会社をイレギュラーで休むための口実として最も人気なのが仮病ですが、それに次ぐスタンダードが、俗に言う「エア葬儀」です。
つまり、「おばあちゃんが亡くなったので」という架空の葬儀を理由に欠勤することです。
立派な弔事であるため、会社としても休ませざるを得ないというわけです。
約束された休日、エア葬儀の2つの優れた点
「エア葬儀」は2つの点で優れた欠勤事由であると言えます。
ひとつは緊急性の高さ、もうひとつは重大な冠婚葬祭であること。
つまり、人はいつ死ぬかわからないわけですから、休む前日の夜あたりに「たった今、おじいちゃんが亡くなりました。明日からお休みを」と会社に連絡しても全く不自然ではない上、前述の通り、倫理的・常識的に会社側も「ふざけるな。休みはやらん」とは口が裂けても言えないというわけです。
まして、葬儀・葬式ともなれば連休は必至です。仮病での連休取得はなかなか勇気が要りますが、「エア葬儀」の場合、連休というオプションが自動的に付いてくるのです。あっぱれ。
しかも、実際に祖父・祖母を抹殺しなければならないわけでもないため、殺人罪で起訴されることもありません。誰も傷つかないのです。
まさに鉄板とも言える、「エア葬儀」による休日の取得ですが、注意すべき点もあります。
「お前んち、ばあちゃん何人いるんだよ」問題
身内の看病のために会社を休まなければならない事態というのは、各々の事情にもよりますが、人生においてそうそうあるものではありません。
会社としても、何度も同じ理由によって急に休むとなれば、「またかよ」と訝らざるを得なく、最悪、「嘘ではないか」と疑われることにもなりかねません。
架空の事情をでっちあげて休むにあたっての再優先の戦略は「疑われないこと」、これに尽きます。
これも各々の家庭の事情にもよりますが、一般的に祖父母の葬儀で休むことができるのは、母方の祖父母2名、父方の祖父母2名の計4回までとなります。これは極めて重要な事実ですので、覚えておいて損はないでしょう。
「ばあちゃんが亡くなったので休ませて…」
「君には、ばあちゃんが何人いるんだね? 通算でもう7人は死んでるぞ」
こんな間抜けな事態はあってはならないのです。
もちろん、父と母、叔母や叔父、兄弟などを含めれば、もっとたくさんの「エア葬儀」を敢行することも可能ではありますが、程々にしておくのが賢明でしょう。
「エア葬儀」は、欠勤する上での最後の最後の手段、必殺技や奥義のレベルであると心得ましょう。
必殺技を雑魚キャラに闇雲に繰り出していると、後にツケが回ってくること必至。
平時の雑魚キャラレベルの休暇取得には、軽めの仮病あたりでやり過ごすことをおすすめします。
まずは「エア看病」から
それでも、あらん限りの仮病カードを出し尽くしてしまった、あるいは、仮病では太刀打ちできないほどの屈強な上司である等の場合、「エア看病」から始めることをおすすめします。
「おばあちゃんの容態が急変して、世話をしなければならない」との事情を炸裂させるのです。
この場合、「エア葬儀」ほどの緊急性はないにしろそれなりの重大な事情であり、さらには、「エア葬儀」のカードをまだ切らなくて済むというメリットがあります。
注意点としては、「それは君が行かなければならないのか、他にあてはないのか」など、事情を詮索される恐れを孕んでいることです。
万が一の場合に備えて、尋ねられた場合の返答を予め用意しておくと事前準備は万端です。
亜種「エアペットを病院に連れて行く」
近年、「ペットを病院に連れて行く」との要件で会社を休むのはいかがなものか、という議論が白熱しています。
肯定派の意見としては、「ペットは家族の一員である」と主張し、否定派は「ゆとりめ」と意見は真っ向から対立、残念なことに「ペットを病院に連れて行く」理由で会社を休むことは、完全なる市民権を得られるまでには至ってはいません。誠に遺憾です。
だって、愛猫が、愛犬が、愛リチャードソンジリスが苦しんで生死をさまよっているにも関わらず、仕事に忙殺されて家に置いてけぼりにしなければならないなんて、どうかしている。
ペットの発病が月曜日だった場合、土曜日までそのままにしておけと言うのか。それまで持ちこたえたとしても、週末は病院が開いているとも限らない。
ああ、惨めな愛リチャードソンジリス。
というわけで、「ペットを病院に連れて行くために会社を休むなんて、ふざけている」と考える者を私は感受性の低く、慈悲の浅い人間と認識しているわけですが、少しづつではありますが、世間が容認の方向へと進んでいるのも事実。
それを逆手に取って、「ペットを病院に連れて行くので休ませて下さい」と架空のペットを架空の病院に連れて行くために休日を取得することは、私はアリと考えています。
上司の感受性の豊かさを計るためのひとつの実験としても使えるでしょう。
まとめ
・「エア葬儀」は、ここぞという最後の手段として使うのがおすすめ。無闇な乱発は避けるべし。
・「エア葬儀」よりも手軽に使えるというところでは「エア看病」が推奨される。同様に、無節操な多様は禁物。
・変化球としては、「エアペットを病院に連れて行く」というのがある。手段の一つとして覚えておこう。
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