのである。
そしてそのシンプルな事象が、いつの間にか心の中で全ての感情を後ろ向きに変えてしまう。
ともかく我々は、ごく単純な原因で落ち込み、その落ち込みは未来に暗い影を落としたような気にさせ、しかもその原因になかなか気づけずに、運良く気づければそのネガティブはもうどこかに行っているのである。
厄介である。
【朗報】心配症や不安感、ネガティブ思考がもたらす2つの良い効果と解消策
誰もが些細な事によって気分が左右される
「映画を観たあとで」と題する研究で、利口なオーストリア人の研究者たちが、映画館を出てくる人たちをつかまえ、彼らの政治的・道徳的見解をしつこく聞き出したことがあった。そこでわかったことは、幸せな内容の映画を観てきた人たちが楽観的で寛大だったのに対し、挑戦的な映画や悲しい内容の映画を観てきた人たちははるかに悲観的で厳格だった、という事実だ。
ネガティブな気分の原因は多くの場合はシンプルだと前述したが、そのシンプルに起因するものが我々の意志決定を大きく左右してしまう、という事実も見逃せない。
たかが天気が、たかが空腹が、たかが悲しい内容の映画が、我々の気分を知らぬうちにコントロールし、行動を司ってしまう。
たまたま睡眠不足でネガティブな気分になっていたがために運命のプロポーズを断ってしまった、なんてことがこの地球上で今日も起こっているに違いないと思うのである。
だけど逆に、夜景が綺麗でロマンティックな気分だったから、そんなに気乗りのしない交際申し込みを受け入れた、という例もたくさんあると推測する。
まとめ:ネガティブへの対処法
従って、もしあなたが落ち込みや不安などのネガティブな感情に支配されてしまった時には、以下のことを改めて考えてみると、意外とすぐに霧が晴れるかもしれない。
・原因は思ったよりシンプルであることが多いことを踏まえて、何か思い当たることはあるだろうか。
・ほんの少しのネガティブな感情でも思いの外パワフルである。必要以上に落ち込んだりしていないだろうか。
・思考や行動が極端に左右している場合、何か心の内面における原因は考えられるだろうか。
もちろん、何か重大な事実によって落ち込んでいる場合もあるだろう。
だけれども、肝要なのは外部的な事実ではなく、我々の内面である。気の持ちようであり、考え方の問題である。
ストレスと向き合う考え方。もう逃げ回らないためのたった1つの解決策
原因が当人にとって重大なものであったとしても、「シンプルなこと」と言い聞かせ、そう心に思い込ませることは、ストレスを軽減することに繋がるのである。
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